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KerBerryz08

 日曜の早朝から、ユナとリナは雑誌の撮影の仕事をしていたが、予想外に時間が長引いてしまったことがそもそもの原因ということだった。撮影の仕事のないカナだけが、メイド喫茶で広人を待つ予定になっていたのだが、二人の状況をイベント関係者に説明するため、広人の到着を待たずにやむなくイベント会場に移動したいうことだった。

「メイド喫茶の友達スタッフに事情を説明して紙袋置いてくるのが精一杯だった。運悪く携帯のバッテリーも途中で切れちゃって、充電も間に合わなかった」

 カナは思い出したくないのか、ため息混じりに話した。

「広人くんのメルアド、カナしか登録してなかったし…とにかく会場に来てくれるようにってだけ祈ってた。それに広人くんのお父さんニューロテクモの人だし、何とかなるかな~と…」

 腕組みしながら話を聞く広人を見てユナは言った。

「ひとつ質問だけど…イベント会場を選んだ理由を教えてくれないかな」

 広人の言葉に三人娘は顔を見合わせるとその問にユナが答えた。

「DORSのイメキャラの話が決まったあと打ち合わせがあって、偶然ニューロテクモの開発部長さんだった広人くんのお父さんに会ったんだよね…だいぶ前になるけど。その時なりゆきでマグナの話になっちゃって、息子さんが変なキャラ名で遊んでるってこと聞いて、色々と…その…」

 ユナが口ごもるとカナが続けた。

「キミのリアルを私達だけが知ってる、というのが不公平だって話になって、オフ会やろうってことになった。でも普通に会うより、本当の私達を見てもらいたかった。ライブに誘うっていう話出たけど、まだ回数少ないしチケットは半年先まで完売だった。そこに今回の発表会の話があった」

「口で言うだけじゃネタ投下に思われちゃうしね、百聞一見だと話も早いし…」

 リナの言葉の後、広人は立ち上がった。

「君らの大変さとか忙しさなんて全然わからない。学校行ってゲームして寝るだけのお気楽高校生な俺に、ここまでしてくれてありがとう」

 そう言って頭を下げた。広人の行動に三人娘は動揺したものの、顔を見合わせ声を揃えて言った。

「よかった」


 三人娘は小学校時代から同じダンス教室に通う友達ということだった。中学に入り遊び半分でファッション誌の読者コーナーに揃って応募したのがきっかけとなり、読者モデルとして活動を始めることになった。現在もモデル活動をしているのはユナとリナだけで、カナは二人のサポートをしている。オフ会会場となったマンションはリナとカナの自宅で、父親の単身赴任に母親がついて行ってから、ユナが同居することになり三人暮らしをしていた。仕事の面と同じ女子高に通っていることから色々都合がよいということ。「るりきゃろ」は音楽レーベルの企画に参加したことが発端ということだった。

 マグナスキルオンラインのギルド名「KerBerryz」は三人娘が考えたユニット名で、音楽活動も三人で始める予定だったが、個々の将来的な目標が異なったため、現在は「るりきゃろ」のバックダンサーであるリナとカナのコンビ名になっている。

「色々聞いちゃってから言うのもなんだけど、俺に話して大丈夫なのか?」

 三人娘の話の中には、公表されてない情報もいくつかあった。当然広人は家族にでさえそのことを話すつもりはなかったが、予期せぬ事故発言もあり得る。

「だいじょうぶ…というか、ここまで話すものそれなりの理由があるからだし」

 不敵な笑みを浮かべて話すリナを見て、広人は嫌な予感を覚えた。

「黒氏はもはやリアルでも私達の身内メンバーだから」

身内メンバー?」

 その答えを広人はユナに求めた。すると彼女は…予想通り目を逸した。

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