第102話 湖畔休憩地、宿泊施設をアップグレードします!③
宿泊型(小)の受付とロビーは、待機できる人数が限られていた。
新しい1階は入口から受付までの幅が広がり、受付前と食堂待ちの列を分けられるだけの空間がある。
その奥にある食堂は、通常40席から80席へ増えていた。
売店も壁際だけの小さな区画ではなくなり、商品棚の間を人がすれ違える。
厨房は調理台と洗い場の間が広がり、今の調理担当を入れても作業場所を分けられそうだった。
「1階だけでも、今まで詰まっていた場所がかなり広がっていますね」
「客が増えた時に、受付待ちと食堂待ちが入口で重なるのは減らせそうだな」
黒瀬は受付から食堂入口まで歩き、次に2階表示へ切り替えるよう促した。
宿泊型(小)では、2階と3階の両方に客室が並んでいた。
宿泊型(中)の2階は客室階ではなく、男女別大浴場、一時休憩室、従業員区画へ変わっている。
3階には二人部屋と四人部屋、4階には二人部屋と団体部屋が配置されていた。
従業員用の仮眠室も4階へ追加されている。
客室ごとの数はまだ表示されていないが、屋内の最大宿泊人数は48名から96名へ増えている。
一時休憩も、これまでの大部屋を転用する形から、40名用の専用区画になった。
「大浴場施設か……」
黒瀬が2階の中央で足を止めた。
男女それぞれの浴場には、約24名が同時に入れる浴槽と、約16席の洗い場がある。
脱衣所には施錠式ロッカーがあり、洗面台ごとにドライヤーが置かれている。
出入口近くには給水器と混雑状況表示もあった。
湖畔へ展開した時は、浴場の大きな窓が湖側を向く。
温泉ではないが、【休憩地】が供給した水を加熱し、循環とろ過をしながら使う設備だった。
「確かに、これは欲しいと思っていた施設です」
今はシャワーを利用する人を15分ごとの枠へ分けていたが、大浴場なら同じ時間帯に利用できる人数を増やせる。
「これなら、シャワー利用の人たちをまとめて入れられますし、いろいろとはかどりますね!」
「となると、いろんな部分で資源を使ってるから、魔石の消費量が怖いな」
黒瀬に言われ、俺は施設情報から維持コストを開いた。
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【宿泊型(中)・施設維持目安】
木場確認用・最小範囲:F等級魔石1個/24時間
湖畔・最大範囲:C等級魔石2個/24時間 ★新規
設備用水:最低ランク魔石1個につき約1,000リットル
設備用水対象:大浴場/屋外トイレ/共同シンク/厨房/客室
大浴場:加熱/循環/ろ過対応 ★新規
水/電気/厨房/大浴場:安全領域維持費と別管理
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木場で半透明モデルを確認するだけなら、24時間でF等級魔石1個。
湖畔で最大範囲を使う場合は、C等級魔石2個が必要になる。
C等級魔石の平常時相場は、1個10,000円前後だ。
最大範囲の維持だけなら、1日約20,000円になる。
水は別で、最低ランク魔石1個につき約1,000リットル。
浴槽へ最初に入れる分や補給分は必要になるが、循環とろ過を使えるため、営業中ずっと同じ量を流し続けるわけではない。
「まあ、今の売上ベースならかなり格安だな」
「そうですね。ダンジョン都市と比べるまでもなく、かなり安価で安心しました」
「とりあえず、魔石はこっちで引き続き調達でいいよな?」
黒瀬の会社なら、必要な等級と数を揃えた上で木場まで運んでもらえる。
「もちろんです。お願いします!」
「分かった。大浴場を実際に動かした時の使用量は、こっちでも記録を取ろう」
2階までの確認を終え、施設情報へ戻ろうとしたところで、小坂が追加設備の欄を開いた。
「あれ? 先輩! 野外施設区分が、キャンプ施設みたいになってますよ!」
「何?」
三人で《屋外区画設定》を確認する。
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【屋外区画設定】 ★新規
設定可能範囲:建物外側/安全領域内 ★新規
設定可能区画数:1区画 ★新規
現在設定:未設定 ★新規
区画用途:野外休憩/野外宿泊/野外調理 ★新規
外周設備:管理塀/正門/物資搬入門 ★新規
付属設備:キャンプ区画/屋外トイレ/共同シンク ★新規
区画変更条件:利用者がいないこと ★新規
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木場では屋外区画を設定していないため、半透明モデルにも塀や屋外設備は出ていない。
湖畔で建物の外側に区画を指定すれば、必要な設備がまとめて追加されるらしい。
俺は、湖畔野外休憩・宿泊区画の詳細を開いた。
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【湖畔野外休憩・宿泊区画】 ★新規
通称:湖畔キャンプ区画 ★新規
キャンプ区画数:12区画 ★新規
1区画最大利用人数:4名 ★新規
野外最大宿泊人数:48名 ★新規
共用設備:屋根付き休憩所/屋外トイレ/共同シンク/夜間照明 ★新規
安全設備:消火設備/灰・炭処理場/仮ごみ置き場 ★新規
直火:禁止 ★新規
登録済み火器:利用可能 ★新規
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「流し台……それに水場、野外トイレ施設。思いっきりキャンプ施設だな、これ」
「ですです! これなら、収容しきれなかった宿泊希望者をここで泊めることも可能ですよ!」
屋内96名に、野外48名。
すべて使えば、最大144名が同じ安全領域内で夜を越せる。
「確かに……。探索者は基本的に、長期間潜るための用意はしているしな」
「キャンプ施設と割り切って、テントとかそういう物を売店で扱うのはどうです? レンタルも、めっちゃ需要ありそうです!」
黒瀬は12区画の配置案を見ながら頷いた。
「挑む階層次第ではあるが、10階層付近なら、ここで借りてアタックする。それを繰り返せるのは、かなり助かるだろうな」
「ふふふ、これでがっぽがっぽです!」
小坂の目には、もう円マークしか浮かんでいない。
俺は小坂の額へ、手の側面を軽く当てた。
「目を覚ませ」
「いたぁぁ! せ、先輩ぃぃ~」
「この金の亡者め」
小坂が額を押さえて抗議する横で、黒瀬は肩を揺らしている。
「しかし、これで湖畔休憩地は次のステップに行けるな」
「はい。これで、さらに俺の夢に近づけます」
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