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最弱勇者は吟遊詩人  作者: 神崎柴乃
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呪具『人鎖』

何も無い真っ白な空間に座席が1つ。徹底的に白く染められた部屋にそぐわない黒い椅子。ここにグランドピアノがあればそれに座って演奏会でもやれそうだ。


「ここは……。」


ルウの予知夢の時とも違うけれど神殿のような厳かな雰囲気をまとった空気があった。


「やぁ、久しぶりだね桜馬君。息災かな?」


背後からの声。そして振り返ると白い髪の中性的な人物がいた。背丈は160センチ程。青い瞳を薄く開き、微笑んでいる。


「誰だお前。」

「声で気づかない?1度会ったはずだよ?この服装に見覚えない?」

「……あ……。えと……ルークか」

「そうそう。」

「それで?おれに何の用だ?」

「相変わらず君って驚かないね。」

「驚いて隙を晒せば死ぬかもしれない。目の前で起きた現実は受け入れるさ。」

「……。まぁ、君をここに呼んだのは特別なんの意味も無い。ボクは君達をボクらの事情で巻き込んだ身だからね。」

「お前らの事情?」

「あぁ。そうさ。ボクらは世界の数だけ居るが時折何の因果か接近することがある。君がイメージしやすい言葉で言うなら隕石が1番近いかな。」

「ほう?それが災厄と?」

「そうそう。飲み込み早いね。ボクら神だって自分の世界位は守りたい。領土みたいなものだから。それが急に近づいてきたものに掠め取られちゃ神としての力も目減りしてしまう。まぁ、そうやって人の領土を掠めとって新人の神共は力を増していくんだ。そして、ある程度力を持てば複数の世界の管理だってできる。君が住んでいた地球にもドラゴンや魔物なんかの伝承はあったろ?あれは元はひとつの世界だった物が2つに裂けた結果なのさ。」

「……へぇ。」

「ボクが持つ世界は二つだけ。君の住んでた世界とこの世界だけさ。」

「俺の住んでた世界に災厄なんて……。」

「あるんだよ。君が知らないだけで。」

「そういうもんか。」


結局こいつはなんの為に俺を呼びつけたのだろう。そんな思いが顔に出ていたのか心を読んだのかルークは急に笑い出し答えた。

「はははっ。いやぁ悪い悪い。長話が過ぎたね。近々やばい事が起きる。これは災厄じゃない。言うなれば世界のバグ修正みたいなものだ。経験値にはもってこい。だけど危険だから気をつけな。もう()()()()()()()()()()?一応呪具対策は施してあげたから暫くは平気だろうね。保証はしないけど。」


「……。あぁ。もちろんだ。」

「なら強くなる事だ。今よりも更に……ね」


目を覚ますとそこにはルウとリンとアリスがいた。起き上がってみればクリスがあの男から何やら聞き出している。

「起きたか。軟弱者。」

「急にどうしたのよ」

「お身体の具合……悪いのですか?」


クソ……四番め……。こんな大勢を前に乗っ取りやがって……。

心の中で悪態をつきながらこれをどう説明しようか思案しているとクリスがやってきた。

「お、起きましたね。皆さん大変ッスよ〜。どうやらバカ王子がユウさん御一行を探してるみたいっス」

「へぇ。公理教会もだろ?」

「あ、もう知ってました?」

「いや、他にあるなら聞こう。」

「了解っス。えっとこのオッサンは公理教会っていう何かよく分かんないよく分かんない神様を崇めてる組合が有るんスけどそこの幹部みたいっス」


「公理教会!?何でまたそんな所がユウを捕縛する気だったの?」

「それはあのバカ王子が無茶な命令したらしいっすよ。狙いはルウさんらしいっス。」

「私ですか?」

「そりゃ一体なぜだ?」

「オッサンはユウさん達を捕縛したあと偉い人と合流して公理教会本部に連れていくっていう任務しか聞いていないらしいっス。」

「して、その公理教会ってのは……」

「純血を重んじる宗派の集まりね。貴族や王族出身者が多くてやな奴ら。」

「ふむ、蹴散らすか?」

「やめとけ。お前が行ったら冗談にならない。」

「確かに……。」

どうせ碌でもない連中である。1度ダメならめげずに攻めてくるだろう。

「よし、うだうだするより目的を果たそう。とっとと王都から離れるぞ。」

「了解っス」

「そうね。あのオッサンはどうする?」

「公理教会本部って噴水あるか?」

「あ……確かあった気がするわ……。」

「そこに叩き込んどこう。」

「了解っス。誰にも見つからずにやって来るッスよ〜」

「いってら〜」


鎧の下でチャリチャリと鎖が鳴る。最初に気づいたのはリンだった。

「主、さっきから気になっているのだが、その鎖はなんだ?」

「あ?」


見れば黒い鎖がネックレスのように付いている。黒く、艶やかな鎖は一見すると美術品のようだ。

「知らん。何だこれ?」

「我の眼では何かの呪具の様だが……?」

「呪具?あぁ。そういう事か。」

「どういう事だ?」

「まぁ、暫くは暴走しなくて済むって事だよ。」

「そうか。」


「戻りました〜!」

「早っ」

「お嬢!外で祭りやってるみたいっスよ」

「祭り?」

「えぇ。どうっスか?」

「ユウ、どうする?」

「祭り?いんじゃねぇの?」

「じゃあ決まりね!」


そう言うとアリスは意気揚々と自室に篭もってしまった。

祭り……何年ぶりか。公理教会の事は今は置いておいて祭りに意識が向けられる。

少し楽しみだった。

遅くなりましたが更新です

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