IMMORTALS 05
「ちょいと待った」
カナは萌木を制するように言ったあと広人達を集めた。
「成り行きでここまで来ちゃったけど困ったね」
腕を組み訝しげにカナはそう言った。自分達が世界的に有名なテロリストを相手にするなどとは思いもよらぬことである。ましてやマグナスキルオンラインでは、ゆとり方面にある自分達が正面から相手に立ち向かえるほどの腕があるとは思えない。
「お腹が空いた」
「夜9時以降の食事は太るのだ!」
「毎日じゃなきゃいいでしょ」
リナと薫が緊張感のないやり取りを始めたところで、広人はカナに不審に思っていたことを聞いてみた。
「なんで萌木さんはIMMORTALSの事を知っているんだろう」
「私も詳しく知らないから直接本人に聞いてみる。でも問題はこれからだね…ヨーコさんはテロと戦う理由と覚悟もあるんだろうけど、私達にはそんなものないからね。それに相手を下手に刺激してしまえば、自分達が標的にされる危険もあるし」
「ここに連れてきた時点で、その対策は用意してるんじゃないんですか?」
亜紀が不安を拭い去るかのように呟いた。
「う~んどうだろ。急だったから準備する時間があったとは思えない」
カナは眉間に皺を寄せた。
「シャワー浴びたい」
「シャンプー切れてた!」
「あれ予備なかったっけ?」
真面目な会話に参加する気のないリナと薫を放置して広人は言った。
「この先に進むことさえ大変なのに追跡なんて出来るんだろうか?」
「ヨーコさんの言う事を聞いていればいいと思うけど、そもそも芋樽がマグナを狙う意味がわからない」
ゲーム自体が改造されてしまえばプレイヤーの不安と不審を招き、その運営が困難となるわけだが必ずしも攻撃側にその行為を行うメリットがあるかといえば怪しいものである。他企業からの妨害行為と考えたにしろVRMMOがひとつ消えたところで、他にゲームタイトルは無尽蔵にある。ましてやネットテロを行う場合、相手に感知された時点でその計画や目論は失敗同然のことにもなる上に、常時監視下にあるVRMMOにわざわざ危険を冒してまで侵入する重要性があるとは思えなかった。
「芋樽ってお酒の名前みたい」
「芋焼酎か!」
「飲酒ってハタチからだっけ?」
話だけはしっかり聞いている薫とリナには関心を向けずにカナが言った。
「他に考えられるのは、芋樽の内紛絡みという線かな」
「内輪もめか」
天才プログラマーの集団であれば、自身の技術に確固たる自信とプライドを持っていると考えられる。それがゲーム世界と同様に切磋琢磨の上に生み出されたものならば、私利私欲は別として競合いには充分な意義がある。分裂した事によってIMMORTALSはそれぞれの存在が驚異に値するライバル同士となるわけである。
「内輪ゲンカなら他でやればいいのに」
「面倒ですのう!」
「それに助っ人なら私達じゃないほうがいいと思うんだけどね」
薫の意見は当然と言えた。
「とりあえずヨーコさんに聞いてみるか」
カナは萌木へと歩み寄っていった。




