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夢からの守り人  作者: kanisaku
11/22

九月対九月 後編

九月の声も思いも届かないまま。朝になってしまった。外にいる偽物も、阿求を口説き落とすように布団を並べて眠っている。時刻は6時になろうとしていた。先に起きたのは偽九月だった。

布団の横に畳んである自分の着物の中から3色、6面体の紐で縛られている箱を取り出す。

  偽九月(クックック…。こうして縛ってる限り開けられることも無いだろう。アイツも内側からは絶対に開けることはできない。俺の完全勝利ってところだな)

箱を眺めて笑みを浮かべる偽九月を、阿求は寝ているフリをして様子を見ていた。

  阿求(何をあんなに見ているのでしょうか…)

  阿求「あの…九月さん」

  偽九月「!?な、なんだ?阿求」

慌てて箱を戻し、その場凌ぎの笑顔で阿求を見つめる。

  阿求「今の箱は、一体なんなんですか?」

  偽九月「あ、あぁ…貰いものでな。結構気に入ってるんだ」

  阿求「そうなのですか…綺麗な色でしたね。もう一度見せてもらえませんか?」

  偽九月(ち、なんて図々しいガキだよチクショウ。しかしここで変に断っても怪しまれるだけか…)

黙って箱を阿求に手渡す。キラキラと目を輝かせている。阿求から見れば、だた色がついた箱だ。しかし、偽九月からすれば開けられたくはない箱

  阿求「なぜ紐で縛ってあるのでしょうか?」

  偽九月「え?え、っと…あ、思い出した。この箱ちょっと壊れやすくてな。こうやって縛って形を保たせてるんだ」


  九月「違う!俺を閉じ込めてるんだ!阿求、気づいてくれ!」

紫色の空間で叫ぶ九月の思いも届かないまま、偽物の自分と話す阿求。何もできない自分がもどかしくてしょうがない。


  阿求「そうだ、これから早速出かけてみませんか?朝食を店で食べるというのもしてみたいので」

  偽九月「あぁ、そうだな」

  偽九月(宝探しは後からでもできるか…。今はコイツに付き合ってやるかな)



寝間着からそれぞれ着替えた二人は、手を繋いで人里の大通りを歩く。もちろん誰も九月が偽物だとは気づかない。九月を知っている人は殆どいないのだから無理もない。

  阿求「あ、あそこです。あの定食屋の亭主さん、優しくていい人なんです」

阿求が指差した方にあったのは、人里の中では有名な定食屋。早朝にだというのにすでに人が何人か入っていく。

  偽九月「ふむ…あれだけ人が入ってるんだから、美味いんだろうな」

  阿求「最近は忙しくて行っていなかったんですが、今日は九月さんもいますし、せっかくなので食べてみようと思いまして」

のれんを潜って店に入り、阿求は店主に挨拶する。若々しい女将は、頭に鉢巻きをして忙しそうに料理を作っている。

  阿求「お久しぶりです」

  女将「お!阿求ちゃん、久しぶりだな!」

阿求の名前を聞いた店の客たちは、一斉にそっちを振り向き、それぞれお辞儀をする。

  偽九月(コイツ、そんなに偉い奴なのか…)


定食屋での朝食を終えた後は、他愛もない会話をしながら里の中を歩き回っていた。

  阿求「九月さんと会って、もう何日経ちますかね…」

  偽九月「…10日くらいか?」

  阿求「そのくらいでしょうか…あ!」

偽九月の一歩後ろを歩いていた阿求は石に躓いて、とっさに偽九月の背中に寄りかかっていた。

  偽九月「っと、大丈夫か?」

    カシャン

阿求を心配していると、軽い音が響いた。悪い予感がして咄嗟に地面を見る。

  偽九月(ヤベッ!?)

阿求が寄りかかった衝撃で箱を落としてしまった。しかも紐の縛りも少し緩かったのか、解けてしまっている。それを急いで拾い上げる。


  九月「っ、あの光は…!今しかない!」

突然横の空間が光だした。直感でそこから脱出できると確信し、手を伸ばす。その場から移動できないにしろ、必死に身体を光の方で動かそうとした。

その時、突然視界が身体を置いて一気に光りの方へ進んだ。

  九月「抜けられた!?」


  偽九月(ち、何しやがるんだこのクソガキが!絶対にぶっ殺してやる、今夜にでも!…!?そんな、色が落ちてる!)

箱の6面の内2面を占めていた緑色が、白色に戻っている。

  偽九月「く…!」

後ろにいる阿求を睨みつけ、阿求もそれに気づく。

  阿求「あ、す、すみません。大事な物だったんですよね…本当に、すみません」

そのまま怒鳴ることもなく、頭を下げて謝る阿求に冷静に対応する。

  偽九月「…いや、気にしなくていい。傷もついてないみたいだから」

  九月「おい!俺は戻ってきたぞ!」

偽九月を指差しながら声を張り上げる九月。しかし、偽九月はおろか、阿求すらも九月の声には気づいていなかった。

  九月「そんな、オイ!」

歩き始めた偽九月に殴りかかる。しかし、拳は偽九月に当たらず、偽九月の頭をすり抜けただけであった。

  九月「そ、そんな…」

絶望から希望へ、そしてまた絶望に逆戻りしてしまった。外に出れても、声も届かなければ触れれもしない。途方に暮れる九月は、行く当ても無く人里を後にした。


それから時間ほど経っただろうか。森を抜けた先に大きな石造りの階段を発見した。

  九月「まるでここに引きつけられるように来てしまったが…。一体ここはどこなんだろう」

長い長い階段を登る。不思議と心は冷静で、淡々と怪談を登って行く。

  九月「一体どこまで続くんだ…天国か?」

登り始めて10分。やっと頂上が見えてきた。

  少女「…貴方は?」

白髪で緑色の服を着た少女は箒を持って階段を掃除している。年齢でいえば中学一年生くらいだろうか。

  九月「え…俺が見えてるのか?」

よく見ると少女は物騒なことに二本の刀を帯刀している。こんな小さな子に刀を持たせていいのだろうか。でも今はそれどころじゃない。何故見えているのか、ここはどこなのか、それを聞く必要がある。

  九月「…なんで俺が見えてるんだ?そしてここは何処なんだ?」

  少女「何故見えてるのか…貴方が幽霊だからじゃないでしょうか?」

  九月「俺が幽霊…?」

  少女「ここは白玉楼。幽霊の魂を管理してる場所です。そして貴方は幽霊。だからここに引き寄せられたんでしょう。早く奥に行ってください」

  九月「待ってくれ!俺は死んでない!」

  少女「死んでないって言う幽霊も珍しいです。どういうことですか?」

  九月「俺の体は別の場所に閉じ込められてるんだ。あの子が、阿求が死ぬかもしれないんだ!何とかしてくれ!」

  少女「阿求さん…?貴方彼女の知り合いですか?話を聞きましょうか。ついてきてください」

急ぎ足で手を引かれ、連れて行かれた階段の奥には、阿求の屋敷に負けない程の豪邸と桜の木々が広がっていた。あまりの美しさに、見惚れてしまい、少女が少し強く引っ張ったのにハッとして屋敷に上げられる。

  少女「話を聞きましょうか。急いでるようですし、簡潔でかまいませんよ」

  九月「ありがとう、俺は阿求の守り人の九月。それで…」


白髪の少女に今までの事を簡潔に、でも詳しく話した。真剣に聞いてくれている少女に安心できた。

  少女「なるほど…それは大変ですね…。どうしましょう」

  九月「俺を阿求の家に戻してくれ。そして俺の偽物…いや、もう一人の俺が持っている小さ目の箱を開けてほしいんだ。そうすれば、俺の体も元に戻ってアイツを倒すことができる、阿求を守れるんだ」

  少女「わかりました。では早速行きましょう」

  ?「あら、本当に大丈夫なのかしら?」

縁側を見ると、いつの間にか青色の着物を着た、桜色の髪をした女性が口元を扇子で隠して立っていた。

  少女「幽々子様。どういうことです?」


幽々子と呼ばれた女性は扇子を畳んで袖にしまい、部屋に入って自分の横に座る。

  幽々子「この子は一度、もう一人の自分に負けてるのでしょう?また戦いに行って勝てる保証はあるのかしら?妖夢。この子に稽古をつけてみなさい」

少女の名前は妖夢というらしい。妖夢が驚いた表情で返す。

  妖夢「えぇ!?話聞いてたんでしょう?今夜ですよ?」

  幽々子「えぇ、幸いこの子は霊体。疲れることは無いけれど、霊魂に攻撃の感覚を残すことはできるのよ?つまり…」

  妖夢「私が攻撃し続ければ、九月さんは偽物の九月さんの攻撃に対処できるようになる…」

  幽々子「そう。手伝ってあげなさい。阿求には、よくお菓子の差し入れを貰ってるの。食べ物の恩は返すべきよね」

  妖夢「そういうことなら、しょうがないですね…。九月さん。どうしますか?」

  九月「もちろん、お願いする!」


桜の木々が隅に植えられている広い庭に、霊体だけの自分と少女の妖夢が対峙する。

一礼をして、互いに刀を引き抜く。腰を少し落として体勢を整える。

  妖夢「行きますよ…!!」

たった一歩での跳びで、距離をほぼ0にする程接近してきた。

  九月「早っ!」

刀を縦にして横から迫る斬撃を防ぐ。が、踏み込みの威力が凄まじく、数歩後ろに下がってバランスを崩してしまう。

  妖夢「まだ一撃目ですよ!もっともっと行きますから、覚悟してください!」

  幽々子「疲れはしないけれど、妖夢の剣は霊体も斬れるのよ~気を付けてね~」

呑気に注意を促す幽々子の言葉にゾッとする。あの威力で何度も来る攻撃。そして霊体の自分は疲れこそしないものの、精神力を削るような思いで防がなければならない。

しかし、そんなことも考えている余裕は無かった。刀を構え直すよりも早く妖夢はまたも距離を詰めて、容赦なく剣を振り下す。身体を反らして刀を下から振うが、跳んで避けられてしまう。

それだけでは諦めない。自分にはもう一つ武器がある。腰に差している小刀を掴み、妖夢に引き抜きながら全力で投げ飛ばす。小刀は、縦に回転しながら変化球のようにカーブをえがき妖夢に向かう。

  妖夢「!?、短刀!」

すかさずもう一本の刀を引き抜き、速度を落とさず飛来する小刀を弾き飛ばす。クルクルと空中で回転する小刀は九月の腰に差してある鞘に綺麗に収まる。

  妖夢「随分と便利な武器を持っていますね…」

  九月「阿求からもらった奥の手だ」

  妖夢「なら、多少本気を出してもよさそうですねっ!」

二刀流になった妖夢は、最初と同じく一度の踏み込みで一気に距離を詰める。自分も、戻ってきた小刀を抜いて二刀流になり、迫る妖夢の斬撃を受け止める。



その夜。阿求の屋敷では偽九月が風呂に入っていた。

  偽九月「…ったく。どうしてくれんだよあのガキはよぉ。出たのが一つだけだから良かったとはいえ、もしあの場で全部の面の封印が解かれてたら、アイツは、九月は完全に復活しちまうじゃねぇか」

バチバチ燃え盛る火の上に設置されている木製の風呂場。男湯には偽九月以外だれもいない。それどころか屋敷には、偽九月以外の男性は居ないのだ。

  偽九月「とにかく、今夜も妖怪が来るだろうから、ソイツぶっ殺したら阿求も殺して、この屋敷の宝を全部奪ってオサラバだな。アイツを助ける九月ももう居ない…!」

完全勝利を喜びながら風呂から上がり、何時もの着物に着替える。

その陰で、偽九月の言葉に唖然とする阿求の存在に、偽九月は気付いていない。

  偽九月「阿求、今夜も守ってやるからな。任せとけ」

  阿求「は、はい…」

  偽九月「どうした?元気ないな」

  阿求「今日はちょっと、長湯しすぎてしまって…」

  偽九月「そうか、じゃあ俺は妖怪でも待つかな」

  阿求(私を、殺す…。この九月さんは、九月さんじゃない…!?)

縁側に出ていく九月ではない九月の姿を恐ろしい物を見る目で茫然と見つめる阿求。その目の奥を「恐怖」の弐文字が支配していた。

  阿求「わたしが、やらなきゃ…九月さんを取り戻さなきゃ…」

意を決し、縁側で胡坐をかいている偽九月の横に座る。

  偽九月「?」

  阿求「今夜は風が温かいですね」

違和感を悟られないように自然に話しかける。

  偽九月「あぁ、そうだな…」

  阿求「あの、今日のことなんですけど…。あの時、九月さんが大事にしてた箱を落としてしまって…申し訳ありません」

  偽九月「…いや、いいよ。問題はない」

ほほ笑む九月、阿求も表面では平然を保っているが、内心は逃げ出したくて仕方ない程怯えていた。

その時、塀を高く飛び越えて誰かが入り込んできた。

  偽九月「来たか妖怪!」

阿求をその場に残して侵入者に向かって走る偽九月。この時、本当に九月が偽物なのだと阿求は理解した。

本当の九月であれば、自分の身を案じて真っ先に部屋に隠してくれるのに、今の九月は喜んだ声で駆け出して行った。

ショックでうつむいた時。偽九月の苦痛の声が聞こえ、顔を上げる。

  偽九月「やってくれたな妖怪風情が!」

  妖夢「私は妖怪ではありません、半人半霊。魂魄妖夢です。九月さんの手助けにやってきました」

  偽九月「そうかい…じゃあ、お前も、アイツと同じように閉じ込めてやるよ!」

九月を閉じ込めている箱を取り出し、紐を解く。

  阿求「ダメ!」

後ろから走ってきた阿求が偽九月の背中を押す。反動でよろめき、箱を宙に投げてしまった偽九月の隙を妖夢は逃さなかった。

すぐさま跳び上がり、箱を真っ二つに切断する。

  偽九月「しまった!」

箱に手を伸ばすが、もう手遅れだった。切断された箱の切れ目が光を放ち、その光が人の形へと変わっていく。

  九月「うおおおおあああああ!!」

刀を引き抜き、偽九月の右肩に一閃を入れ、九月は地面に着地する。

  偽九月「うぐぅ!テメェ!」

阿求を抱え、縁側に走りこむ。

  「阿求、部屋に逃げててくれ。大丈夫。絶対に俺は負けない」

  「…はい!」

笑顔で答えた阿求は、部屋に入っていった。襖を閉め。勢いよく偽九月に振り向き、睨みつける。

  九月「俺のせいでお前が消えかけてたのは確かだ…それは俺のせいだ。けど、俺の大事な人まで巻き込もうとするなんて許さない!お前とは、ここで決着を付ける!」

  偽九月「決着ぅ…?よく言うぜ!こんな味方連れて着といて、真っ先に俺を切りつけてダメージ負わせといて何を今更真剣勝負ヅラしてんだよ!」

肩を押さえる偽九月のいう事に、何の反応もせずただただ黙っていたが、それも止める。

  九月「妖夢、下がっててくれ、コイツとは1対1でする…そして」

小刀を抜き出し。歯を食いしばって右肩に突き刺す。

  九月「これで…、対等だ…!」

  妖夢(九月さん…。頑張って!)

血だらけになった小刀を引き抜き、鞘に戻す。

  偽九月「いいぜ!それなら文句は言えねぇ!  シャア!」

相変わらず片手だけで刀を持ち、走りだした偽九月。自分もそれに合わせて走る。

右肩の傷は、普通では味わえない痛みだが、今はそれも気にする余裕は無い。目の前にいる、残虐非道な自分を倒すだけだ。

振り下された偽九月の刀と、斬り上げる自分の刀がぶつかり、重い金属音と小さな余波を周囲に走らせる。

白玉楼で修行をした自分、一日だけの修行だったが、魂はその感覚を覚えている。迫る攻撃は、全て今までの攻撃より少し遅く感じる。

  九月「俺は!阿求を守る!その為に!死ぬわけにはいかないんだ!」

防戦一方だった前回とは違い、果敢に刀を振るって偽九月に攻撃を仕掛ける。その勢いに押されて、偽九月の攻撃回数も徐々にではあるが減ってきていた。

  偽九月「俺、だって!死にたくねぇ!…消えるのは、お前ほ方だ!!」

いままで片手で持っていた刀を両手で持ち、九月の左肩に突き刺す。刀は肩を貫通しならが血を辺りに飛散させる。

  九月「っ!?ああああああ!」

下手に刀を引き抜こうとすれば、今以上に重大なダメージを受ける。ここは、攻めるしかない!

  九月「うがあああ!」

雄叫びを上げながら小刀を掴み、偽九月の首筋に差し込む。自分に刀が刺さった時以上に血が飛び散り、自分の小刀と手、顔や服を汚していく。

  偽九月「ぐっ、ごふぅ!」

口から血を吐き出し、ガタガタと震える偽九月。

    もう、互いに限界だった。

偽九月が最後の力を振り絞って殴りかかってくる。自分も何とか動く右手で刀を握りしめ、小刀が刺さっている方とは反対の首筋に刀を振る。

  自分の顔面に全力のパンチが炸裂し、後ろに倒れる。肩に刺さったままになっていた刀はスルリと抜け落ちた。

拳を突き出したままの偽九月は、小刻みに体を震わせながら、白目をむいて自分と反対側に倒れた。

  偽九月「お…は…、死…たく…」

「俺は死にたくない」

そうう言っているのはヒシヒシと伝わってくる。その時、偽九月の体が淡い光を発しながら、小さな粒子のようになって空に消えていった。

  幽々子「消えたのね…」

  妖夢「幽々子様、いつのまに?」

縁側に立つ妖夢の横には、いつの間にか幽々子が座っていた。相変わらず笑顔のままだが、不思議と別の表情も感じられる。何か、悲しんでいるような顔。

  幽々子「彼は幸運だった。九月さんを封じ込めて阿求も殺そうとした。あのまま死んでいたら…魂は確実に地獄送りよ。生きていた時以上に苦しい重いを永い永い間味わうことになっていたわ。今回は九月が幻想郷に来たことで自身が完全に消滅してしまったみたいで、地獄にも行かず、まさに「完全消滅」って所かしら」

  妖夢「そんな感じの妖怪、でしたっけ?いましたよね」

  幽々子「ドッペルゲンガーね。一説には、平行した世界の別の自分って聞くけど。今回はどっちがドッペルゲンガーなのか分からないわね~」


襖をそっと開けた阿求は、血だらけで倒れている九月を見つけ、血相を変えて庭に飛び出す。

  阿求「九月さん!九月さんしっかりしてください!大丈夫ですか!?」

  九月「大丈夫…。ちょっと、外の世界に戻ればすぐに治るよ…」

ゆっくりと目を閉じた。


気が付けば布団の中。幻想郷に居た時間はまる1日だったから、起きない自分を見てじいちゃんも心配しているかもしれない。部屋から出て居間に入ると、じいちゃんはテレビを見ていた。

  祖父「戻ってきてくれたか…」

  九月「うん…。何とか」

  祖父「良かった…。何度祖母さんにお願いしたことか」

居間に置いてある仏壇。自分がここから離れて6年目に、老衰で死んでしまったのだ。

  祖父「お前が眠ったままだから、ワシの寿命も3年は縮んだぞ」

  九月「大げさだよ。俺は絶対に戻ってくる。だから心配なんてしなくてもいい。俺はじいちゃんの孫だよ?絶対に負けないって!」

いまだにテレビと向き合っているじいちゃんは泣いていた。

自分は、絶対に負けられないんだ。じいちゃんを悲しませない為に、阿求を殺させないために…。


決意を改めて覚悟し、朝日が昇る。

幻想郷のもう一人の自分に打ち勝った九月。その一方、幻想郷は、人々が空を飛ぶ羽を手に入れていた。その裏でうごめく怪しげな妖怪。そして、阿求も羽を…。

次回、夢からの守り人『いつか空が飛べたら』


次も、暇つぶし程度に読んでください。

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