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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
【Phase 2:世界再構築編】

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32/55

第32話:奈落の隠し通路と、忘れ去られた教育者(NPC)

ルナが身を挺して展開した「保護の光」。

最強の刺客・執行者の猛攻を一時的に凌ぐものの、光のドームには無情な亀裂が走り始める。

絶体絶命の窮地でアオイが見つけたのは、時計塔の地下へと続く未知のルートだった。

暗闇の先に待ち受けていたのは、敵か、味方か——。

ギィィィィィィンッ!


 白銀の騎士が振り下ろす大剣が、蒼い光のドームに弾かれる。

 だが、その衝撃のたびに、ドームを維持するルナの小さな体がビクリと震え、光にヒビが入っていく。


『キュ、ウゥ……ッ……!』

「ルナ、もういい! 無理するな!」


 俺が叫ぶが、ルナは必死に翼を広げ、俺たちを守り続けている。

 リライトの反動で焼けるように熱い俺の右目が、無慈悲な現実を網膜に映し出す。


【保護ドームの耐久値:残り12%】

【執行者の再チャージまで:3秒】


「カイ、こっち! あの壁の奥……私の記憶にある『正常な時計塔の構造図』と違う! 本来なら、あんな空間はないはずだよ!」


 アオイが、崩れかけた壁の一角を指差した。

 その言葉に反応したユズが、目を細めて壁の奥の歯車を観察する。


「本当だ……。ただバグって壊れてるんじゃない。あの三つの歯車、隠し扉を開けるための連動ギミック(仕掛け)みたいに動いてます!」


「ユズ、あそこの隙間に何か挟めるか!?」

「任せてください! ……これなら!」


 ユズが懐から取り出したのは、バグから回収した『高硬度の結晶』を加工したくさびだ。

 彼女が正確にそれを歯車の間に叩き込むと、ガガガッという異音と共に、床の石畳がスライドし、地下へと続く螺旋階段が姿を現した。


「よし! 二人とも、レナとセイラを連れて先に降りろ!」

「カイ様!? あなたはどうするつもりですの!」

「俺が最後だ! 行け!!」


 レナたちが階段へ飛び込んだ直後、光のドームが粉々に砕け散った。

 執行者の赤い双眸(鏡面)が、俺を捉える。


『キュゥッ……!』

「ルナ!」


 ルナが身を挺して俺を庇う。

【Eva分体の活動限界。スリープモードに移行します。】


ルナが光に包まれて俺の右目に吸い込まれる。

その勢いのまま地下通路へと飛び込んだ。


「アオイ、ユズ! 扉を閉めろ!」


 上から降りてきた石畳が、入り口を完全に封鎖する。

 直後、頭上から凄まじい衝撃音が響いたが、どうやら突破は免れたようだった。


「はぁ、はぁ……ルナ……」


天の声でスリープモードと言っていた。ルナは生きてる。

今はこの状況を脱しなければどうにもならない。俺は右目を軽く押さえ冷静さを取り戻す。


 真っ暗な通路。

 セイラが香炉に火を灯すと、淡い光が地下の全貌を照らし出した。

 そこは、埃にまみれた古い書庫のような場所だった。


「ここ、ただの地下室じゃないわ。……見て、この名簿」


 アオイが拾い上げた一冊の本。

 そこには、今の学園からは消去されたはずの『かつての教師たち』の名前が並んでいた。


「勝手に入ってくるとは、礼儀の知らん生徒たちだな」


 闇の奥から、低く掠れた声が響いた。

 全員が息を呑み、声のした方へ武器を構える。


 現れたのは、ボロボロのスーツを着た、片腕がノイズで消失している初老の男だった。

 彼は割れた眼鏡の奥で、鋭い眼光を俺たちに向ける。


「……先生、なのか?」

「先生、か。……久しく呼ばれていなかった言葉だ。私は『第42代・学園管理AI』——だった残骸だよ。君たちが、エニグマに盾突いている馬鹿者かね?」


 彼が指差した先には、地下に潜伏している数名の、意志を持ったNPCたちの姿があった。

第32話、お読みいただきありがとうございました!

執行者の追撃を振り切り、辿り着いたのは忘れ去られた地下の潜伏者たちの拠点でした。

ルナは力を使い果たしスリープモードに移行してカイの右目に…。

その先にいた元管理AIの教師NPCは、果たして敵か味方か。

学園の成り立ちに関わる重大な秘密が、次明かされようとしています!


次回、第33話。

「先生」から語られる、エニグマの致命的な弱点と、カイの右目の『真の権限』について。

続きが気になる方は、ぜひ下部の☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!

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