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夢からの守り人  作者: kanisaku
19/22

明日にさようなら

満月の夜。阿求の内庭では、二人の男が刀を構えてにらみ合っていた。

  九月「…」

九月の目の前には、薄緑色をした鎧を身に纏った武者が立っている。腰に差した刀は九月の刀より一回り大きく、力勝負なら負けてしまうと思えてしまう程だ。

ガチャガチャと音をたてて武者は九月に歩み寄る。残り2mというところで武者は足を止め。ゆっくりと刀を引き抜いた。

  武者「ぬぅぅぅ…」

威嚇にも似た、低く、力のある声を出しながら、武者はその冷たい鎧に似合う刀を構える。九月も脚に力を入れながら負けじと武者を睨みつけ、刀を握る両手に力を込める。

  九月「…!」

  武者「んんぬあ!!はあ!」

武者は大きく振りかぶり、刀を振り下してきた。渾身の一撃という奴だろうか、防ぐのは難しいと瞬時に察して、体を横に逸らしながら踏み込み、刀を横に振って、始めの一撃を入れた。ガツン!という鉄同士がぶつかる鈍い音と、その衝撃で九月の持つ刀が小さく震えている。

  九月(堅い。かなり力を入れて斬った筈なのに、全然効いてない…)

背中をとられないためにすぐに振り向き、斬られた時の体勢のままの武者をジッと見据える。ゆっくりと九月の方を向き、また最初のようににらみ合う状況が続く。

動きはゆっくりに、しかし、攻撃は一瞬で。その繰り返しだった。

  武者「お主…かなりのつわものと見た。名を聞こう…」

  九月「九月だ。そういうお前の名前も聞いていいか?」

  武者「拙者に名は無い。ただ…、拙者は…不死身だ」

その言葉を聞いて驚いた。信じられない。

  九月「不死身って…本当かよ」

  武者「なら、その刀で斬ってみるといい」

武者は顔の下半分を覆っていた防具を外し、首を晒した。どうやら本気で言っているみたいだ。

  九月「…そこまで言うなら、本当なんだろうな…」

  武者「武士は嘘はつかぬ…お主が斬れぬというのなら…拙者が!」

武者は手に持った刀で思いっきり自分の首をはね飛ばした。驚きのあまり身動きのとれない九月を他所に、自らの首をねた武者の体は、一滴の血も流さずにフラフラと動き出した。

  武者「言っただろう。拙者は不死身だと…」

地面に転がる頭を抱え、首にくっつける。何事も無かったかのように接しているが、今確かに武者は自分の目の前で首を斬った。

そして、もう一つの考えが頭に浮かぶ。

  九月(死なない奴を、どうやって阿求から守るっていうんだ…)

  武者「お主、今のを見て…拙者を殺せると思うか?」

  九月「どうだろうな…、正直思わない」

  武者「そうか…」

  九月「けど」

手についた冷や汗をはかまで拭い、改めて刀を握る。今までの妖怪の中でも、一二を争う程厄介な奴を相手にしているのだと実感できた。しかし、退くわけにはいかない。阿求を守る為に、ここで勝たなければいけないのだ。

  九月「阿求の為に、絶対に負けられないんだ…」

  武者「阿求…それは誰だ?」

  九月「?」

おかしい。ここに来たということは、阿求か阿求の縁記を狙ってきている筈。なのに、阿求の事を知らないとはどういうことだろう。

  九月「アンタ…縁記が狙いじゃないのか?」

  武者「縁記…。いや、拙者は…自分を殺してくれる相手を探しているだけ…」

  九月「…そうなのか…」


その時、塀を飛び越えて一匹の妖怪が内庭に入り込んできた。いや、一匹どころじゃない、4匹、9匹とかなりの数の小さな餓鬼のような妖怪が阿求の眠る部屋に入り込もうと走ってきた。

  九月「ヤバい!」

急いで小刀を投げ、一番最初に入り込んできた妖怪の後頭部を切裂く。自分を無視して通り抜けようとする二匹も斬り潰すが数が多すぎる。全てに対応しきれないまま、5匹以上の妖怪が縁側に登ろうとしていた。

  武者「勝負の邪魔をするとは…なんと無礼な輩っ!」

縁側に登ろうとしている妖怪数匹を容赦なく叩き斬る武者。その行動に驚きはしたが、次々に塀を超えて現れる小鬼相手に、それを深く考える余裕はなかった。


  九月「ふん!おらぁ!」

  武者「はぁ!せいぃ!」


互いに20匹以上は斬っただろう。まだまだ続くと思えた妖怪の出現も、最後の一匹を九月が突き刺したのを境に終わった。

  九月「はぁ…はぁ…」

  武者「ふぅぅぅ…」

武者は小さく、深く深呼吸をしながら刀を鞘に納める。それを見て九月も刀についた血を振り払う。

  武者「不死身と言っても、体力は無尽蔵ではないゆえ…、少し休ませてもらう…」

  九月「あぁ。俺も…本当はこれで終わりなんだ…」

縁側にどっしりと座り込んだ二人は夜空を見上げる。

合って1時間も経っていないが、まるで幾つもの戦場を駆け抜けてきたような清々しさが二人の心にはあった。

満月とも半月ともいえない、中途半端な丸い月が静かに雲に見え隠れしている。

武者の薄緑色の鎧も、月明かりに照らされて白く見える。白に染まった武者はポツポツと話し始めた。

  武者「もう200年近くこうしている…。母の顔も、父の名も忘れてしまった…」

  九月「…」 

  武者「拙者は…小隊を率いる軍隊長だった。しかし…、度重なる戦。次々と兵力は減り続け、手に入れた領地を守り続けることが困難になってきた」

武者は右腕の鎧を外し、人間としての肌を見せる。手首から10cm程度伸びた紫の痣。不自然な程クッキリと残されている痣を左手で強く握り、話を続ける。

  武者「拙者の主は禁忌を手を付けた」

  九月「禁忌…?」

  武者「不死の術だ。何十人という兵を犠牲に、拙者ただ一人を不老不死にした…」

  武者「成果は絶大なものであった。拙者はたった一人で数百という兵を相手に、毎日のように戦い続けた…。今でも目に浮かぶ。雄々しく斬りかかる者、怯えて逃げる者…、拙者は全て切り捨ててきた…」

悲しむように思い返す武者は、腕を鎧で隠す。

  武者「しかし、不死になったのは拙者だけだった。他の者は皆死んだ…。拙者はそれが許せなかった」

  九月「…」

  武者「ある日、ついに耐えきれなくなった拙者は…主を殺し、逃げたのだ。そして数百年。自らを殺してくれる力を持つ者を探し…」

  九月「ここに来たのか」

武者は小さく頷く。

  武者「頼む、拙者を殺してくれ。でなければ、死んでいった者達に申し訳ない。何故、拙者だけなのだ。何故拙者だけが…生きているのだ…!」

拳を握り、振るえる武者は泣いていた。

  九月「…わかった。協力するよ。阿求に聞いてみる。あの子なら、何か知ってるかもしれないからな」



翌日、互いに正座で向かい合っている阿求と武者。そして間で行く末を案じる九月。

  阿求「うーん…不死の術…。その力は呪術の部類でしょうか。でも、一体どうしたらいいのか、私にも分からないんです。すみません…」

  武者「いや…拙者の方も、突然このような事を話してすまない…」

  九月「ダメだったか…」

  阿求「…そうだ、ここに住みませんか?しばらくここに居て、その間私もいろんな場所から話を聞いて回ります。何か手がかりがつかめるかもしれませんよ?」

  武者「…かたじけない!」

手をつき、頭を深く床に付ける。



その日の夜。いつも通りの縁側に幻想入りした九月の横には、武者が正座をして塀を見据えていた。

  九月「なんか、悪いね。俺の仕事なのに、手伝わせちゃって」

  武者「いや、手伝わせてくれ…あの方の手伝いといえば、これくらいしかできぬ…!?」

塀を飛び越えて、一匹の妖怪が入ってきた。人の姿をしているが、顔には大きな目が一つあるだけ。指先の爪は長く伸び、凶暴な妖怪だと姿で示していた。

  妖怪「稗田家はここか…縁記を出せ!俺の名を消せ!そして、二度と書けないようにしろ!」

  武者「…ここは拙者が行こう」

ゆっくりと立ち上がり、刀を引き抜く。

  妖怪「ふん、そんな分厚い鎧を着こんで…お前人間だな?人間ごときが、妖怪に勝てるわけがない!」

走ってきた妖怪は、鋭い爪で武者の着ている鎧の隙間、首の部分を狙った。

  武者「っふん!!」

下から弧を描き振り上げたその動きはとても綺麗な、洗練されたものだった。

腕を切り上げたが宙を舞う。驚きのあまり妖怪が一歩後ろに下がろうと足を引く。そのほんの一瞬、武者は右手を刀から離し、拳を突き出して重々しい打撃を加えた。

  妖怪「ぐへぁ!?」

  武者「ハア!」

それを追うように大きく一歩を踏み出し、置いてきた片足を前にやると同時に妖怪の顎目掛けて振り上げる。見事に決まった蹴りは妖怪をより後ろに退け。武者の力を存分に知らしめた。

  武者「不死になって200年…修行を怠った事など一度も無い。ゆえに、貴様のような妖怪に負けることなど無い!」

  妖怪「く…!チクショウ!」

その武者の力量に怖気づいた妖怪は尻尾をまいて塀を上り、逃げていった。

  九月「すごい…。あんなに素早く刀を振れるなんて」

  武者「幾つもの修羅場を掻い潜ってきたのだ。たかが一匹に負けるこはない」

血のついた刀をヒュンと振り、血を払い落として鞘にしまう。全てを襖の隙間から見ていた阿求は、武者の力を実感する。



武者と九月。二人での守り人の仕事は数日間続いた。武者はその間に阿求とどんどん仲良くなっていった。

  阿求「ふふ、武者さんって、結構不器用なんですね」

  武者「むぅ…こういう裁縫は、下の者達に任せきりだったもので…。こうしてみると、あの下の者達にもっと労ってあげればと悔やむ…」

  阿求「そんな事ありませんよ。あなたの着てる鎧だって、ずっと昔から使っていたのでしょう?その下につけている服だってそうです。下の者達の思いが詰まってるんです。アナタに使ってほしい。その一心で作ったのですから、アナタは感謝するだけでもきっと彼らは満足です」

  武者「そうであろうか…、だといいのだが…。死んで、あの者達に謝ろう」

  阿求「それまでは、しばらくは九月さんの手伝いを頼みますよ?」

  武者「御意。命にかけても、姫君をお守りいたします」

  阿求「姫だなんて…そんな…。照れますよ…」

顔を赤くする阿求と、その阿求を真剣な眼差しで見つめる武者。

たったの数日。されどその数日で、武者の心の中に一つの感情が芽生えていたのだ。

  武者「…」

  阿求「どうかしました…?」

  武者「いや、なんでもない…」

阿求を見つめる武者は思い出していた。昔、自分をこんな体にした主の傍らで、静かに武者の身を案じてくれていた幼い姫君の事を。そして、その姫君が阿求そっくりであることを…。


  姫「あ…またこんなに傷だらけになって…待っててください、すぐに傷の手当をさてください」

  武者「傷は、次の戦場に行っている間に治る。姫君は城の安全な場所に…ぐぅ…」

ボロボロになった鎧、その隙間から流れる血。傷だらけになった身体はたしかに徐々に元に戻っている。しかし、いくら武者が不死身とはいえ、体内に蓄積される疲労は死ななければリセットされることは無い。

不眠不休で戦を駆け抜けて4日目。何十という弓を体に受け、何本もの刀をダメにし、幾つもの鎧を壊されながらも百を超える兵達を相手にたった一人で戦っているのだ。城に戻る度に足元に血溜まりを作り、10分にも満たない手当と武具の交換をし、新しい馬に乗って別の戦場に走る。

  姫「何回、死んだのですか…?」

  武者「…、30回以上は…確実に…」

  姫「ゴメンなさい…アナタだけに、こんな苦しい戦をさせてしまって…」

  武者「戦うのが拙者のするべきこと…。拙者が苦しみ、姫君が助かるというのであれば、その苦しみを喜んでお受けいたす」

  姫「…ごめんなさい、本当に…ごめんなさい」

姫は謝ってばかりだ。下の者である拙者一人に対し、こんなにも涙を流してくれた人はいなかった。


  武者「姫君…」

  阿求「え?」

  武者「あ、いや…本当になんでもないんだ…。少し、外に出てくる…」

阿求に背を向け、そそくさと縁側に向かった武者。彼の腕の痣に起こっている変化に彼は気付いていた。

もうすぐ、自分は死ぬ…。


その夜。九月が幻想入りして見た光景は彼を唖然とさせ、その場から動かすことを許さないものだった。

  武者「はぁ…はぁ…ガフッ!」

  妖怪「へっへっへ…俺の子分を随分痛めつけたそうじゃねぇか人間さんよぉ…」

武者が逃がした妖怪。どうやらソイツの親玉と思われる妖怪が武者と対峙していた。しかし、その妖怪は傷一つ負っていないにも関わらず、武者はもうボロボロだ。鎧がひび割れ、右腕が無くなっている。血を流しながら膝をつき、刀を支えにしてやっと倒れないように座っている。

  九月「おい…大丈夫か!?」

  武者「来るんじゃない!…お主でも…勝てぬ…!」

  妖怪「お前でも、俺には勝てねぇよ!オラ!」

何とか立ち上がった武者を妖怪は全力で蹴り上げる。防ぐこともままならない状態で武者は飛ばされ、縁側にガシャンと倒れ込む。

  武者「グハァ!…うおぉ…うぐぅ…」

傷口を押さえながら、吐血する武者。心配して顔を覗き込むと、彼は腕をまくって痣を見せてきた。

  武者「痣が…小さくなっているのだ…、傷の治りが遅いのも分かる…、拙者は…死ねるのだ…」

  九月「そんな…どうして急に、痣が」

  武者「理解したのだ。痣の呪いを解く方法を…」

  妖怪「何話してやがんだ!ぶっ殺されてぇのか!?」

襲いかかってきた妖怪に九月はいち早く反応した。彼の最後を、武者の呪縛が解けるというのを、こんな奴の最後で終わらせたくない。その激しい思いは九月を奮い立たせ、今までにない程の速度で刀を抜き、妖怪を斬りつける力を与えた。

右腕を切り落とし、同時に腹部に届いた刃先はそのまま腹を裂いた。さらに小刀を投げつけ、左肩に突き刺す。ほんの一瞬の出来事だ。妖怪は痛みとその反撃の速さに怯み、跪いた。

  武者「この呪いを解く方法…、誰かを愛すること…。拙者は…阿求という娘を好いてしまったようだ…」

  九月「阿求を…でも、どうしてそれを」

  武者「あの方…阿求…姫君と…接している内に、この痣が薄くなっているのが分かったのだ。あの方に思いを寄せれば、痣が消えていく…、拙者の最後は今日なのだ…」

  妖怪「くっそぉ!舐めやがってええー!」

  九月「!!!!」

攻撃を食らっても走り、向かってくる妖怪を九月は睨みつける。咆哮にも似た叫びを上げながら、九月は妖怪に跳びかかった。

  九月「うるせえぇぇぇぇーー!!」

妖怪の額を突き刺す。肩に足をかけ、左肩に刺さったままになっていた小刀を引き抜くと同時に妖怪の首に当て、思いっきり斬りつける。

  妖怪「っぐぁ!!」

  九月「アイツの最後を…お前なんかに譲るかあぁぁ!」

刀を捻って傷口を開く。妖怪の雄叫びが響き渡るが、目を見開き、殺意の籠った攻撃を九月は止めなかった。

額から刀を抜き、地面に着地するとすぐさま両脚を斬りつける。倒れる妖怪の真上に高く跳ぶ。刀を高く振り上げ、刃を逆さまにして構える。

  妖怪「がぁ!は、ごぉ…!」

何かを言っているがどうでもよかった。只々この妖怪を斬り潰し、武者の最後を看取ろうという気持ちでいっぱいだった。

妖怪を踏みつけ、それと同じに刀が勢いよく突き刺さる。妖怪も刀を引き抜こうと腕を伸ばすが、その途中で息絶えた。

  九月「はぁ…はぁ…」

緊張状態から解放され息を上げる九月は武者の横たわっていた縁側を目を向ける。

武者が立っている。ボロボロの体と鎧を晒し、残った片腕で刀を握って、こちらを見ていた。

  九月「おいおい…安静にしてないと…」

  武者「九月殿…。最後は…お主との一戦でこの命を終えたい…。頼む…、拙者と…」

  九月「できるかよ…そんなこと!」

  武者「頼む!もう…時間が無いのだ…。ならば、拙者が、お主を殺す!侍の戦いに、退けも情けもいらぬ!」

最後の力を振り絞った武者は九月を襲う。片手でも素早く振り回される刀を避けては防ぎ、その間になんとか武者を説得しようと試みるが、その隙を与えない程に武者の猛攻は凄まじかった。人間が死ぬ間際に出せる最後の本気、それは、自らの人生すべてを振り返るように、振り返った先に見える過去との決別のように、今までにない程力強く、寂しいものだった。

  武者「九月殿!何故攻めてこない!拙者の…200年の苦しみを…!自滅で終わらそうというのか!?そのような侮辱を…拙者にしろと申すか!!」

  阿求「戦ってください!九月さん!」

ふと目をやると、縁側には阿求が居た。涙を流している。いままでの会話を聞いていたのだろう。

  阿求「彼の本気を…受け止めてあげてください…」

  九月「…わかった…!うおぉぉぉ!!」

振り下された刀を防ぎ、弾き返す、すかさず入れられた武者の蹴りが九月の下腹に強く決まる。人間とは思えない程の力強さ。内臓が潰れてしまうんじゃないのかとも思えるその凄まじさに、たまらず九月は後退する。それでも武者は攻撃を止めることはない。もう一度振り下された刀は九月の頭を狙っている。

  武者「うがああああぁぁぁぁ!!」

  九月「!!…うあああぁー!」

刀同士がぶつかる。九月は刀を斜めにし、武者の攻撃を受け流した。そして、斜めに構えた刀を武者の動体に振り当てる。今できる全力の攻撃だった。その攻撃は鎧を砕き、武者の肉体に大きな切り傷を作り出す。

  武者「ぐはぁ!」

その場でなんとか立っていた武者は、耐えきれず地面に倒れる。

  阿求「…武者さん!」

駆け寄ってきた阿求を見上げる武者は阿求に手を伸ばした。

  武者「姫…、やっと…会えます…。この世を…新しい朝を迎えずにすむのです…」

その手を掴み、ポロポロと涙を手の甲に落とす阿求。

  阿求「やっと…終わったんですね…アナタの、呪いが…」

  九月「…」

  阿求「でも…もっと…アナタと、過ごしていたかったです…」

  武者「拙者…も、姫と…。あ、り…が、とう…」

ガクリとうな垂れる武者の頭。彼は、もう明日を迎えることは無いのだ。永い永い彼の戦いは終わった。その終わりを察したかの如く、朝日は上る…。



  九月「準備できたよ~」

  阿求「えぇ、行きましょうか」

あの日から1週間後の事である。人里の近くにある墓地には、名もなき墓が一つ増えていた。それは、周りのどの墓石よりも立派に…静かに…。

突如阿求を襲い始める人里の人々。彼らの脳裏に住みつく悪魔とは…。


次回、夢からの守り人『夢みる世界』




次回は、なるべく早く投稿したいと思います。

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