表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
【Phase 2:世界再構築編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/55

第28話:時計塔の番人と、重なる三つの絆

合流地点である時計塔に到着した三人の前に、巨大な番人ケルベロスが立ちはだかる。

右目が使えない絶体絶命のカイ。しかし、アオイとユズが彼の「目」となり、非戦闘員たちの知略と勇気が、不可能を可能にする奇跡を起こす。

時計塔のふもとまで辿り着いた俺たちの前に、絶望が形を成して立ちはだかった。


「……嘘、でしょ」


アオイの声が震える。

 エントランスの重厚な扉を塞ぐように鎮座していたのは、これまでのバグとは一線を画す巨体。

 三つの犬の首を持ち、全身が剥き出しの光ファイバーのようなノイズで構成された、『番人ケルベロス』型の巨大バグだった。


『……オォォォォォッ!!』


三つの口から放たれた衝撃波が、中庭の地面を爆ぜさせる。


「くっ、右目さえ……右目さえ動けば……!」


俺は奥歯を噛み締めた。敵の攻撃パターンを読み、隙を突くための右目は、今も激痛と共に真っ暗なままだ。

 だが、その時。俺の左手をアオイが、右手をユズが、それぞれ強く握りしめた。


「カイ、前を見て! 私たちが、あなたの『目』になるから!」

「そうです! 敵の動きは私たちが教えます! カイ先輩は、私たちの指示を信じて跳んでください!」


アオイの鋭い観察眼と、ユズの動体視力。

 二人が、戦闘不能なはずの俺の「四肢」になろうとしている。


「……ああ、分かった。お前たちを信じる!」


俺は二人の中央で腰を落とした。

 番人が左の首をもたげ、高密度のノイズ弾を練り上げる。


「——今! 右へ三歩!!」


アオイの叫びと同時に、俺は横へ跳んだ。

 直後、さっきまで俺がいた場所を、黒い光線が貫き通す。


「次は上です! 衝撃波が来ます!!」


ユズの指示に合わせて、瓦礫を蹴って高く跳躍。

 足下をバグの咆哮が通り過ぎていく。右目による演算はない。だが、二人の声が、脳内に鮮明な『戦場の地図』を描き出していた。


「カイ! 喉元のコアが露出したよ! ……今!!」


アオイの指し示した一点。

 ユズが投げた特製の発煙筒が番人の顔面で炸裂し、視界を奪われたバグが大きくのけぞる。

 俺は怪我をしていない左腕に全神経を集中させ、地面に落ちていた金属バット——かつて野球部員だったNPCが遺した『残骸』を掴み取った。


「おおおおおっ!!」


視界の端で、胸元のルナが微かに光った気がした。

 二人の声に導かれた渾身の一撃が、番人の喉元、赤く明滅するコアを粉砕する。


『ギ、ギャァァァァァッ……!』


巨体がガラス細工のように砕け散り、ノイズの粒子となって消滅していく。

 それと同時。時計塔の頂上から、勝利を祝福するように、重厚な鐘の音が響き渡った。


ゴーン、ゴーン、と。

 それは、レナとセイラがそこにいるという、何よりの合図だった。


「……やった、のか」


膝をつく俺の元へ、アオイとユズが駆け寄ってくる。

 俺たちはボロボロだった。けれど、その顔には確かな笑みが浮かんでいた。


「勝ったよ、カイ! 私たちだけでも、やれたんだよ!」

「はいっ、カイ先輩! ……ほら、見てください!」


ユズが指差した時計塔の二階、テラス。

 そこには、俺たちを見つけて大きく手を振る、真っ赤な髪の少女と、巨大な香炉を背負った少女の姿があった。

第28話、お読みいただきありがとうございました!

カイの能力に頼り切るのではなく、三人がそれぞれの強みを活かして巨大な敵を打ち破る、まさに「絆」の回でした。主題歌のサビが流れるシーンをイメージして執筆しましたが、いかがでしたでしょうか?


次回、ついにレナ・セイラと感動の再会!

しかし、喜びに浸る間もなく、時計塔の内部で彼らは「学園がNPCを隔離する真の理由」を目撃することに……。

物語はさらに核心へと加速します。続きが気になる方は、ぜひ下部の☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ