表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/241

第207話

 改めて司にそう言われたユエルは小さく頷く。


 確かに元リバーシの人間や不合格だった人間は、現役のリバーシではない、かつ自分が受けた時の試験内容は把握しているという状況の人だ。


 このような人間と今のユエルとの違いは、リバーシ加入試験に挑戦できる権利があるかどうかだけである。つまりユエルが今後絶対にリバーシ加入試験を受けないと誓うのであれば実質同条件と言えるのだ。


 屁理屈のように聞こえるが筋は通っている。


「司くんの話。こうして聞くと意外に大丈夫だった」


「そうか? 大分怪しかったぞ。俺らが他言無用を貫く前提の話だっただろ」


「そこは大丈夫だと思う。だって……」


 ロアはムイとユエルを見てから無表情で残酷な事を口にした。


「私もムイもユエルちゃんも友達少ないし。こことここに関しては司くんとユエルちゃんくらいだけだし。そもそも言う相手が居ない」


 普段彼女と一緒に暮らしているムイは慣れているのか何でもない風だが、その言葉はユエルにクリーンヒットしたようだ。


「うっ……! そ、それはそう、ですけど……!」


「気を付けろよ、お前ら。ロアの奴、油断してるといきなり刺してくるからな」


 自分だけが知っているロアの顔を伝えられるのが嬉しいのだろう。この時のムイはどこか得意気な顔だった。


「そうだよ。油断してると刺すから。ついでにもしムイが浮気したらその時も刺すから。物理的に」


 倒置法での宣言は恐怖を倍増させた。


「……。後半のは聞かなかった事にしてやる」


 ロアは相当ムイの事が好きなのだろう。その目と言葉は本気である事が窺えた。


「ま、まぁとにかく。ムイの言う通り今後の生活では注意しなければいけないけれど、そこさえ守ってくれれば僕の話は聞いても大丈夫な内容だから、気にし過ぎないでね」


「そうみたいですね。と、友達は少ないですけど、琴葉ちゃんやマキナちゃんに言わないよう気を付けます……」


 ユエルは先ほどのロアの発言をまだ気にしているようだ。


「ん。ところで司くん。1つ訊いて良いかな」


「何?」


 不安要素が一応解消されたところで、ロアは気になっていた事を司に質問した。


「テトラちゃんって子だけど」


「ああ、うん」


「もしかして。司くんの初恋の人?」


 その質問を聞いて司よりも先にユエルが反応した。飲んでいた飲み物が気管に入ったのか苦しそうに咳をする。


「っ! ごほっ、がはっ、ごほっ!」


「……! 大丈夫ですか!? 先輩!」


「だ、大丈夫です。気管に入っただけなの……ごほっ……で……」


「何でユエルちゃんが動揺するの」


「ど、動揺なんてしてません」


「ふーん。でどうなの。司くん」


 ロアは興味津々といった様子で司に訊く。本当に彼はテトラの事をただの友達と思っているのか疑わしいという目つきだ。


 司は動揺する事も照れる様子も見せず冷静に返した。昔の司であればそういった反応になる事間違い無しだが、精神的に成長したのだろう。


「どうって……どうだろうね。あまり意識した事無いから分からないよ。でも今改めて思い返して、あの時の感情に名前を付けるのであれば多分……好きだったのかも」


「おおー」


 感情を感じさせない棒読みで感嘆の声を漏らすロア。そして司の隣ではユエルがモヤモヤした気持ちで飲み物を流し込んでいた。


「 (つ、司くんの初恋の人……き、気になる……。いやまぁ私は司くんの先輩だし単純に興味が湧いてもおかしくないよね別に、うん) 」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ