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星座が導くままに、進め、少女たち。  作者: 大川魚
その名はオフィウクス
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第三十四番 優しく包み込む光りの中で

夏休み期間中にこの物語を締めくくりたいと考えていますがなかなか厳しいですね。

 十二星座の光りがユメノの光りとぶつかり合い、押して押されてを繰り返していた。どちらの力が強いのかという話ではない。どちらも人知を超えた力であり、強い思いがもととなっている。

 ユメノの方は意識して対抗している様子はなく、ただ隣で何かをしているという捉えであるが、雨音たちはユメノをしっかり意識している。

 このままでは埒が明かないと判断するも、この輝きを閉ざしてしまえば二度とユメノを失ってしまうことになる。だからこそ、諦めることは出来ない。どんなに厳しい状況であっても、始めたからにはしっかりと終わりにつなげたい。それは雨音とユメノのすれ違いも例外じゃない。



 力の放出を意識しつつゆっくりとユメノのもとに近づいていく雨音。そんな雨音を阻むように強く輝く光りを他のメンバーがカバーしていく。

 「ユメノ! あなたの気持ちは私が受け止めるから! ユメノの本当の気持ちを聞かせて」

 不意に雨音が自分に声をかけてきたことにユメノは一瞬驚いた。光りにまみれながら雨音の姿を見て、懐かしい思いが溢れだしてきた。母親が目の前で亡くなった時のこと、『黄道十二宮』の化身達を探す旅に出た時のこと、雨音と初めて出会った時のこと、双子村での時のこと、友里亜が旅に加わった時のこと、枚方に街案内をしてもらった時のこと、枚方に旅に加わることを断られた時のこと、撫子と姉の桔梗との仲直りの時のこと、フォーチャン夫妻と出会いご馳走になった時のこと、土師と共に枚方が旅に加わった時のことがフラッシュバックしていく。確かにユメノとして経験してきた出来事。閉じ込めたはずの思いが栓を失くしたかのように、次から次へと留まることなく流れ出していくことに、ユメノは混乱した。

 「違う。この思いは奥にしまい込んだはず。今の私は……オフィウクスで……」

 頭を抱え、溢れ出てくる記憶に再び栓をするかのように感情を抑圧していく。その様子に雨音はいてもたってもいられずに、力いっぱい抱きしめた。自分を抱きしめている存在に気が付いた。その腕からどうにか逃れたいと身じろぎするも雨音の腕が緩むことがなく、より一層強く抱きしめ返された。

 「……なんで? 私、雨音が思ってるより強くないのよ? 弱くて小さくて無力なんだよ」

 雨音の腕から解放されることを諦め、その代わりに自分の今の感情をこぼし始めた。独り言にも近く、その言葉は儚げで――

 「それでも、聴かせて? ユメノの言葉で本当の思いを」

 雨音の促しに、ユメノの我慢はほどけていく。

 「本当は……雨音と仲直りをしたい! 普通の日常生活に戻りたい! 枚方兄さんと一緒に悩みたい! 土師さんに勉強を教えてもらいたい! また、ミッシェルさんの料理を食べたい! ほかにもいろいろしたいこと、あるの」

 雨音の相槌はユメノの心にしっかりと届いた。傍に居る、あなたの話をしっかり聞いていますという、傾聴してくれていることがユメノ自身もしっかり感じていた。

 「素敵な思いだね。うん。その思い、全部叶えちゃおうよ。大丈夫。ユメノは一人じゃないよ。ユメノは、本当はとっても強い思いを持っているって私は知っているから。思いはとても強い力になる」

 うつむいていたユメノの顔がゆっくり明るくなってくる。雨音の顔をしっかりと見つめ返している。自分の思いを抑圧することは無いんだって、ありのままの思いを自分が認めることも大切なのだと、ユメノはこの時初めて、気づくことができた。



 ありがとう、雨音



 ユメノを包んでいた光りは威力を弱め、その代わりに『黄道十二宮』の光りに包まれ始めた。その光はユメノを優しく包み込み、ゆっくりと輝きを小さくしていく。すっかり輝きが無くなったその場にはたった一人の少女が立っていた。


傾聴することの大切さは日頃痛感していることなので、ぜひ読者様にもと思い、無理矢理ぶち込みました。

さて、ほぼ投げやりの物語になってきていますがまだ、寄り道して読んでくださっている皆様に感謝を伝えたいです。ありがとうございます。

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