決着
「それに、とっておきは落とし穴だけじゃねぇぞ」
「え、他にもあるんですか?」
ぱっと見、それらしいものは見うけられない。
「落とし穴の中をよく見てみろ」
俺がとっておきとやらを探すのに苦戦していると、見かねたように大佐がありかを知らせる。
言われるがままに、手持ちの双眼鏡で穴の中を見た。
「…湯気?」
穴の中から、何か湯気らしきものが出てきていたのだ。
「そう、湯気だ。あの穴の中には風呂を涌かしてある。」
「ふろぉ!?」
確かにもっと目を凝らしてみると水のようなものが見える。
「そうだ、風呂だ。科学班に落とし穴にかぶせる布を断熱性のものにさせておいた。」
「なんで風呂なんですか!?」
「考えてもみろ。今は極寒の冬だぞ?穴の外に出て寒い思いしながら危険な目にあうよりか、風呂に浸かってた方がいいだろう。」
言い忘れていたが、今は大佐の言う通り冬真っ盛りだ。毎日気温は0度を下回る。
だからといって…
風呂とか、本当に発想が子供並じゃないか。
「…なんだその文句ありげな顔は。」
「いえ別に。事実効果は出ていますしね。」
落とし穴にはまった敵の兵士達は少ししか穴から出てこない。出てきた兵士達も狙撃兵に狙い撃ちされている。
落とし穴にはまらなかった兵士達もほとんどが催涙弾によって涙を流していて、ろくに身動きが取れない。
やっとの思いで防御網を突破してきたわずかの兵も、待ちかまえている歩兵部隊に撃退されている。
寒さと催涙弾による涙のせいで、敵のほとんどの兵が戦意を失っているようだ。
しかしカラスマ達の狙撃の腕はすごいな…ほとんどの射撃が命中しているように見える。
ちなみにこの催涙弾はうちの科学班特製で、身動きが取れなくなるほどの涙が止まらなくなるという性能を誇っているらしい。
まったく、恐るべき科学班だ。敵が戦意を失うのも無理もはない。
その後、涙と落とし穴によって大パニックに陥った敵軍はあっさり撤退していった。よほど予想外の作戦であったのだろう。
大佐の一見ふざけた作戦は、また成功したというわけだ。
こちら側の損害は、負傷者わずか5人と敵の砲撃によって外壁が少し傷ついたこと、あとは大量に掘られた落とし穴くらいのものだろう。
まぁ、落とし穴は自業自得なんだがな。
後始末が大変そうだ…
こうして、久々の大規模な敵との戦いは大佐のふざけた作戦と、狙撃部隊の活躍によって、ひとまず俺達の勝利に終わった。
すこし作戦が無理やりになってしまいました。もっといい作戦を思いつけるよう頑張ります。




