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運命の分岐点  作者: 溝端翔
〇〇編
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7/10

5-B

「ただいま」

 彼はそう呟きながら玄関のドアを開ける。

 口から出たその言葉に彼は気づいていなかった。

 靴を脱ぎ、揃えてからいつもの定位置に座る。1時間ほど何時もよりずれているせいで、面白くも無いバラエティ番組を見ながら食べる羽目になった。

「この番組、どこに向かってるんだろ...」

 放送開始直後は面白かったのに...なんて思いながらお弁当を綺麗に完食する。

「ごちそうさま」

 空になった弁当の容器を袋に入れ、ゴミ箱に捨てる。

 ポケットの携帯が鳴る。

 久しぶりにアラーム以外の音を鳴らしたからか、彼には携帯が嬉しそうに見えた。


『◻︎◻︎です!お弁当美味しかったですか??今度お家行かせてくださいね!』


 彼女からのメールだった。

 文の間間には可愛く揺れる絵文字が打たれており、彼女の楽しそうな様子が目に浮かぶ。

 しばらく眺めた後、携帯を閉じてポケットにしまう。

 彼は、メールを返さなかった。

「そろそろ準備しないと...」

 自分に言い聞かせるように彼はそう言って仕事の準備を始める。

 いつもより1時間ほど遅れ焦っているのか、それとも別の理由があるのか、動作に無駄がなく、出発の30分前に準備が終わった。

「後30分...」

 どうしたものか、と彼は唸る。

 ふと携帯を取り出してメールボックスを開ける。そこには『初メールです』という可愛く装飾された件名のメールが、保存されていた。

 彼は無言でメールを開ける。


『◻︎◻︎です!お弁当美味しかったですか??今度お家行かせてくださいね!』


 もちろん先程と同じ文。可愛く装飾されたこの文を見つめ彼は何かを考えていた。

「あれ?」

 何かを発見する。

「まだ下にスクロールできる」

 彼はメールを下にスクロールする。

 そこには隠されたかのように。彼を見透かすかのようにこう書かれていた。

「ちゃんと返事して下さいね」

 そう彼が読み上げた瞬間、携帯に電話番号が映し出され大きな着信音が部屋に響いた。

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