表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
【Phase 2:世界再構築編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/55

第30話:書き換えられる理(ことわり)と、蒼き再誕

時計塔の最深部で突きつけられた、残酷な二択。

仲間を救えば世界が消え、世界を救えば仲間が消える。

エニグマの嘲笑が響く中、極限状態に陥ったカイの右目と、胸元で眠るルナに異変が起こる。

「三つ目の選択肢」を掴み取るための、命懸けの書き換え(リライト)が始まる。

『さあ、答えを聞かせてください。あなたが救うのは、自分たちの命ですか? それとも、ただのデータ(NPC)ですか?』


 エニグマの声が、時計塔の冷たい壁に反響する。

 カプセルに閉じ込められた生徒たちのデータが、一秒ごとに光の粒子となって削り取られていく。


「ふざけないで……。わたくしたちも、あの子たちも救う。そんなの、決まっていますわ!」


 赤城レナが叫び、掌から炎を放つ。だが、その業火さえも、生体サーバーを包む強力な防護障壁プロテクトに弾き返された。


「ダメですわ、物理的な破壊は全て遮断されています。無理にこじ開ければ、中のデータごと自壊するように設定されています……!」

「そんな……! じゃあ、見ているしかないっていうの!?」


 アオイが絶望に顔を歪ませる。

 俺は、激痛に震える右目を押さえながら、生体サーバーに表示された数式を凝視していた。


(エネルギー変換のロジックは……『絶望』と『消去』だ。なら、その定義自体を書き換えられれば……!)


 その時だった。

 俺の胸元で小さくなっていたルナが、不意に眩い蒼色の光を放ち始めた。


『……カイ……私の……力を使って……』


 脳内に直接響く、ルナの幼くも透き通った声。

 彼女の光が俺の右腕を伝い、封じられていた右目へと流れ込んでいく。

 熱い。焼けるような熱さが、視神経を、脳を、世界の認識そのものを焼き焦がしていく。


「あ、がぁぁぁぁぁっ!!」

「カイ先輩!?」


 ユズの悲鳴が聞こえる。

 だが、俺の視界からは色が消え、全てが膨大なコードの羅列へと変わっていた。

 激痛の果てに、右目のシステムメッセージが更新される。


【警告:個体名『カイ』の権限を、管理者代理プロキシへと一時昇格】

【スキル『演算ロジック』を破棄——スキル『改竄リライト』を解放します】


「……見えた」


 俺は一歩、生体サーバーへと足み出した。

 ルナが俺の肩に乗り、小さな翼を広げて光を増す。


「エニグマ、お前の作ったルールなんて知るか。……この世界の『理』は、俺たちが書き換える!」


 俺は血の滲む右目を見開き、生体サーバーの防護障壁に直接手を触れた。

 指先から、蒼いノイズが奔流となってサーバーへと流れ込む。


『なっ……!? 何をしているのですか! システムに直接干渉するなど、個体データが持ちこたえられるはずが——』


「うるせぇ! 黙って見てろ!!」


 右目の奥で、絶望を燃料とする数式を、無理やり別の形へ捻じ曲げていく。

 絶望を、希望に。消去を、待機に。

 世界を維持するエネルギー源を、生徒たちの魂から、俺とルナが共鳴して生み出す『魔力』へと置換コンバートする!


「おおおおおおおっ!!」


 塔全体が、割れんばかりの轟音と共に震えた。

 逆回転していた歯車が火花を散らして止まり、次の瞬間、カプセルを覆っていた黒いノイズが、純白の光へと反転した。


【リライト成功:NPCデータの転送を一時停止。隔離区画を『保護区画』へ再定義完了】


「……はぁ、はぁ……っ!」


 膝をつき、激しく肩で息を突く。

 右目からは一筋の血が流れていたが、視界の先では、カプセルの中の生徒たちの表情が、苦悶から安らかな眠りへと変わっていた。


「……やった、んだよね?」


 アオイの問いに答えるように、時計塔の鐘が、今度は優しく、穏やかな音色で一度だけ響いた。

第30話、お読みいただきありがとうございました!

ついにカイの右目が「リライト(改竄)」へと進化し、ルナとの共鳴によって絶望的な二択を打ち破りました。

NPCを燃料にするという残酷なシステムを一時的に停止させ、彼らを「保護」することに成功しましたが、それは同時に、カイ自身が世界のエネルギー源を肩代わりするという過酷な戦いの始まりでもあります。


次回、第31話。

一時的な平穏が訪れたのも束の間、システムを書き換えられたことに激怒したエニグマが、ついに「直接的な制裁」を開始します。

学園全体が変貌し、さらに過酷な後半戦へ……!

続きが気になる方は、ぜひ下部の☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ