92話
ローエル王国王城
「オリオン公爵よ、もう少しおとなしく出来んのか」
「あいつは、普通じゃありません。無理です。」
「だが、これは拙いな、スキル玉とはな。」
「迷宮都市に、人々が殺到しているようです。」
「ローエム王国の貴族も多くの者が押し寄せているようだな。」
「そのようです。」
「このスキル玉を如何するのだ。」
「値は張りますが、販売します。」
「ローエム王国に優先的に売ってくれんか。」
「多少は融通できるようにいたします。」
「・・・・・・・」
「・・・・・」
迷宮都市
冒険者ギルド内
「スキル玉の依頼を出したいのだ。」
「こちらが依頼書になりますのでご記入後にこちらにお持ちください。」
「これでよいかな。」
「はい、確認いたします。・・ご依頼の費用ですが、この金額では受ける方はいないです。」
「これで受けさせろ。早急にだぞ。」
「お帰り下さい。この金額では受けれません。この10倍は出さないと受ける方はいないでしょう。」
「・・・・・」
「スキル玉を売る方は少ないのです。冒険者たちは自分で使用する者がほとんどです。」
「・・・・」
受付嬢「これで何件目です。」
「数えきれないわ、もう駄目だわ誰か変わって。」
「依頼者も冒険者も、スキル玉、スキル玉ってそんなに無いわよ。」
「たまに、出てくると取り合いですもんね。」
「 誰か、何とかしてほしいわ。」
アレクは、迷宮都市内にいた。
「師匠、今日は、冒険者ギルドに行く予定ですよ。早くしてください。」
「面倒だね、すっぽかそうかな。」
「駄目ですよ、ユリさんに言われてますから。」
「バレーはお堅いね。冗談だよー。」
「あっそうだ、マルコ。僕の直臣になるんだって。宜しくね。」
「よろしくお願いします。アレクス様。」
「いいよ、みんなみたいに師匠で。今度、魔法を教えてあげるからね。」
「は、はい。し、ししょう。」
「じゃぁ、ギルドに行こうか。」
アレクは、冒険者ギルドはトラブルが向こうからやってくる。どんなトラブルか、ワクワクしているのだ。
「すいません。ギルド長いますか。」
「あっ、アレクス様、お待ちしておりました。こちらにどうぞ。」
アレクは、受付嬢に、案内をされて奥の部屋に案内される。
「こちらで、お待ちください。」
「お待たせいたしました。ギルド長のミジルと言います。態々お越しいただきありがとうございます。」
「相談とは、何でしょうか。」
「そのことなんですが、アレクス様が、迷宮の1層から10層までを管理していることは承知しております。11層より下層も管理なさっているのかお聞きしたいのです。」
「ズバリ、聞きますね。」
「はい、こちらも切羽詰まっておりますので。」
「僕が、すべて管理してるよ。」
「どうか、どうか、スキル玉をお売りください。」 土下座するミジル。
「スキル玉、いいよ。いくつ欲しいの。」
「えっ、いいんですか。」
ミジルは土下座をしたままで、アレクと話をしていく。
「実は、剣のスキル玉が欲しいんです。1つ欲しいです。」
「売るのはいい。理由を聞かせてくれるかな。」
「はい。」
ミジルには、弟がいる。まだ現役の冒険者だ。その弟は、決闘をすることとなっている。剣の腕前は普通だ。だが何としても勝たせてやりたい。
「どうして決闘になったの。」
「弟は、結婚をする予定でした。貴族のお嬢様です。弟は平民なのですが、一緒にパーティーを組んでましてそのような話になりました。ところがそのお嬢様の親が決めた、婚約者がメンツをつぶされたと決闘を申し出てきました。剣での決闘です。」
「あれ、決闘って、申し込まれた方が武器を選べるんだよね。」
「それなんですが相手は貴族です、平民には何も言えないのです。向こうも面子が掛っていますので、ルールも無視してきています。何を言っても聞いてもらえません。」
「そうなの、なんて貴族なの。」
「ローエム王国のマーゼル子爵のご子息でルイスです。」
「決闘はいつなの。」
「3日後になります。」
「その弟に会って話をするよ。スキル玉は話をしてからだね。明日また来るから呼んでおいてね。」
「はい分かりました。よろしくお願いいたします。」
翌日
「初めまして、ミジルの弟でルジンと申します。」
「僕は、この迷宮都市の領主でアレクス。宜しく。さてルジンさん何で逃げないの二人で逃げちゃいなよ。」
「・・・領主様、私は平民です。貴族相手に逃げれば、私以外の家族、親戚が被害を受けます。できないのです。」
アレクは、素直に謝った。「ごめん。配慮しないで喋っていたね。」
ルジンも焦った、領主が謝るとは思わなかったのだ。「いえいえ、とんでもないです。すいませんです。」
アレクは、ルジンから状況を改めてきいていく。ルジンと結婚の約束をしているのは、ローエム王国の男爵家のステラ・マルソー、三女との事だ。
ルジンとステラは同じパーティーに所属をしていて恋仲になり結婚の約束をしたが、親が婚約者を連れてきた時に結婚の話になった。そして婚約者予定のルイスが激怒して、決闘となった。
マルソー男爵も謝り、取りなそうとしたが無駄だったようだ。
「ルイスは剣が得意なの。」
「はい、相当の腕前の様です。私は槍が得意です、剣はあまり出来ません。」
アレクは、ルジンにステータスカードの登録をさせた。アレクはルジンの能力を見てみる。
「まあまあだね、これなら剣でも何とかなるでしょう。はい、スキル玉。」
「えっ、いいんですか。お幾らになりますか。」
「無料はまずいか、そうだね。冒険者は引退するの。」
「結婚を機に引退します。」
「そう、だったら僕の家臣になりなよ。そうすればすべて解決するよ。」
アレクは満面の笑みで、誘う。
ルジンは、即答する。「宜しくお願いします。領主様。」
「なら、今から僕の家臣だね。宜しく。家臣の決闘なら僕が立ち会うからね。」
決闘当日
ルジンとルイスがギルドの練習場にて決闘を行う。立会人は、ローエム王国の騎士団員のようだ。ローエム王国では、決闘の場合、証人として騎士が立ち会うようになっている。
騎士が「ルイス殿とルジンの決闘を行う。武器は双方剣でよいな。」二人は頷く。
「決闘の説明を行う。決闘において相手を殺しても罪にはならない。勝敗は相手が負けを認めるか戦闘不能になるかで判断をする。その判断は私が行う。よいな。」
「では、始めよ。」
ルジンとルイスが剣を抜く。ルイスは上段に構え、ルジンは中断の構えだ。
仕掛けたのはルイスだ。一気に間合いを詰めて渾身の一撃を振り下ろすが、ルジンはその剣を受け流す。ルイスは驚いて一瞬、間が開いてしまった。その隙をルジンは受け流した剣で切り返して相手の喉元に剣を突き付けた。
「負けを認めてください。俺の勝ちです。」
「・・・・・・俺は負け・・てな・い・・」
決闘場に大きな声がする。「ルジン相手を殺せ、殺さねば終わらないぞ。」
ルジンは、一瞬ためらったが、突き付けている剣で、相手をそのまま突き刺した。
「勝者。ルジン。」
騎士の宣言が響き渡る。




