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78話 忘却、されど

何か大事な…大切なものが、崩れていく。


「…ここは…」


どこだったっけ。少し記憶が曖昧だ。


辺りを見渡す限りここは…いつしかの、天空の世界に似ているように思えた。


「あれ…なんで私…」


頬に何かが伝う。肩が震え、少し呼吸が荒くなる。


─────勝手に、涙が流れていた。


「おかしいな…止まらないや…」


拭っても拭っても、涙が溢れていく。


何が悲しいんだろう。なんで泣いているんだろう。


何もかもが、分からなかった。


でもこの心の中の『喪失感』は確かで、そのせいで涙が止まらないのだと、しばらく泣いた後に理解が及んだ。


「でも…空っぽじゃない」


ずっとずっと一緒にいた何かは消えた。でも、ほかにももっといっぱい…出会いもあった。


「リリア、アルベルト、レオンハルト、セレスティア、ヴォルフ、ユーリ、エマ、ミツハ、ルカ」


私の帰りを待っている人達がいる。だから…帰らなければ。


「会いたいな」


思えばここまで長生きしてきたのはこの子達に出会うため…神様がくれた贈り物だったのかも。


いや…神様じゃなくて…もっと、身近な…


「っ…やっぱり、思い出せないや」


ズキリと、胸の内が響く。

不思議な感覚だ。その部分だけがぽっかりと穴が空いているみたいで。


「どうやって帰るんだったかな…」


今はとにかく帰ろうと、また脱線していた思考を戻した…その直後。


「師匠!!」


雲を突き抜け『龍』が現れた。



 * * *



『龍』の背中から人影が降り…すぐさま、私を抱きしめる人物。エマだ。


「師匠!よかったです…よくご無事で…」


ギュッと、ぎゅうっと……力強く抱きしめられ、ようやく目の前の出来事が現実だと理解した。


「エマ……なんで、ここに……」


ここは天空、最初にくる疑問だった。


「姉弟子殿に、協力してもらったんです」


エマの目線が、『龍』へと向く。


……あれ、この色……って、もしかして……


ボフン、と音を立てて煙が立つ。やがて晴れるとそこには予想通りの顔があった。


「リリア!」


「ママ!」


抱擁。


あー……このゴツゴツした感じリリアだいででででででで強い!強いって!


「折れ……る……」


「ママー!!」


グリグリと頭が擦り寄せられ今度は角が目に!痛い!ちょっ!エマ止めて!


「姉弟子様!魔女様が痛がってるです!」


リリアの銀のコートを引っ張る幼き影。ルカまで来てたの?


「あっ……えっと……ママ、ごめんなさい」


「うん……いいんだけどちょっっと……待ってね?」


私も嬉しいよ。何せ500年ぶりの再開だ。思いっきり抱きしめたいしナデナデしたい。


よし……やっと視界が戻ってきた。


「うん、よく見える……それで、ええっと、3人だけ?」


「はい。ヴィレアさんの協力あってここまでリリアを飛ばすことが出来たのです」


「私、頑張った。褒めて」


むふーと胸を張るリリア。思わず撫でそうになるも……エマが割って入った。


「……まずは私でしょう。私がいなければ危うく世界が滅ぶところだったんですよ?」


恐らくはエマが指揮を取って……地上の問題を解決してくれたのだろう。じゃあ先に……


「私の方が頑張った!」


しかし納得行かないようでリリアがグルグルと喉を鳴らして威嚇する。


「えっと……どっち?」


「私!」


「私です!」


ま、まずい。こういう時はどうすれば……


撫でるはずだった手を彷徨わせていると、ルカがまた割って入ってきて……


「喧嘩は良くないです〜!」


「……」


活路見えたり。ルカはいい子だねーよしよし。


「師匠!」


「ママ酷い!」


「お二人さん、ルカの言う通り……喧嘩はダメ、だよ?」


今の凄い師匠っぽい!



 * * *



数時間後、地上へ降りるために私達はまた龍となったリリアの背中に乗って空中散歩をしていた。


「それにしても……飛び立つのにまさか3時間も掛かるなんてね」


『ママ!私ガンバッタ!』


おおう……龍の状態でも喋れるのかよ……

何気にこのフォルム初めて見たんだよね。


「はいはいありがとうね。リリアが居なかったら私、天空で1人病むところだったよ」


『えへへへ〜』


今度はちゃんと褒めてやると……一瞬グラッと体制が崩れた。あぶなっ…


「リリア、嬉しいのは分かりますが揺れてます。お気をつけて」


「危ないですぅ…」


『ごめん……エマ』


こういう時のエマって頼りになるなぁ…


「戻るのに後どれぐらい時間掛かりそうなの?」


「私達が地上を発ったのが半日以上前だったので……まだまだ掛かりますよ」


「そっか……それまで持つ?リリア」


『大丈夫!がんばるね!』


本人がやる気いっぱいなので任せよう。うん。また帰ったらいっぱい褒めてあげないとね。


「じゃあ……その間に私達は何があったか、お互い話そっか」


「そうですね」


「ちゃんと記録したです!」


なんだか懐かしく感じるな……こんな感じに話すの。




エマとの会話の中にもどこか違和感があった。まるで誰かの世界に対する干渉がまるっと無くなったみたいで。







フィーナの弟子、皆愛が重いタイプ。

次回最終話です!!

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