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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
Phase 3:【拡張・廃墟都市編】

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第60話:かりそめの連携。忍び寄る綻び

突如現れた新型防衛ユニットを前に、アオイの指示、ユズの爆発物、セイラの鎖、レナの魔法が完璧に噛み合う。それぞれの役割を最大限に発揮した連携により、カイたちは危機を突破する!

 地下室に充満する冷徹な機械音。視界の端に映り込む、ユニットたちの赤いセンサーライトが、俺たちを「イレギュラーなバグ」としてロックオンしていた。

「……うーん、ずいぶんと物騒な歓迎ですね。商売の邪魔ですよ」

 ユズが苦笑しつつも、手にした爆発物の安全装置を親指で弾く。彼女の瞳には、商人として培った冷静な観察眼と、戦友としての覚悟が宿っていた。

「アオイ、敵の行動予測を頼む!」

「任せて! ……正面の3体は高出力のレーザー、左右の2体は高速での接近攻撃ね。カイ、左側の接近を止めてくれれば、正面のレーザーは私が足元を崩して無力化するわ!」

 アオイの指示が飛ぶと同時に、俺は足を踏み出した。

「リライト——『運動阻害ベクトル・ブロック』!!」

 俺の右目が黄金に輝き、襲いかかろうとしたユニットたちの機動を強制的にねじ切る。動きが鈍ったその瞬間、セイラが香炉を大きく振り回した。

「聖なる鎖よ、絡めとれ!」

 空気を切り裂く鋭い音と共に、鎖が奔流のようにユニットたちを拘束する。聖女としての優雅な身のこなしとは裏腹に、その鎖の打撃は鋼鉄の装甲すらも容易く凹ませた。

「そこですわ、セイラ!……今の隙に、焼き払います!」

 レナが叫び、放たれた赫炎の裁きが空間を満たす。炎は爆発物の残火と共鳴し、地下室全体を真っ赤な火柱が包み込んだ。敵ユニットたちが電子音を上げてショートし、機能停止していく。

 その最中、俺の隣ではエヴァが集中を極限まで高めていた。

「……敵のメインコアの構造、解析終了。……マスター、私のエネルギーを敵の回路へ直接送り込みます。リライトの同期率を最大に」

「ああ、いくぞ!」

 エヴァの手と俺の手が重なり合い、純粋な意志の奔流が新型ユニットたちの心臓部コアを駆け抜ける。ユニットたちは悲鳴を上げるようなノイズを発し、完全に機能を停止して崩れ落ちた。

 静寂が戻った地下室。ユズがホコリを払いながら、壊れたユニットの残骸から光るデータコアを回収する。

「やりました!さすがの連携です。これがあれば、みんなの装備もワンランク上になるはずですよー」

 そう言って笑うユズの表情を見て、俺は安堵の息を吐いた。エヴァの力だけに頼っていた塔の攻略とは違う、確かな手応えがそこにはあった。

「……マスター。先ほどの連携、計算外に効率的でした。……特に、私の邪魔をしない範囲でのレナの炎、評価します」

 エヴァがそっと俺の背後に回り込み、服の裾を掴んで小声で言う。その口調は相変わらず独占欲に満ちているが、戦い終わった後の安らぎがそこに混じっていた。

「……レナはともかく、みんなのサポートのおかげだろ」

「……そうですね。……では、この報酬として、今夜の密着補習を二時間延長します。異論は認めません」

「……だから、それはどういう計算なのよ!?」

 俺が苦笑している横で、アオイとユズが顔を見合わせて笑い合い、セイラがそんな俺たちを聖女のような慈愛に満ちた表情で見守っていた。

 荒廃した世界でも、こうして仲間たちが笑い合える——それが、エニグマの論理にはなかった「本当の正解」なのかもしれない。


第60話、お読みいただきありがとうございました!

集英社WEB大賞へのエントリー、気合が入りますね!各ヒロインの役割を際立たせる連携戦闘、いかがでしたでしょうか。戦い終わった後のエヴァの強引な密着と、それに対する仲間たちの空気感を描くことで、シリアスとラブコメのバランスを調整しています。

次回からは、さらに外の世界の謎と、ヤトの正体に迫るエピソードへ進みます。

続きが気になる方は、ぜひ☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!

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