狙撃兵
なんとか魚(腐)の回収が終わった後、回収をしていた兵達は、俺を含め鬼の形相で大急ぎで大浴場に向かった。一刻も早くこの悪臭を体から取り払わないと、今にも気絶してしまいそうだ。
「はぁ~さっぱりした~。」
無事風呂に入ることができ、ようやくあの悪臭から解放された。気持ちよさも倍である。
すると一人の男に話しかけられた。
「あれ?クレマじゃん」
「お、カラスマか。」
こいつはカラスマ。この要塞の数少ない狙撃兵で、俺の同期だ。たしか地獄の魚回収作戦には狙撃の訓練で参加していなかったはずだ。
「てかなんで昼間っから風呂なんか入ってんの?」
案の定、何も知らないカラスマは尋ねてきた。
「あぁ~、これはな・・・」
何も知らないカラスマに、俺は今回の惨劇ののすべてを話してやった。
「ハハハ!マジか!それはドンマイだな。」
「笑い事じゃねぇよ全く。」
カラスマは笑いのツボが浅いというか、よく笑うやつである。たしか、少し前にある同期の兵士の下らないギャグにただ一人爆笑していた時があった。
「本当、あの司令官には困ったもんだ。」
思わず愚痴が漏れる。冗談ではなくあの司令官の下で仕事をしているといろいろと大変なのだ。
「まあ確かにな。いろいろ奇抜な作戦が多いし、でもしっかりと戦果は挙げてるじゃん。」
カラスマが軽く苦笑しながら司令官へのフォローを入れる。
「まぁそうだけど、いつも後始末が大変なんだよなー。軍の上層部ともよくもめたりしてるし。」
いつも上層部の命令を順守せず、変わった作戦ばかりとる大佐と軍の上層部との軋轢は、副官の俺にとっての悩みの一つでもある。
「まあなー。それはそうと今日夕飯いっしょに食べようぜ!」
「そうだな。今日は仕事も早く終わりそうだし。」
カラスマは俺の数少ない同期の一人なのでこうしてよく飯を一緒に食べることがある。
「じゃ、訓練終わったら食堂の前でなー。」
「あぁ、じゃあな。」
カラスマと別れ、また通常の仕事へと戻る。
「さて、夕飯までもうひと仕事か。」
風呂に入りさっぱりとできた俺は、少し爽快な気分で仕事を再開した。




