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60話 違和感

「…ぬ…ぐ……」


「起きた?」


アルベルトはグググっと…本当にそう鳴ってそうな動きの硬さで寝床から起き上がった。


まー…魔力切れだし…しょうがないか。


「ここは…」


「君の家だよ」


「…はい?」


素っ頓狂な声がアルベルトの口から漏れる。

気持ちは分かるがせっかくの気遣いなのだからもう少し喜べば良いものを。


「フィーナさん、紅茶で宜しかったですか?」


「うん、ありがとね〜」


「いえいえ。ごゆっくり」


はふぅ…あちち…


うわ、すっごい絶句してる。まるで想像していなかった光景を目にしたみたいだ。


…実際そうなのだろうが。


「な、なんで魔女殿が妻と…」


「気絶したじゃん?そのままは可哀想だったから送ったげたんだよ。感謝してよね」


…ほんとは我が家の状況が少々…ほんの少し、片付けが必要な感じになっているからなのだが…それは秘密だ。


「あ、えっと、ありがとうございます?」


「うんうん、どういたしまして。あ、後君今日から私の弟子ね」


「……」


うわお。すっごい顔。


「…アルベルトも紅茶で……大丈夫?」


リアレでさえも困惑するほどの顔。なんか驚きと困惑と叫びたい衝動と声にならない声が入り交じってそう。


「…面白い顔だ」


「…私もこんな顔見たことない…です」


「へぇー、じゃ、記録しとこ」


お試しで作った魔術が役に立つ時が1番楽しいんだよね。ということで写実の魔術を1つ。


「はいこれ、これからしばらく旦那さんをちょくちょく借りるから…そのお代ってことで」


「わぁ……ありがとうございます!夫のこと、お願いしますね!」


「任せて。帝国一の魔術師にして…夢を叶える手伝いをしてあげる」


私自身、彼に惹かれた。だからここまでする気になったのだ。


今思えば、これが初めてちゃんと教えるために弟子を取った。

私にとっても記憶に残る出来事だ。



 * * *


 * * *


 * * *



「─────って感じで弟子入りしたんだよ」


「…へぇ…師匠、昔からそんな感じなんですね」


「そんなって何!?」


まさかめんどくさがり屋なとこ言ってる?…うぐぐ、否定できない。


「それから、どうなったんですか?」


「えっとね…」


思い出を頭の中で巡らせていると…何やらベルの音が館内で鳴り響いた。


「あっ、エマさん!フィーナさん!そろそろ閉館みたいなので行きましょう!」


フレアが声を張り上げる。


私ももう少し話したかったけど…続きはまた今度かな。


エマは名残惜しそうではあるものの、幾らか魔導書を借りるらしい。


満喫出来たそうで良かった。



 * * *



〜帰り道〜


「ミツハ、あんまり構ってあげられなくてごめんね?…眠い?」


「うん……」


ミツハの顔がポヤポヤしてる。手を離せば顔から地面に激突しそうなため私がおぶることに。


うぉう…そりゃ前より成長してるけど、思ってるよりも重い…


「そもそも筋肉量が違うからなのかな…」


どうでもいい考察を交えつつ、宿への道を歩いていると…ふと、フレアが何かを思い出したように尻尾をピンと立て、声をあげる。


「皆さん!少し寄り道よろしいですか!」


「えぇ…ミツハ、いい?」


「うん…」


今のミツハはうんとしか言えなくなってるみたい。

他の面々も問題ないみたいなので着いていくことに。


現在夕方前。大分大通りの人々が減ってきている。

そのためか大通りを堂々をフレアが陽気に歩く。


そして、やがて…教会らしき場所へと着いた。


「ここですっ!」


「…教会ですか?」


「えぇ、ですが目的はそうでなくて…」


フレアがキョロキョロと何かを探す。


「うーん…今日来るって言ってたんだけど…あ!居ました!」


庭の方へ視線をやって、見つかったらしい。

あれは…シスターさん?


「リリエラさーん!」


「あら?」


フレアの元気良い声に気付いたらしくこちらを向く。

うわっ…金髪青眼にウェーブ掛かった髪…いかにもお嬢様っぽい!


「今日は、フレアさん。今日は…お友達も一緒ですか?」


「はい!」


声すらも柔らかく、微笑む姿は正に聖女と呼んで違和感ない。

というかしれっと友達認定されてる?…まぁいっか。


「えへへ、今日はお仕事中でして、皆さんの帝都観光を手伝ってるんです!」


「あらあら、そうでしたか。では頑張り屋さんのフレアさんに…どうぞ」


「わーい!ありがとうございます!」


あれは…お菓子かな?よくある教会の慈善事業で配るやつか。


「ルカも貰ってくる?」


「…いいでありますか?」


「うん、でも食べすぎちゃダメだからね。もうすぐ夕食だし…」


「分かりました!」


隣でハムハムとお菓子を頬張るフレアを羨ましそうに見てたからね。これぐらいなら大丈夫でしょ


「可愛いお客さんね、どうぞ」


「ありがとうございます!」


それにしてもよく出来たお嬢さんだなぁ…まだ年齢もエマと変わらないぐらいだろうに。


「リリエラさん、だっけ?」


「はい、ええと…貴女方は?」


「私はフィーナ。よろしくね。こっちの寝てるのがミツハで…」


「エマです。よろしくお願いします」


「フィーナさん…ミツハさん……」


しばらく、名前を呟きながらジッと見つめられる時間が訪れた。


「どうしたの?」


「あっ、いえ!なんでもありません!」


気になって尋ねたが急いだ様子で取り繕った。

うーん…気になるけど言う気は無さそうだし…仕方ない。


「皆様、お困りの際は是非本教会をお尋ねください。私は留守にしていることもあるのですが…きっと、おちからになります」


追求されたくなかったらしくシスターさんから話を終わらせる時の常套句が使われた。


余計気になってくるけど…もういい時間だし長居も悪いかな。


「ありがとうね、リリエラ」


「いえ、お気にならさず」


適当に礼を交わし、今度こそ寄り道を終えて帰路へと着いた。



 * * *



「変ですねー…今日は人通りが全く無いです!」


「いつもとは違うの?」


「はい!もっと露店や酒場周辺が盛り上がってて…皆さんにもお見せしたかったです…」


どこの街も、夜はそういう感じらしい。

ただ今日は違う…?


「何かあるのかな」


「分かんないです…気味悪いので早く帰りましょう!」


フレアがスタスタと先を歩く。エマ、ルカも続くがミツハを連れていた私は少し遅れている。


「ミツハー……おーい…」


「んぅぅ…」


完全にお眠みたい。異変から日も開けずに移動したのだ。休めれてるなら…いいか。


「それに、こうやっておぶると…暖かいんだよね。獣人族だからなのかな…ん?」


なんだ。なんだろう。今何か…()()()()()()


違和感。


「ねぇ、エマ。ちょっと代わってくれない?」


「いいですけど……あの、何かありました?」


顔に出ていたらしくエマが顔を寄せ尋ねてくる。


「…うん、何か…上手く言えないんだけど違和感があって…とりあえず、エマはいつでも皆を連れて逃げれるようにしておいて」


「はい…!」


ミツハを受け取りながらエマは首肯し…私の先を歩き出す。


違和感。


「…皆さん、歩くの遅くありません?」


「え、そうかな?じゃあもう少し急ごうかな」


「いえいえ!私がもう少し……?あれ?あれれ?何か…見えない…壁?」


違和感。


予感は的中した。経った今…魔術の反応を感じ取った。


広域型結界魔術。それも元素魔術を混ぜたもの。それが意味することはつまり…


「エマ!」


「はい!ルカさん行きますよ!」


「えっ、ぇぇぇぇ!!??」


エマは速攻飛行魔術を発動し建物伝いに逃走…兼、この結界を貼った主を探しに行ったはずだ。


結界術は使用者が倒れた時点で解けるものがほとんどだからね。


「さて…どう来るのか「パァン!!」?」


銃声が、鳴り響いた。


人々のざわめきを耳に…私の意識は闇に落ちる。










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