open in the story 003
連絡が取れなくなった二人について、警察に相談するほどではない。
正式な関係でもない、住民票も雇用記録もない。
建物との直接的契約もないのである。
「自然に連絡が途切れただけ」そう言えば、それまでだった。
封筒の裏、メモの余白、書類の隙間どれも走り書きの数字で11桁の数字間にハイフンがあったので、電話番号だろうと思った。
事実、かけてみた。すでに、使われていなかった。
次も同じで、3つ目の番号でようやく、呼び出し音が鳴った。でも、出ない。
ふと、私は思った、この人たちと私の関係、何と呼べばいいのか?、友人・知人・恋人・相談相手・・・どれも"?"がつく。
支払い記録は、整然としていた。日付・金額・振込先。でも、名義は曖昧だった。個人名・イニシャルのもの、誰のかわからない口座もあった。
"継続"その言葉が頭の中でぐるぐる回っていた。
関係は更新されていた。
逆に言えば条件が途切れた瞬間、関係も消える。男性が亡くなったことでその継続は停止した。だから、彼らも姿を消したのだろうか?
さすがに都合がよすぎる。偶然にしてはちょっとコワイ。
数日後不動産会社から連絡が入った。
「関係者の方から問い合わせありませんか?」
「はい、何人か、来ましたが、今は連絡が取れません」
一瞬沈黙になり、そのあと、
「そうですか」
それ以上何も聞かれなかった。
誰も深く知ろうとしない、知らないままでいられるなら、それがきっと一番の選択なのだろう。
部屋を見回していたら、一枚のメモを見つけた。
書きかけの文字。
〔続けられなくなったら・・・
〔私は
その先は破られていた。
記録に残らない人たちが確かに存在していた証。
連絡先は消え、声も姿も空白だけが確かに残っている。




