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IMMORTALS 03

 マグナスキルを使わないように、萌木はそう皆に伝えた。

 その意図は分からずとも明確な理由があっての指示に違いないと広人達は思い彼女の言葉に従った。

「硬すぎるなり!」

 珍しくリナが弱音を吐いた。

「HPが減らない!」

 亜紀でさえ気弱な一言を口にした。

 一つ目の巨人サイクロプスのHPは無駄と思える程に多く、回復に専念している薫を除いた六人掛りの攻撃でも予想に反してHPの減りは緩やか過ぎた。

「ウィークポイントに攻撃を集中させるのです」

 広人は敵の意識を引きつける事に集中した。自分以外の全員の攻撃を巨人の背後から見舞わせるためである。

「黒っち、こっちに連れて来るのです」

 萌木が広人の背後の様子を伝えてきた。振り返らずとも他の巨人が近づいていることが足音から分かった。

「もっと、もっとこっちへ!」

 何とかHPを三分の一ほど削ったところで、リナ・カナ・亜紀の三人が攻撃のペースを上げ始めた。

「早すぎです!」

 ダンジョンのボスモンスターほどではないものの、この先巨人を続けて相手にすることを考えれば出来る限り短時間で決着をつけたほうが良いと考えた三人は、あえて萌木の発言を無視していた。

 グアッ~!と巨人は大声を上げるなり見当違いの方向へと走り出した。

「退却!退却するのですよ!」

 逃げた巨人の姿が壁の奥へと消えたかと思うと、数秒の間を置いて無数の大きな足音が広人達のいる場所へ近づいてきた。

「卑怯なり!」

「仲間を呼ぶなんてありえない!」

 リナと亜紀はそう言いながら、猛然と走り始めた。

「ちょっと待ってよ!」

 逃げる二人に文句の声を上げた薫の手を取り、広人は出来る限りの速さでダッシュをした。植野は萌木とカナを両肩に乗せ両手両足を使い駆け出した。これまでのダンジョンを攻略するのとは訳が違った。新エリア実装を告げる演出にも驚いたが、地下迷宮の仕様には圧倒させられていた。

 どうにか巨人達の追跡を振り切ったものの萌木と植野以外の全員が方向感覚を失っていた。マップで位置確認が出来ないばかりか、目印となるオブジェクトの様なものが見当たらず、似たような道が延々と続いていたからである。亜人アバターの二人は耳を盛んに動かしながら、くんくんと鼻をヒクつかせていた。

 崩れた壁を見つけた広人達は、その奥に八畳ほどのスペースを見つけた。所持しているアイテムと装備の確認を兼ねて休息を取ることにした。

 途中広人達の他にパーティーの姿は見えなかった。大挙してこのエリアを訪れたプレイヤー達はどこに行ったのだろうという素朴な疑問が浮かんできた。

「他の人達は奥に進んだのかな?」

 広人が疑問を口にすると、暗い表情をした薫が言った。

「巨人に食べられたんだよ…」

 皆はギョッとして薫を見た。

 先程の巨人は戦う中で奇妙な動きを見せていた。片手でプレイヤーを掴もうとする仕草をしていたからだ。おそらく掴んだプレイヤーを地面に叩きつける攻撃パターンと思われたが、食べられる事も有り得なくはない。

「食べられたらどうなるの?」

 亜紀が怪しげな顔をして広人に聞いた。

「ンコになるのだ!」

 カナはリナの頭を小突いた。

「行動不能になるだけじゃないの?他のプレイヤーが攻撃することで助け出すことが出来るとか」

 真面目な顔でカナは答えた。

「ゲロまみれ!」

 誰もがその光景を想像したのか、表情を曇らせていた。

「近くに他のプレイヤーの反応が見られないようなので、ここで説明をしちゃうのです」

 壁の隙間から外の様子を伺っていた萌木は、全員の方に向き直ると話を始めた。

「元々は先輩からの依頼なのです」

「依頼?」

 声を揃えた広人達の言葉に萌木はこくり頷いた。

「私たちはとある人々を追跡するためにここに来たのですよ」

 萌木は一息ついでその人物達の名前を口にした。

「彼等の名はIMMORTALS…」

AZURE EYES CAROL 09 追加投稿しました。

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