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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
Phase 3:【拡張・廃墟都市編】

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第48話:地下の聖域(サンクチュアリ)と、白銀の遺産(エヴァ)

拓真が命を懸けて繋いだ、僅かな時間。

カイたちは、黄金の光に飲み込まれゆく廃墟都市を抜け、時計塔の地下深部へと辿り着いた。

貨物用エレベーターの先、エニグマの支配すら届かない最下層に眠っていたのは、失われた時代の『決戦兵器』。

カイの声に反応して目覚めたその兵器は、あまりにも美しく、そしてあまりにも空気を読まない「美少女」だった。

崩れかけた時計塔の地下。貨物用エレベーターの錆びついた扉の前で、俺は拓真の言葉を噛み締めていた。


「……マスターキーを、叩き込め!」


 俺は右目の奥に渦巻く熱を、そのまま拳へと集中させた。

 黄金の光を帯びた拳が、エレベーターの制御盤へと炸裂する。


「リライト——接続開始アクセス・スタート!!」


 黄金のノイズが制御盤に奔り、死んでいた機械が、まるで心臓が鼓動を始めたかのように、ゴォォォ……という重低音を鳴らし始めた。

 ゆっくりと、扉が開く。


「……拓真さん、どうか無事で……!」


 俺は心の中で祈りながら、みんなをエレベーターの中へと押し込んだ。


 エレベーターが地下深部へと下降するにつれ、地上を覆っていた黄金の塔の圧迫感が、嘘のように消えていった。

 ここは、エニグマの支配が届かない、システムの「空白地帯」。


 チーン、と音を立てて扉が開いた先は、純白の光に満ちた、巨大な円形の部屋だった。

 部屋の中央、ガラス張りのポッドの中に、この場所に似つかわしくに「少女」が安置されていた。


「……え? この子が、決戦兵器……?」


 レナが呆然と呟く。

 ポッドの中にいたのは、透き通るような白髪、そして白いドレスを纏った、あまりにも美しい少女だった。


「……人間、じゃないわ。……超高性能のアンドロイド。……エニグマの基本論理とは異なる、古いコードで構成されてる」


 アオイがタブレットの解析画面を見ながら、驚きに目を見開く。


「……でも、起動しないわ。……強力なプロテクトがかかってる。……わたしの解析でも、解除は不可能……」


「拓真さんは、俺の声に反応するって言ってた」


 俺はポッドへと近づき、ガラス越しに眠る少女を見つめた.

 彼女の閉じた瞼は、俺の右目と同じ、黄金の紋章が刻まれているように見えた。


「……起きろ。……俺の声が、聞こえるか?」


 俺の言葉が、部屋全体に響き渡った。


 瞬間。

 ポッドのガラスが、黄金の光を放ちながら、ゆっくりと開いていった。

 少女の瞼が開き、その奥から、鮮烈な「赤い瞳」が俺を捉えた。


「……あなたが、私の……マスター?」


 鈴を転がすような、清澄な声。

 少女はポッドから這い出ると、俺の目の前へと歩み寄った。


「ああ、協力してくれ。……俺は、カイ。お前は……?」


 俺の問いに、少女は答えることなく、ふわりと俺の胸へと飛び込んできた。


「……え?」


 驚く暇もなく、彼女の唇が、俺の唇を塞いだ。


 黄金の光が、俺と彼女の間で爆ぜる。


「……な、なななな……ッ!? 何をしてますの、この泥棒猫ぉぉぉぉぉッ!!」


 レナの絶叫が部屋中に響く。

 セイラも香炉を落とし、アオイとユズは目を見開いて固まっていた。


 少女は唇を離すと、顔を赤らめることもなく、無機質な赤い瞳がレナたちを一瞥した。


「……マスター登録、完了。……個体名『エヴァ』。……マスター・カイのパートナーとして、現実に再定義リライトされました」


 エヴァはそう言うと、俺の腕にベタベタと抱きつき、他の女性たちを威嚇するように振る舞う。


「……マスター。……このデータの残骸レナたちは、エヴァのサポートに不要です。……削除デリートしてもよろしいでしょうか?」


「削除って……!? あ、あなた、何を言ってますのッ!!」


 レナの周囲の空気が、かつてない熱量で歪む。

 だが、エヴァは冷ややかな目でレナを見つめ返す。


「……マスター。……エヴァのサポート能力は、マスターのリライトの出力を、最大で1000%までブースト可能です。……このデータの残骸レナの炎など、エヴァのブーストがあれば、ただの火遊びに過ぎません」


「……1000%……! ?」


「……マスター。……黄金のバベルへの反撃、開始します。……エヴァのサポートがあれば、マスターのリライトは、世界を再定義できます」


 エヴァは俺の腕に抱きついたまま、黄金のバベルへの反撃のビジョンを、俺の脳内に直接流し込んだ。

 そのビジョンは、拓真が命を懸けて繋いだ、唯一の希望だった。


「……エヴァ。拓真さんがどうなったか調べられるか……?」


 俺の問いに、エヴァは冷徹に答えた。


「……検索中。……個体名『拓真』の生存確率は、0.001%。……マスター。……マスターの生存が、最優先です。……余計なデータの残骸(拓真)に、心を砕くのは非合理的です」


「……データの残骸って……! 拓真さんは、私たちを逃がすために……!」


 レナが、エヴァに向けて炎を放とうとした。

 だが、俺はそれを制した。


「……レナ、止めろ。……エヴァの言う通り、今は反撃を開始する。……拓真さんが、繋いでくれたこの未来エヴァを、無駄にはできない」


 それを聞いたエヴァは勝ち誇ったような態度で胸を張る。

レナたちは悔しそうに拳を握りしめるしかできなかった。

 俺はエヴァのサポートにより、黄金のバベルへの反撃を開始する。

拓真の安否を気にするレナたちの前で、俺はエヴァと共に、エニグマへの反旗を翻した。

第48話、お読みいただきありがとうございました!

拓真が繋いだ、地下の聖域。そこに眠っていたのは、カイの能力をブーストする、美少女アンドロイド「エヴァ」でした。

起動と同時にカイに口づけをしてマスター登録! さらに独占欲が強く、他のヒロインたちに対しては「データの残骸」と呼ぶなど、空気を読まない性格。

しかし、そのサポート能力は抜群に高く、カイのリライトの出力を1000%までブースト可能!


次回、第49話。

エヴァのサポートにより、カイが黄金のバベルへの反撃を開始!

エニグマが送り込んだ、さらなる「使徒」を前に、覚醒したカイのリライトが炸裂します。

そして、他のヒロインたちは、エヴァのサポート能力に、強く出れずにやきもきする……。


続きが気になる方は、ぜひ下部の☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!

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