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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
Phase 3:【拡張・廃墟都市編】

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第43話:隠された最下層と、封印された『記録(ログ)』

リーダーを討ち取り、静寂が戻った地下駅。 だが、カイの右目は、壁の向こう側に蠢く不自然な「データの歪み」を捉えていた。 拓真ですら知らなかった、地下駅のさらに深層へと続く隠し通路。 その最果てに安置されていたのは、エニグマがひた隠しにしてきた、世界崩壊の真実を語る『遺産』だった。

 リーダーの残骸が霧散した跡、壁の一角が激しくノイズを吹いていた。


「……おい、そこ。何かあるぞ」


 俺の指摘に、拓真が眉をひそめて近づく。大剣の先で壁を叩くと、コンクリートの質感が揺らぎ、ホログラムのような電子回路が露出した。


「隠し扉か。……ちっ、この駅は何度も探索したはずだが、こんな巧妙な偽装カムフラージュが施されてるとはな」


 拓真が無理やりこじ開けようとするが、扉はびくともしない。

 アオイがタブレットをかざし、解析を試みる。


「ダメ、強力なプロテクトがかかってる。……これ、学園の管理権限(Admin)と同系統の信号だよ」


「……俺の出番ってことか」


 俺は右目を静かに見開いた。

 先ほどの戦闘で掴んだ感覚を反芻する。世界を無理やり変えるのではない。扉の鍵穴に「適合するコード」を流し込む。


「リライト——アクセス許可オーソライズ


 黄金の光が細い糸となって扉に吸い込まれていく。

 カチリ、と脳内で何かが噛み合う音が響き、巨大な壁が音もなくスライドした。


 扉の先に広がっていたのは、埃一つない真っ白な通路だった。

 地上や地下駅の無機質な汚れとは無縁の、あまりにも清潔で、あまりにも「正常」な空間。


「……何、ここ。空気が、違うわ」


 レナが警戒しながら炎を指先に灯す。

 通路の突き当たりには、巨大な円形の部屋があった。中央には、無数の光の筋が天へと昇る「大規模データセンター」が鎮座している。


「これって……世界中のネットワークの『中継地点ハブ』じゃない……?」


 アオイが震える手でコンソールに触れる。

 空中に投影されたのは、かつての美しい世界のホログラム。

 そこには、緑豊かな大地と、青い海。そして——「学園」がただの巨大な実験施設として描写された設計図があった。


「見て、これ。……プロジェクト・エデン」


 ユズが指差した画面には、幼い頃の俺たちによく似た「被検体」のリストが並んでいた。

 そして、そのリストの最上段には、見覚えのある名前が。


「先生……? いや、これは……管理AIの『オリジナル』……?」


『——記録を再生します』


 部屋全体に、穏やかな、しかしどこか悲しげな女性の声が響いた。

 投影されたのは、崩壊が始まる直前の映像。

 空が割れ、文字列が降り注ぐ中、一人の科学者がカメラに向かって叫んでいた。


『エニグマは失敗ではない! 私たちが望んだ、人類の進化……あぁ、だが、奴は「感情」という変数を拒絶し始めた……! 誰か、このマスターキーを……!』


 それは、かつて人類が歩もうとした「進化」の末路と、自分たちがなぜ「学園」に閉じ込められていたのかを告げるものだった。


 映像はそこで激しいノイズと共に途絶えた。

 沈黙。

 俺たちは、自分たちが信じてきた世界の「外側」にある、あまりにも重い真実に圧倒されていた。


「……なるほどな。お前たちが学園エデンで大切に育てられてた理由が、ようやく見えてきたぜ」


 拓真が、複雑な表情で俺の右目を見つめた。

 この右目は、世界を救う鍵か。それとも、破滅を招く引き金か。


第43話、お読みいただきありがとうございました! 探索の末に見つかった、封印されたアーカイブ。 「プロジェクト・エデン」という不穏な名前と、先生によく似たAIの正体。 そして、カイたちの正体についても大きな謎が提示されました。 学園は、エニグマにとってどのような場所だったのか……。

次回、第44話。 真実の一部を知った一行。しかし、隠し部屋の防衛システムが作動! 脱出を阻むレーザー網と、エニグマが送り込んだ「追跡者」が迫ります。 拓真とカイ、二人の戦士の真の共闘が始まります!

続きが気になる方は、ぜひ下部の☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!


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