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学者エルフィナ・槍使いアリアス

 アリアスとエルフィナというらしい少女二人が、フェルノとシンシアがいる部屋に入ってくる。


「お、やっぱりここだぞ!アリアス!」


 元気そうな声を出しているのは、白衣を着て眼鏡をかけている美少女だ。

 茶髪を伸ばした好奇心あふれる瞳の持ち主で、どこか活力を感じられる。

 露出度はそうそうないものの、女性として魅力のある体つきをしている。


「まさか本当に食べているとは思わなかったわ……」


 あきれた様子でもう一人の少女が入ってくる。

 こちらはやたら煽情的である。

 ダンジョンの中なのに、露出度が確保された黒いドレスを身にまとっているのだ。


 均整の取れた体つきであり、大きな胸は谷間を作っており、腰はくびれて、おしりも大きく、大きくスリットが入っていて白い足が見える。

 黒い長髪をなびかせて、右手で槍を持っている姿は……とても個性が強い。


「おや、どこかで見たことがあるような?」


 エルフィナというらしい眼鏡白衣の女性が歩いてくる。

 女性としては長身であり、座っているフェルノからは少々高く見える。


「アステライトの金剛石……ここで見るとは思ってなかったわ」

「ほう?なるほど、確か、王立学院のあるイベントで見つけた人だったね。確かに、近くで見るとすごくきれいだ」


 活発そうな目でシンシアに接近するエルフィナ。


「食事中だったのなら、少しお邪魔してもいいかしら?」

「別にかまわんよ」


 アリアスが言うと、フェルノはうなずく。

 そのまま、アリアスはフェルノの隣に座った。

 器とお玉をもって、シチューを皿に盛りつけていく。


「おいしそうだね。僕もいただくよ」

「ああ」


 フェルノがうなずいたので、アリアスとエルフィナはシチューを食べ始める。


「いただきます。お、うまいね」

「高級レストランで十分出せるわね。さすがといったところかしら?」


 おいしそうに食べる二人。

 ただ、シンシアはここで、二人の『接し方』で気が付いた部分があった。


「……アリアス。あなたはもしかして、フェルノ様と面識が?」

「二年前の『大戦』で、とだけ言っておくわ」

「ほー。まあ僕には関係のない話だね。おかわり!」


 エルフィナは遠慮なくシチューを器に盛りつけていく。


「エルフィナに会ったことはないが、興味はある」

「ん?」

「『魔力相反構造説論』っていう論文を出してるだろ。あれを読んでるんだ」

「ほー。なるほどね。読者にこうして会うのは初めてだよ」


 うれしそうな表情でシチューを頬張るエルフィナ。


「エルフィナといえば……冒険者としてはBランクとして活動している『異端学者』と聞いたことがありますが……」

「フフフッ。冒険者ランクではなく学者であることを先に言って欲しいね。僕は本業は研究なんだ」

「……アリアスはその協力者か」

「そんなところよ。ご馳走様」

「僕もご馳走様……ところで、器はどこにおいておけばいいのかな?」


 小さなリュックくらいしかもっていないフェルノと、荷物らしいものを持っていないシンシア。

 確かにこの組み合わせでは、『器をどこから出したの?』となるだろう。


「あー。ここだ」


 フェルノは右手の人差し指で地面をトントンと叩いた。

 すると、地面色の箱が出現して、スライドするように上部が開く。


「おおっ!すごい!こんなの初めて見た!」

「地属性魔法の応用だ。『地中倉庫』って呼んでるけどな」

「なるほど。そういうことか」


 興味深い、といった様子の視線で箱を見るエルフィナ。


「こんな使い方をしているところを見るのは初めてだよ。そもそも、地属性魔法は文献が少ないからね」

「そうでしたか?」

「確かに治水には役に立つと思うけど、大国に囲まれているアルマテリア王国は領土拡大なんてほとんどやってないから、どうしても求められる規模が『個人レベル』になっていてね。残すほどの技術の継承もなければ、集められる文献に限界があるのさ」


 眼鏡のブリッジを上げた後、白衣の内側からメモ帳とペンを取り出してガリガリ書いている。


「……片付けが終わったら先に進む予定なんだが?」

「あー。すまない。あと三秒……よし、待たせたね。もういいよ」


 満足そうにメモ帳を仕舞うエルフィナ。

 それを見たフェルノは、箱の上部を閉じて、そのまま地中に沈めた。


「これほどの地属性魔法を使いこなす人間を見るのは初めてだ。ダンジョンを回るのなら戦闘になるだろうけど、ついて行ってもいいかい?」

「俺はいいが……」


 フェルノはシンシアを見る。

 シンシアは縦にうなずいた。


「フェルノ様がいいのなら、私もかまいません」

「私もついて行くわ……いざというときに制御しておかないといけないし」


 やたら扇情的な格好をしているアリアスだが、エルフィナがそばにいるとき限定で苦労人枠のようだ。


 ★


「すごい!ここまで地属性魔法を使いこなしているとはね!」

「地面が全然滑らない…かなり安定してるわね」

「……」

「シンシア。どうかしたのかい?そんな複雑そうな顔をして」

「いや、アリアスがハイヒールなのにここまで普通に歩いていたのが信じられないんだろ」


 部屋を出た後も進む四人。

 エルフィナは相変わらずフェルノが使う地属性魔法に好奇心を開放しており、アリアスは静かな雰囲気でついて行く。


 まあ、三人とも魅力的な美少女であることに変わりはなく、それに対して特に感情が揺れ動かないフェルノもフェルノだが。


「お、ドラゴンだ」


 紫色のうろこを持つドラゴンが現れた。


「さて、お手並み拝見と行こうか。地属性魔法を駆使してどのようにドラゴンを倒すのか見せてもらいたいからね」


 眼を爛々と輝かせてエルフィナが観察する。


「残念ながら、獲物が妖刀(これ)だからな。というわけで……それ!」


 掌の上にマグマの球を出現させて、それを全速力で飛ばす。

 ドラゴンの上めがけて飛ばしたそれから距離を取ろうと、ドラゴンは下に回避した。


「なっ……なんだ今のは!?」


 驚愕するエルフィナ。


「……『乾いて』いて『温度が低い』特性の地属性に、高温の要素を与えてマグマに?……いや、あそこまで地属性魔法を使いこなしているのなら、『特化型』のはず。では、なぜ熱が……ムムム……」


 一目でフェルノが出したものがマグマであることを確認したが、エルフィナはメモ帳にガリガリと何かを書き込みつつも、『構造(メカニズム)』がわからずうなっている。


 なにやら学者らしい専門用語が口から洩れているが、残念ながら今は戦闘中だ。あまり、彼女の言葉にこたえている暇はない。


「シンシアも上のほうに攻撃よろしく」

「はい」


 シンシアがレイピアを引き絞るように構えると、水を出現させてレイピアにまとわせていく。


「はっ!」


 シンシアがレイピアを突き出すと、その突きがそのまま飛んで行ったかのように、ドラゴンのうろこに直撃する。


「GYAAAAAAAAAAAAAA!」


 絶叫するドラゴン。


「さてと、そろそろ行くか!」


 刀を抜いて突撃するフェルノ。

 間合いに入った瞬間、地面を盛り上げて柱を出現させると、その上にジャンプし、柱の上面を反発しやすい材質に変えることで、高く飛び上がる。

 高速でドラゴンに接近!


「BAOOOOOOO!」


 ドラゴンが尻尾をふるう。


「遅い!」


 妖刀にマグマを流し込むと、刀身の溝にマグマが流れる。

 そのまま一閃すると、しっぽを切り落とした。

 さらにマグマを流し込むと、刀の大きさを超えて、マグマで延長された刀身が出来上がる。


「ふう……『竜刀術(りゅうとうじゅつ)不知火天羅(しらぬいてんら)』!」


 空中で態勢を整えつつ、刀を真上から振り下ろす。

 その一閃は、ドラゴンをたやすく一刀両断した。


 そのままドラゴンは墜落して、魔石を残して塵となって消えていく。


 着地したフェルノは納刀しつつ、手をパンパンと叩く。


「ふう、どうだ?エルフィナ」

「……竜刀術か。確か、王国の東になる『セトナ村』に伝わる剣術だったかな?」

「よく知ってんな。めったに人が来ない過疎地なのに……」

「学者だからね。様々な情報を集めているのさ。実際に見るのは初めてだがね……」


 メモ帳にガリガリと書きうなるエルフィナ。

 一気に情報が増えたため、混乱はしていないがどうまとめようかと考えているようだ。


「……ふむ、決めた」


 メモ帳をパタンと閉じて、エルフィナは言った。


「ん?」

「フェルノだったね。君たち二人のチームに、僕を入れてもらえないかい?」

「……はっ?」

「文献の少ない地属性魔法に対して高い技術を持っていて、実際に見たことのないマグマ属性。加えて、それらを戦闘に活かすセンスは非常に高い。観察し甲斐があるというものだよ」


 いい笑みを浮かべるエルフィナ。


「シンシア。君はどうかな?」

「……私はフェルノ様がいいのであれば、それに反対はしません」

「なら、フェルノ。君はどうする?」


 フェルノはいろいろと頭で考えたが……。


「まあ、いいんじゃないか?エルフィナの知識は馬鹿にはできないからな」


 フェルノ自身がまだ『マグマ属性』というものに対して理解が浅いこともある。

 『異端学者』といわれるエルフィナの頭脳が必要になる日はきっと来るだろう。


「フフッ、いい返答をありがとう」

「エルフィナが入るのなら私も混ざるわ。フェルノには興味はあるし……」


 アリアスはシンシアを見る。

 ……そして、唇を舌で舐めた。


「私をなんだと思っているのですか?」

「フフッ。さあ?どうかしらね」


 貞操には気を付けておいてくれ。

 それを見たエルフィナは笑う。


「フフッ。一応戦力として戦えるところも見せておこうか。おあつらえ向きなドラゴンも出てきたところだし」


 エルフィナがそういって進行方向を見ると、今度は青いドラゴンが空を飛んでいた。


「……本当にこのダンジョンは出現量が多いねぇ……地面から全く奇襲してこない分、空を飛ぶドラゴンが働かなければならないとは、世知辛い話だ」


 エルフィナは右手を向ける。

 すると、魔法陣が即座に出現して、火球が放出されてドラゴンに着弾する。

 火球の速度がかなり速い。かなり『弄っている』ようだ。


「私も行くわ」


 アリアスは槍を構えつつ、自分にまとわせるように風を発生させた。

 その風に巻き込まれそうになって、フェルノは踏ん張る!


「おい!そんな扇情的な格好で『強風』はアカンて!」

「大丈夫よ。絶対に見えないようにするから」

「狙ってんのか!見えそうになるから自重しろって言ってんだよ!」


 遠慮なくボロカスにいうフェルノ。

 どこか『前にも言ったことがある感じ』がするので、どうやらアリアスが言ったように面識があるのは事実のようだ。


「フフフッ、顔が全く赤くならないあなたにそんな配慮はしないわ」

「俺が悪いのか……」


 かなりげんなりするフェルノをしり目に、アリアスは突撃。

 風をまとわせたままで空中に踊るように飛び出すと、そのままドラゴンに接近して槍を突き出す。

 鱗をいとも簡単に貫いた。


 さすがAランク、適性が『中層後半~深層前半』と言われるだけあって、このあたりのドラゴンなら楽勝ということなのだろう。


 そのままエルフィナの炎属性魔法の援護を受けつつ、槍を連続で急所に叩き込んで、最終的には、槍を旋回させて風を巻き起こし、その風の勢いを矛先に集中。


 最後には、特大の風属性魔法ともいえる突きを心臓に叩き込んでドラゴンを倒した。


「……やっぱりあいつもあいつで派手だなぁ。二年前からほとんど変わんねぇ」


 ひきつった笑みを浮かべるフェルノ。


 ……どうやら、これに関してはもうどうしようもないと考えているようだ。


「さて、僕たちの実力はどうかな?フェルノ」


 魔石を回収しつつ、こちらを向くエルフィナ。


「最初から仲間になることは否定してないさ」


 ちょっと……本当にちょっとだけ、何かが手遅れになったような気がするだけでね……。

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