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第225話

「悪かったって。でも仕方無いだろう? 恥ずかしいものは恥ずかしいんだ」


「じゃあその日は入浴どうしたんですか?」


 琴葉への司の質問はマキナが代わりに答えた。


「他の人には見られたくないからって事で、結局部屋に備え付けのお風呂に入ったんだよね。絶対に覗くなよって念押しもされたし……あ! 分かったよ琴葉ちゃん!」


 絶対にロクでも無さそうな事を閃いたマキナは、まるで謎を解いたかのように得意気な顔になる。


「な、何がだ?」


 嫌な予感しかしなかった琴葉は引きつった笑みを浮かべたまま、何が分かったのかをマキナに訊いた。するとマキナは笑顔でバカ回答を口にする。


「こうして見ると琴葉ちゃんってめっちゃスタイル良いけど、実はパッドで胸のサイズ誤魔化し……ふぎゃっ!」


 マキナが全てを言い終わる前に琴葉が全力で彼女の頭を引っ叩いた。


「朝から君はバカじゃないのか!? そんな訳無いだろ! 私のこれは天然ものだ! 何なら触って確かめてみるか!? ……。――って、司くんの前で何を言わせる!?」


 勢いに任せて言った直後、琴葉は羞恥心を紛らわすかのようにマキナの頭を再度叩く。


「痛い! だ、だって、もうそれしか考えられなかったんだも~ん!」


 普段パッドを入れる事で胸を盛っていると知られたくなくて、一緒に温泉へ入りたくなかったのだろうとマキナは考えたようだが、さすがに不正解であった。


 マキナは涙目で叩かれた所を手ですりすりと擦りながら痛みが引くのを待つ。


「 (会話に入りづらい……) 」


 1対1で向こうからその話題を振ってきたならまだしも、女同士でいきなり始めたその会話に男が気楽に混ざれるはずもない。結果司は居たたまれない気持ちのまま聞いていないフリを続ける事に。


「とにかく単純に私は肌を見せるのが恥ずかしかっただけだ。それ以上でもそれ以下でも無い!」


「普段肩出しスカートとかいう服装のくせに」


 拗ねたように口を尖らせてボソッと言うマキナ。そんな彼女に対し、琴葉は睨みを利かせ更に低い声で圧をかける。


「何か言ったか?」


「何も言ってませーん!」


 琴葉を怒らせたら怖い事をマキナは知っている。これ以上この話題を引っ張るのは危険だと判断したマキナは大人しく引き下がる事にした。


 一方これまで黙って2人のやり取りを見ていた司は、琴葉の意外な一面を見た気がして内心驚いていた。


「 (それにしても本当に意外だな。先輩ならまだ解釈一致というか想像つくけど、琴葉さんがそういうの恥ずかしがるなんて) 」


「はぁ。朝から疲れたな。……そう言えば司くんはこの間の休みの日に何してたんだ?」


 話題を変えたかった琴葉は先ほどまでの会話に意識して入って来なかった司に感謝しつつ、無難な話題を振る。


「僕ですか? ユエル先輩と一緒にムイとロアの部屋に遊びに行きました」


 その回答にマキナは目を輝かせ、テンションを上げた。


「えー! あの2人の部屋に遊びに行ったの!? 何か噂だと、すんごい高級マンションに住んでるって聞いたよ!」


「実際そうだったよ。先輩なんか住む世界が違い過ぎるって事で最初は緊張してたし」


「ははは。ユエルらしいな」


「私もいつか行ってみたいな~! ねぇねぇ詳しく聞かせてよ!」


「うん、良いよ!」


 転生協会では有名な男女コンビ、手錠双璧はどんな所に住んでいるのかマキナは興味津々といった様子だ。


 司はそんな彼女の心を少しでも満たす為に、休日の出来事を話してあげた。当然リバーシ加入試験の事やWPU、界庭羅船周りの話は避けながら。

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