――本編とは別に読むための、人物・飛行機・機械・街の案内――
そろそろ30万文字なので登場人物や機材の説明を作りました。固有名詞を持たない人が多い作品にしていますから誰だったっけ?にはなりにくいと思います。機体は、小鳥ちゃん以外実在するので、Wikipediaで調べると出てきます。
――本編とは別に読むための、人物・飛行機・機械・街の案内――
※本編の進行に合わせて追記・更新します。
※章をまたいだ設定をまとめているため、軽いネタバレを含みます。
※この物語では、固有名を持たない人物がかなり多くいます。
「お父様」「お姉様」「商人」「工場長」のように、どろちゃんとの関係や役割で呼ばれるのが基本です。
名前が書かれていない人物も、未設定という意味ではありません。
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設定紹介① 登場人物
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【どろちゃん】
子爵家の娘で、この物語の主人公です。
一度は高熱で命を失いかけた少女の中へ、現代のロシアで十五年を生きた少女の記憶が重なりました。
さらに、アントノフに関わった設計者、構造技師、空力技師、エンジン技師、試験飛行関係者など、大勢の技師さんたちの知識と記憶まで一緒に入っています。
ただし、何でも一人で発明できる少女ではありません。
技師さんたちに聞き、職人さんに作ってもらい、学者と一緒に計算し、分からないことは調べます。
最初にタドポール君を組み立て、この世界で初めて「飛行機」を飛ばしました。
その後は飛ぶだけでなく、航空写真測量、通信、医療、工業化、大学との共同研究、長距離輸送へ仕事を広げています。
飛べるから飛ぶのではなく、帰ってこられる条件を整えてから飛ぶのが基本です。
【お父様】
どろちゃんの父で、エルレンフェルトを治める子爵です。
娘が空を飛び始めても、領地経営、外交、商取引、土地、帳簿、契約といった現実の仕事はなくなりません。
どろちゃんが技術を持ち込むほど、その技術を社会の中へ置く役目が増えていきます。
ウィーンにも仕事の拠点となる小さなタウンハウスを持っています。
娘の行動にはよく驚かされますが、必要なときには止め、必要なときには任せます。
【お母様】
どろちゃんの母です。
実家は男爵家で、遠くへ嫁いできました。
タドポール君の後席に乗り、娘の飛行機で実家へ里帰りした最初期の乗客の一人です。
空を飛ぶことそのものよりも、何日もかかった距離を短い時間で行き来できるようになった意味を、家族として最初に経験した人でもあります。
【お姉様】
どろちゃんの姉で、東にある伯爵家へ嫁いでいます。
伯爵領で作られた初等練習用グライダー「レーィカちゃん/じょうろちゃん」の最初の操縦者です。
いきなり高く遠くへ飛ぶのではなく、地上練習、短い滑空、直線飛行、着陸を順番に覚えました。
どろちゃん以外の人が、自分で空を飛ぶようになる最初の大きな一歩を担当しています。
【フランソワさん】
エルレンフェルト家に仕える家の出身で、どろちゃんの身の回りのことや外出、旅行を支えています。
家そのものが古くから領主家に仕えており、代ごとに料理、馬、子どもの世話、帳簿など、さまざまな仕事をしてきました。
どろちゃんと一緒に町へ出たり、工場へ行ったり、長距離飛行へ同行したりします。
タドポール君の後席にも乗り、ミツバチちゃんでは右操縦席に座りますが、副操縦士ではありません。
操縦輪には触らない観察者です。
飛行機の外でも、どろちゃんが貴族令嬢として普通に暮らすために必要な人です。
【頭の中の技師さんたち】
どろちゃんに一緒についてきた、未来側の航空技術者たちの知識と記憶です。
アントノフの設計者、構造、空力、エンジン、試験飛行など、専門は一つではありません。
どろちゃんには声として聞こえますが、周囲の人には聞こえません。
普段は、飛行機好きの少女へ話しかける優しいおじさんたちです。
ただし、吊り上げ、組立、点火、離着陸など、即時性と安全性が必要な作業中だけは短く明確に指示します。
何よりも「作れた」と「使ってよい」、「飛べる」と「飛んでよい」を区別します。
【ライデン大学の人たち】
数学者、自然哲学者、天文学者、工房職人、学生など、大勢が登場します。
多くは固有名を持ちません。
どろちゃんが完成品を置いていく場所ではなく、現象を再現し、計算し、失敗を記録し、自分たちの材料と技術で次のものを作る研究拠点です。
タドポール君そのものは再現できなくても、プライマリーグライダーを作り、電気と磁気の実験を続け、将来の航空と電気工学につながる仕事を始めています。
【ウィーンの商人】
ハプスブルク家とも長い付き合いを持つ、大きな商人です。
財産だけでなく、倉庫、代理人、船、荷車、街道をつないで荷物を動かす「道」を持っています。
どろちゃんが届けた薬によって家族が治療を受けたあと、その物流網を薬の配送にも生かせないか考えるようになります。
薬をただ町へ送るのではなく、誰が受け取り、誰が管理し、どこへ渡ったかを帳簿で追えることが重要になります。
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設定紹介② 歴史上の登場人物
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この物語には、架空のエルレンフェルト家や使用人たちに混じって、実在した人物もそのまま登場します。
史実の人物については、実際の経歴や当時の立場を土台にしています。
ただし、どろちゃんと会うこと、未来由来の薬や飛行機を見ること、その結果として史実とは違う行動を取ることは、この物語の架空部分です。
【ロバート・フック】
英国の自然哲学者、実験家です。
顕微鏡観察で知られる『ミクログラフィア』だけでなく、時計、機械、測定、重力など非常に広い分野を扱いました。
物語では一七〇一年、晩年でかなり体調を崩している時期にどろちゃんと知り合います。
どろちゃんは顕微鏡用レンズや薬を送り、その後ロンドンで直接会います。
フックは、どろちゃんが英国の学術社会や王室医療へつながる大切な窓口になります。
本作では体調が改善し、史実より長く研究を続ける時間線へ入ります。
【アイザック・ニュートン】
数学、力学、光学などで知られる英国の研究者です。
物語の一七〇一年には、すでに王立造幣局長官を務めています。
どろちゃんがロンドンで航空について話した際、聴衆の一人として登場します。
航空工学という学問がまだ存在しない時代なので、グライダーについてはニュートンも最初は「新しい分野の人」です。
ただし、説明を理解したあとの議論は非常に速く進みます。
どろちゃんとは飛行機だけでなく、重力や単位の話でも関わります。
【ウィリアム三世】
当時のイングランド王です。
史実では一七〇二年に落馬して鎖骨を骨折し、その後死亡しました。
本作でも落馬そのものは起こりますが、どろちゃんが前年にフックへ預けていた抗生物質が王室医療へ渡り、感染性合併症の重症化を抑えます。
そのため本作では生存し、史実とは異なる時間線へ入ります。
どろちゃんの王立協会での立場や英国での身分にも関わる人物です。
【ルイ十四世】
フランス王です。
スペイン継承戦争期のフランスを率いる国王として登場します。
どろちゃんとは最初から友好的な関係ではありません。
エルレンフェルトへ進もうとしたフランス軍、ヴェルサイユの庭、医療、科学、度量衡など、かなり違う種類の問題を通して何度も関わります。
物語が進むと、どろちゃんがフランスの傷病兵や貴族の治療へ関わったことを受け、既存の医師・薬剤師とは別の「薬剤医師」という資格を新設し、どろちゃんへ資格状を与えます。
王として政治的利益を考える人物なので、科学や医療を単純に「よいこと」として受け入れるのではなく、フランスにとって何になるかも考えます。
【ミシェル・シャミヤール】
ルイ十四世治世末期に、財政と軍務の中枢を担った実在人物です。
物語では、エルレンフェルトとの衝突をさらに大きな戦争へする価値があるのかを、兵力だけでなく金、補給、馬、砲、輸送まで含めて考える側に置かれています。
ルイ十四世が一人で軍事判断をするのではなく、国家として損得を計算する場面を支える人物です。
【ジャン=バティスト・コルベール・ド・トルシー】
ルイ十四世の外交を担った実在人物です。
物語では、どろちゃんの警告や要求が何を意味しているのかを読み、エルレンフェルトとフランスの間でどこに合意線を引けるかを考えます。
軍事担当のシャミヤールとは役割が違い、相手の言葉、面子、交渉条件を扱う側の人物です。
【ジャン=ポール・ビニョン】
フランス王立科学アカデミー側で登場する実在人物です。
どろちゃんがパリへ持ち込んだ医療、電気、工業、標準化などの大量の資料を受け取り、科学院側で検討する人物の一人です。
【ベルナール・ル・ボヴィエ・ド・フォントネル】
フランス王立科学アカデミーに関わる実在人物です。
本文では主に「フォントネル」と呼ばれます。
どろちゃんの講演や実験を聞き、未来側では当然でも、この時代の研究者にはまだ確かめられない内容をどう扱うか考えます。
科学を「知っているから正しい」で終わらせず、再現と検証へ戻す場面に関わります。
【本文で名前が出る、そのほかの歴史人物】
ジョン・フラムスティード、アンドレ・ル・ノートルなども名前が登場します。
ただし、現時点ではどろちゃんと直接会話する主要登場人物ではなく、星図、天文台、ヴェルサイユ庭園など、その時代の背景を説明する人物として扱っています。
今後、直接物語へ入ってくる人物は、この欄へ追加します。
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設定紹介③ 飛行機・飛行装置
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【ターボプロップ化されたAn-2】
物語の最初に登場する実在のアントノフ機です。
現代ロシアにいたどろちゃんは、このターボプロップ化されたAn-2に乗り、バイカル湖の島にある実家へ帰ろうとしていました。
ところが、その途中で起きた出来事によって、どろちゃんの人生はナーロッパ側へつながります。
本編では長く活躍する機体ではありませんが、「どろちゃんがもともとアントノフ機を身近に知っていた」ことを示す、物語の出発点にいる飛行機です。
【An-22】
第一章で登場する、実在の大型輸送機です。
現代ロシアのどろちゃんがAn-2で移動していたところへ、緊急着陸してきたAn-22が現れます。
たいへん運の悪いことに、どろちゃんはそのAn-22にひかれ、それがナーロッパのどろちゃんへつながる直接のきっかけになります。
本編では事故そのものを詳しく描きません。
第一章の説明でも、An-22はたいへん大きな輸送機であり、事故を細かく描けば物語の明るさが失われるため、一行で転生まで進めたとしています。
そのためAn-22は、ナーロッパで運用される飛行機ではありませんが、この物語の航空機一覧から外せない「最初の方に登場する重要な実在機」です。
【タドポール君】
どろちゃんが最初に組み立てた、この世界で最初の飛行機です。
アントノフA-11/A-13系列をもとにした、受注生産の「全部入り」特注仕様です。
長距離滑空に向くA-11系の長い主翼、小型ジェットエンジン、二人乗り仕様など、当時の系列で実際に存在した、または受注仕様として変更できた要素を一機へまとめています。
とくに「ジェットエンジン付きモーターグライダー」という部分は、一見すると仮想機らしく見えます。
しかし、アントノフのグライダーではジェット装備型そのものが実在します。
A-11MやA-13Mのような機体があり、ジェットを付けたこと自体は本作の創作ではありません。
翼の交換も史実にあり、二人乗り化もアントノフのグライダー系列に実例があります。
つまりタドポール君は、実在した変更可能部分を全部盛りにした注文仕様です。
「長翼+ジェット+二人乗り」を同時に組み合わせた実機の記録を確認しているわけではありませんが、個々の要素を成立させるために新しい飛行原理や未知の技術を持ち込んだ機体ではありません。
本作では、「当時アントノフへこの内容で注文すれば製作できた範囲の機体」として扱っています。
本作では前後二座で、後席は後ろ向きです。
動力で上昇したあと、ジェットを止めれば普通のグライダーとして長く滑れます。
上昇気流を使えるため、一般の動力機のように燃料だけで航続距離が一つに決まる機体ではありません。
タドポール君自身の声は、どろちゃんにだけ聞こえます。
人や少量の荷物を遠くへ運ぶほか、航空写真、通信筒の投下、偵察、医薬品輸送など、物語の初期から長く働いています。
【レーィカちゃん/じょうろちゃん】
二つの名前がありますが、同じ一機です。
史実のUS-4/A-1系をもとにした単座の初等練習用プライマリーグライダーです。
ジェットもロケットもありません。
丘、風、ゴム索などを使い、まず少し浮くこと、まっすぐ飛ぶこと、姿勢を乱さないこと、安全に着陸することを覚えるための機体です。
丸みのある機首がじょうろに見えたため、「じょうろちゃん」と呼ばれるようになりました。
ロシア語の「じょうろ」に由来する呼び名が「レーィカちゃん」です。
伯爵領では、初号機を組み立てるだけでなく、二号機以降を作れるよう型板、治具、検査ゲージまで残しました。
【小鳥ちゃん】
単座、与圧式、可変後退翼のロケット・グライダーです。
高速時には翼を大きく後退させ、速度が落ちるにつれて翼を前へ開きます。
ロケットで高度と速度を得たあとは、グライダーとして帰ってきます。
航空写真測量では高度約一万五千メートルから広い地域を撮影しました。
その後は再使用式の加速装置「えんちゃん」と組み合わせ、百キロメートルを越える高度まで上がり、自分の翼で帰還しています。
小鳥ちゃんも、どろちゃんに話しかけます。
【アフラ君】
小鳥ちゃんへ取り付ける固体ロケットユニットです。
一本ずつ独立した推進装置で、飛行目的に応じて搭載本数や点火順序を変えます。
高高度飛行では通常推進だけでなく、異常時に小鳥ちゃんが加速装置から離脱するための手段にもなります。
燃料側には、食用にも飼料にも戻せないカビ被害ピーナッツから得た有機成分を利用しています。
ただし、具体的な推進剤組成や製造法は物語上設定しません。
【えんちゃん】
小鳥ちゃんの下へ取り付ける再使用式の加速装置です。
中央支持架台と左右二基の大型固体ロケットブースターで構成され、小鳥ちゃんを高高度まで押し上げたあと分離します。
分離後はそのまま捨てず、十分に降下してから操向可能な布の翼を開き、回収地点へ帰ってきます。
小鳥ちゃんだけでなく、加速装置まで帰還させることが基本です。
【ミツバチちゃん】
神様から届いたAn-28系の双発ターボプロップ輸送機です。
機体は飾り気のない白色。
頑丈な固定脚、高翼、二基のエンジンを持ち、草地から人とまとまった貨物を運ぶ仕事を担当します。
乗員も乗客も後部の大きな開口から入り、客室兼貨物室を通って操縦席へ向かいます。
どろちゃんが左席で操縦し、フランソワさんが右席へ座ることがありますが、操縦できるのは現在のところ、どろちゃんだけです。
受け取ってすぐ長距離へ飛ばず、操縦席の確認、始動停止、地上走行、制動、直線滑走、軽荷重の初飛行、着陸後点検を積み重ねてから実用輸送へ入りました。
【コウノトリちゃん】
OKA-38系をもとにした軽連絡機で、現在はエルレンフェルト機械工場で製作が進んでいます。
神様から届くのは、エタノール仕様のエンジン、主要計器、必要な電子機器、図面です。
翼、胴体、脚、操縦系統、燃料系統、風防などは領地側で作ります。
大量輸送のミツバチちゃんに対し、医師一人、少量の薬、手紙、小さな部品などを短い草地へ運ぶ仕事を想定しています。
燃料に領地で作れるエタノールを使えることも大きな特徴です。
【ライデン大学製プライマリーグライダー】
レーィカちゃんそのものの複製ではありません。
どろちゃんが持ち込んだ考え方をもとに、大学の数学者、自然哲学者、工房職人たちが、自分たちで入手できる木材、金具、索、布などを使って作った初等練習機です。
大学はタドポール君級の高性能ソアラーをすぐ再現できません。
そのため、まず作れる機体を飛ばし、材料、翼、桁、接着、張線などの研究を続けています。
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設定紹介④ 機械・設備
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【カニ君】
日立建機ZAXIS ZX50U-5B系の、約五トン級油圧ショベルです。
排水溝を掘り、石や根株を取り除き、土を移し、前の排土板で粗く地面をならします。
飛行場造成が終わっても、農地の排水、開墾、用水路、農道整備などに使えます。
【プロースキィ君】
十トンクラスのロードローラーです。
カニ君が整えた地面を何度も通り、土を締めます。
一度転圧して終わりではなく、高さを測り直し、沈んだところを補修し、雨のあとにも確認して再び締めます。
草を刈っただけの牧草地ではなく、継続して飛行機を使える地面へ変えるための機械です。
【サマスヴァール君】
小型のクローラーダンプ兼作業車です。
人、工具、材料、土砂などを運びます。
牽引具を付ければミツバチちゃんをゆっくり移動させることもできます。
斜面の途中へ降りたタドポール君を専用台車へ載せ、その台車ごと引き上げる回収車にもなります。
飛行機そのものより地味ですが、飛行場が日常的に動くためには欠かせない機械です。
【十五キロリットル共通燃料タンク】
エルレンフェルト飛行場に置かれた、神様由来の共通燃料用タンクです。
燃料は外見や性質がほぼケロシン系で、神様由来の航空機、車両、建設機械の多くで共通して使えます。
給油用ポンプ、ホース、濾過器と組み合わせて使います。
大きな輸送機を日常的に動かすようになると、五十リットル缶を何本も運ぶ方式では足りなくなりました。
【神様の五十リットル燃料缶】
もともとタドポール君の運用に使われてきた燃料缶です。
使い切った缶は、機体から降ろし、燃料系統から切り離し、地上へ置いて一晩休ませると一定量まで再び満たされます。
飛行中や機体へ固定されたままでは補充されません。
空の缶が飛行中に急に重くなり、機体重量や重心が変わるようなことは起きない仕組みです。
【エルレンフェルト機械工場】
未来の工作機械を置くだけの建物ではありません。
旋盤やフライス盤を据え付け、温度を管理し、測定室を分け、試験片や失敗した加工まで番号を付けて記録します。
機械を持っていることより、同じ寸法の部品を繰り返し作り、測り、直せることを重視しています。
コウノトリちゃんの機体構造も、ここで製作が始まっています。
【飛行場の格納庫】
ミツバチちゃんが届く前から、技師さんたちの寸法をもとに建設を始めました。
長い壁は石造りで、大きな屋根は重くしすぎず、木造トラスと梁の上へ軽い羽布張りの屋根を載せています。
内部照明は神様製のバッテリーとLEDを使い、燃料や航空機のそばへ油灯を持ち込まなくてよいようにしています。
【飛行場監視塔兼気象観測室】
現代の大空港にある航空交通管制塔ではありません。
この時点で飛行機を操縦できるのは、どろちゃん一人です。
塔の主な仕事は滑走路と駐機場所の監視、風や天候の観測、飛行場と町の領主館との連絡です。
吹き流し、無線式気象観測装置、固定無線機、アンテナ、ハンディ無線機などを使います。
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設定紹介⑤ 街・拠点
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【エルレンフェルト】
どろちゃんの家が治める古い子爵領です。
ライン川東岸、ストラスブールより南にあるドイツ語圏の土地で、周囲には畑、牧草地、森、水気の多い低地が広がります。
領主家は何百年もこの土地を治めており、戦争で隣の土地を奪って広げてきた領地ではありません。
物語が進むにつれ、飛行場、機械工場、研究設備、医薬品生産などが増え、「小さな領地」から一つの技術拠点へ変わっていきます。
【子爵家の屋敷と丘】
どろちゃんの家は、町を見下ろす草原の高台にあります。
物語の最初、神様から届いたタドポール君の箱は屋敷へ届き、庭の用具置き場が最初の作業場になりました。
近くの丘と草地は、タドポール君の初飛行にも使われています。
空を飛ぶ世界が、いちばん普通の家のすぐそばから始まった場所です。
【エルレンフェルト飛行場】
もとは比較的平坦な草地ですが、単に草を短くしただけではありません。
排水、根株や石の除去、高さの修正、転圧、降雨後の再確認を行い、滑走路、旋回場所、駐機場、給油場所を整えた本格的な草地飛行場です。
格納庫、監視塔兼気象観測室、吹き流し、無線、気象観測装置、共通燃料タンクを備えています。
ミツバチちゃんの運用拠点です。
【お姉様の伯爵領】
大きな川を渡り、山を越えた東側にある伯爵領です。
タドポール君が家族への手紙を初めて空輸した場所の一つであり、その後レーィカちゃんを組み立て、初等飛行訓練を始めた土地でもあります。
飛行機を「どろちゃんだけの特別な乗り物」から、ほかの人も学んで飛べる技術へ変えていく拠点です。
【南の伯爵領】
お姉様の嫁ぎ先とは別の伯爵領です。
カビ被害を受けた大量のピーナッツが発生し、それを食用や飼料へ戻さず、工業原料として利用する流れが生まれました。
戦争ではエルレンフェルト南方の情勢とも深く関わります。
【お母様の実家・男爵領】
どろちゃんのお母様が生まれ育った土地です。
遠くへ嫁いだお母様にとって、以前は簡単に帰れない場所でした。
タドポール君の二人乗りによって、娘の飛行機で父親のお見舞いへ行き、一泊して帰れる距離になります。
航空が軍事や技術だけではなく、家族の距離を縮めることを示す場所です。
【ライデン】
当時のネーデルラント連邦共和国にある大学都市です。
エルレンフェルトからの飛行では、およそ五百キロメートル級の長距離になります。
どろちゃんが知識を一方的に教える場所ではなく、大学側が再現し、計算し、自分たちで作る共同研究の拠点です。
グライダー研究、電気と磁気の実験、材料と構造の研究などが続いています。
【ロンドン】
どろちゃんが長距離飛行で訪れる大都市です。
大学とは違い、学者だけでなく王室、医師、行政とも接点が生まれます。
タドポール君の長距離飛行能力と、どろちゃんが医療へ関わっていく流れが大きく広がる場所です。
【パリとヴェルサイユ】
フランス王ルイ十四世の世界です。
どろちゃんは薬を運び、傷病者や貴族の治療へ関わり、王とも直接話すようになります。
のちにルイ十四世から、薬を使って診察と治療を行うための新しい資格「薬剤医師」を与えられます。
ヴェルサイユでは、どろちゃんらしい少々余計な出来事も起きています。
【ウィーン】
お父様が仕事で長く関わる大都市です。
ハプスブルク家と縁の深い商人の屋敷、父のタウンハウスがあり、のちにミツバチちゃんが着陸できる草地も確保されます。
商人の物流網を使い、薬を「町へ届ける」だけでなく「必要な人へ届いたことを記録する」仕組みを作り始める場所でもあります。
ウィーン近郊の草地には、神様由来の二キロリットル燃料容器が置かれています。
この大きな容器が五十リットル缶と同じように自動で補充されるかどうかは、まだ分かっていません。
分からないものを補充される前提にはせず、実際にそこにある燃料だけで飛行計画を立てています。




