Sランク申請ができる功績だ!作戦に向けて宣伝しまくろう!
ダンジョンのモンスターを倒して獲得できる魔石というのは特殊なもので、特定の鑑定スキルを使うと、『誰が戦ったのか』が分かるようになる。
というより、それがわからないと揉めることになるケースが多かったので、その特殊な鑑定スキルを使うためには特定の人間を呼んでくる必要があるものの、確実性が高いものになっている。
フェルノが一人で九十五層の中ボスを倒したことは事実であり、『功績を稼いでランクを上げる』ということを手段とするフェルノからすれば、一刻も速く報告をして、冒険者のランクを上げることに使うべきなのだ。
「……え、Sランクまで上げられるの?」
「その通りだ。元々、Aランク冒険者の適性が『中層後半』から『深層前半』だからね。『深層後半』は元からSランクの領域だ。そんな場所のボスをソロで討伐したとなれば、誰がどういったとしても、Sランクまでランクを飛び級で上げられるだろう」
別室でトーラスと二人きりで話すフェルノ。
フェルノは実際に冒険でどのようなことになったのかに関する報告書に関しては作成していたが、『ランク』に関するシステムの話はまだ疎いので、トーラスに聞く必要がある。
で、報告したところ、Sランクまでランクを上げられることがわかった。
「なるほど……それなら、めっちゃ宣伝した方が良いな」
「ああ。このネタで宣伝すれば、騎士団をめっちゃ煽れるからね。まあ正直、私としても君の実力は想定以上だったが、うれしい誤算だよ」
クックック。と嫌な笑みを浮かべるフェルノとトーラス。
「とにかく、ここまで実力があるのなら、大きく話を勧めよう。私は君の功績を基に、Sランクへの昇格申請を本部へ送ろう。君自身、今回のボス攻略の報酬でお金はあるだろうし、大型のパーティーハウスでも買ったらどうかな?」
「あ、それはいいな。高ランク冒険者だし、それくらい持ってないと」
「それと、今回の功績があれば、ほぼ確実に本部はSランク申請を受理するだろう……こういってはなんだが、隣国である『帝国』が王国と比べて人口が五倍いて、冒険者を『量』ではなく『質』で確保したいというのが本音だ。Sランク冒険者は多い方が良い」
「だろうな」
「そして、『専属の受付嬢』が配置されることになる。Sランク冒険者という貴重な存在に対して、通常の煩わしい手順を踏ませるのもどうかという話があちこちであるからね」
「そういやそんなのあったな」
基本的にはSランク冒険者本人によって選択される受付嬢が対象となる。
ある意味、受付嬢にとっては最高の出世コースと言えるだろう。
「ただ……Sランクの専属になれる以上に、皆、君のチームのアリアス君を怖がっているんだよね……」
「一体何があったんだ……」
「彼女がこの町に来るのは初めてではないということだよ。それから……フェルノ君。君の実力なら、正直、『受付嬢は誰でもいい』のではないかな?」
「確かに。自分で書類は作れるからな」
「ということもあって、君が最近遭遇する……新人の小っちゃい子がいるだろう?」
「……ああ」
「君が九十五層の中ボスをソロ攻略したという報告をしてから、受付嬢の間では彼女を推薦しているらしい」
「……本当に何があったんだ?」
「さあ、アリアス君と受付嬢の間のことだ。さすがに私にもわからないよ」
自重という言葉に縁がないからね……。
「そして……ここからが最も重大なところだ」
「だろうな」
すべては作戦のための手段である。
「Sランクへの昇格はほぼ確実……といったし、中ボスの魔石を君一人で手に入れたことは確実となる。だが、それでも疑問視する声はあるだろう。何らかの『試験』は必要だ」
見張りが付いたうえでダンジョンに向かうのか。
それとも、闘技場か何かで戦うことになるのか。
いずれにせよ、フェルノ自身が実力を見せる必要がある。
「私は『コロシアムにおいて決闘形式で審査する』ことを進めていこうと思っている。その方が、観客を多くできるからね」
「そこまで言えばわかるさ。当然、騎士団の連中だって呼べるだろう」
その時が、プギャー大作戦の集大成になる。
「体裁はSランク昇格試験だが、君自身、『派手なこと』はいろいろ考えておいてほしい」
「わかってるって」
ここでどこまで派手にできるかによって、どこまで彼らが転がってくれるのかが決まる。
そして、その様子を肴に酒を飲むのは、とても楽しいだろう。
……皮算用。というわけではない。
フェルノはれっきとした実力者だ。
だが、こいつらもこいつらで、かなり性格が悪い。




