93話
ルイスの死に激怒したのが、決闘を見ていたマーゼル子爵だ。
マーゼル子爵の護衛と共に、騎士に詰め寄り大声で叫んでいる。
「平民が、貴族を殺したのだ。そいつを殺せ。私の、私の息子が負ける訳がない、何か細工をしたのだ調べろ。すぐにだ。」
騎士は相手にしない。自分が立会人となったのだ。真剣勝負での結果を見ていたのだ。
マーゼル子爵は、護衛にルジンを殺せと指示を出す。5人の護衛達はルジンの周りを囲む。
「それはダメでしょう。もう決着はついています。ルジンの勝ちです。」
マーゼル子爵は「誰だお前は、ルイスを殺せと叫んでたやつだな。こいつも同罪だ殺せ。」
アレクはため息をする。「ハーー。ダメだなお前も護衛もダメだな。」
護衛はアレクに二人が襲い掛かってきた。アレクは護衛二人に魔力弾を2発放つ。「パン、パン。」
2発の魔力弾は護衛の額に穴をあけた。二人の護衛は即死であった。
マーゼル子爵は、腰を抜かしてしまった。まさか護衛が殺されるとは思っていなかった。
残りの護衛もひるんでしまった。
「僕を殺そうとしたんだ。死ね。」
アレクは、護衛の3人とマーゼル子爵に魔力弾を撃ちこみ殺した。
決闘の場所は静まり返っていた。決闘を見物に来た者たちは、この衝撃に声も出ない。
まさか貴族を殺してしまうとは思わなかったのだ。
「私は、迷宮都市の領主のアレクス男爵である。正式な決闘を汚し、ましては私を殺そうとしたのだ。何か異議のある者は申し出よ。」
「・・・・・・・」
「立会人の騎士よ。ローエム王国への報告は頼むぞ。」
「はっ、私の見たことを正確に報告いたします。」
「そうか。」
アレクは、その場を去っていった。
周りの観客は、一言もしゃべれなかった。ただ見ているだけである。
冒険者ギルド長のミジルは、領主が貴族を殺すとは思っていなかった。男爵が子爵に逆らうとは思わなかったからだ。ミジルは勘違いをしていた。ルジンを守るため男爵は家臣にしてくれたのだ。そして子爵に逆らってまで守ってくれたのだ。
アレクは違った。自分を殺そうとしたから殺しただけだ。
アレクにしたら良い方に勘違いをしてくれたと喜んだろう。知っていればだが。
だがこの問題は大きくなって行く。男爵が子爵を殺したと。マーゼル子爵の周りが騒いだのだ。
ローエム王国王都で、マーゼル子爵の後継者争いの中、アレクを標的にして後継者に勝つために敵討ちと騒ぐ者がいたのだ。
アレクは相手にしなかったが、段々と話が大きくなり、ローエム王国王都に呼び出しを受けたのだ。
ローエム王国王都
王都公爵邸
「アレク、王都では大変な騒ぎになっている。どうするんだ。」
「えっ。なにもしないよ。勝手に騒いでいるだけでしょ。」
ルドルフとレオンは、何言ってんだこいつは、こんなに騒ぎになっているのに何もしない。
騒ぎが収まらないだろうとアレクに説明をする。
「そうですか。でも相手の身勝手な言い分を聞く気になれませんね。もしローエム王国が相手の肩を持つなら、ローエム王国は潰しましょうね。」
アレクは、笑っていた。
ルドルフは、ハロルドに連絡を入れて緊急事態としてローエル王国に呼んだのだ。
ハロルドは、緊急だとローエル国王に面会を申し出た。
直ぐに面会となり、ハロルドは国王に事情を話した。
アレクを怒らせたならローエム王国は潰されると伝えたのだ。以前にオリオン公国もアレクを怒らせてとんでもないことになったと当時の話をしたのだ。
ハロルドは国王に、アレク1人にローエム王国とオリオン公国が全員が立ち向かっても勝てないだろうと伝える。今回の件も事情を聞いたが罪になるような事はしていない。だからアレクは怒るのだと伝える。呼び出した事情によっては、ローエム王国に宣戦布告をするかもしれないと言う。
国王は、さすがにそれは無いだろうと思ったようだ。
「言い過ぎではないのか。」
「控えめに言っているつもりです。アレクは何で呼び出されたのですか。」
国王は黙る。「・・・・・」
「本当にただ乗せられて呼んだだけなのですか。」
「・・・・そうなるな。」
「国王は、今まで魔法開放など色々なものはオリオン家が造り出したと思っていませんか。」
「そうだが、違うのか。」
「私は、アレクがすべて造ったと説明をしていますよ」
「・・・・そうは言っていたが、普通信じるか。」
「信じられなくとも事実なのです。」
「ローエム王国は何かしないと滅びますよ。」
「さすがに信じられん。」
ハロルドの説得は失敗した。
トジャス・マーゼル子爵とアレクス・オリオン男爵がローエム王国の謁見の間にいた。
マーゼル子爵となったトジャスがアレクを非難する。子爵を男爵が殺すなどありえないと痛烈に批判をする。アレクは平然としている。
ローエル国王は、アレクを観察していた。公王もアレクが罪に問われないと事前に知っていたのに、前日に説得に来たのだ。ハロルドの話が事実なのではと少し思ったのだ。
なのでローエム国王は、無言でいた。
トジャスの批判が続いていたが、アレクが何が問題なのだと質問をする。
「私を殺そうとした者を、殺して何が悪いのですか。」
トジャスは、爵位が上の子爵を殺したのが問題だと大声で叫ぶ。
「では黙って私が殺されろと言うのですか。」
「そうだ、お前が死ねばいいんだ。」
「あなたは、私を殺しますか。」
「ああ、お前を殺す。殺されろ。」
アレクは、諦めた顔をする。トジャスは、勘違いをする。殺させるのを覚悟したのだと。
アレクは、トジャスに指を向ける。 「バン」 トジャスが死んだ。
謁見の間は、誰も喋らない、喋れない、喋りたくない。
国王はハロルドの言葉を理解した。
国王は一言。「これで問題は片付いた、謁見を終了する。」
国王は、退席していってしまった。残された者も国王が宣言をしたので、ポツポツと退席していく。
アレクも、少し不満であったが終わったからいいやと思い公爵邸に帰っていった。
公爵邸に帰ったアレクは、ハロルドと話をしていた。
「アレクも、多少は不満もあろうがこれで納めろ、よいな。」
「はい、分かりました。」
「しかし、バカばかりだな貴族は、特にマーゼル子爵か。」
「話が通じませんね。黙って殺されろなどと、よく言えますよね。」
ハロルドも、マーゼル子爵はさすがに酷すぎと思っている。
「まぁな、そういう貴族もいる。」
ローエム国王は、恐怖の中にいた。あのままなら皆、殺されていたかも知れない。
ハロルドの言葉は真実を語っていたのだ。国王の中でアレクは最重要人物になった。




