171貴族令嬢はプラカードでアナスタシアさんを探します 海賊に連れ去られていたエレソス別荘管理者の妹を発見です。
神様との労働契約が動き始めてから約1か月、どろちゃんはライデン大学の教授として実務マニュアルの校正、印刷、各国への配布を続けていました。
農園向け、商店向け、船員向け、家内労働向け、国外投資向け。新しい事例が届けば追記して、次の版を刷ります。世界をひっくり返したような契約でも、人間の側で動かす仕事は紙と帳簿の積み重ねでした。
その仕事の合間に、今日はサモトラケへ行きます。
チェブラーシカの貨物室には、穀物、酒、お菓子、そのほかの食品と、発掘道具の消耗品を積みました。さらにハイラックスも1台載せています。
「これだけあれば、しばらく大丈夫かな」
積荷を見ながらどろちゃんが言うと、フランソワさんが荷物の固定をもう一度確かめました。
「発掘の方々から頼まれていたものは入っております。お菓子も、かなりございますね」
「食べるからね。発掘って、土を掘って記録して運んで、ずっと体を使うし」
今日はサモトラケへ直行です。
島の滑走路は短めです。チェブラーシカなら使えますが、満タンの燃料を積んで重量を増やして降りる理由もないので、必要な区間を飛び、予備をきちんと残せる分を積んで離陸しました。
サモトラケへ着くと、後部ランプを開いてハイラックスも降ろしました。
穀物や食品を運ぶだけならロバ車も働いてくれます。それでも、ロバ車では扱いにくかった重い荷物や大きな荷物が残っています。ハイラックスなら荷台へ載せてそのまま発掘現場まで運べました。
「これは楽ですね」
研究者の一人が荷台から箱を降ろしながら言いました。
「ロバさんに無理させなくていいしね」
「この車、荷物を運ぶ以外にも使えるのですか」
「ウインチがあるよ。動かしていい石なら引ける」
記録を終え、遺構そのものではなく、移動してよいと判断された大きな石にはワイヤーを掛けました。ハイラックスを安定した位置に止め、ウインチをゆっくり巻きます。
「動いた」
「人を集めて押していた石ですよ」
「動くものなら、こっちの方が楽だよ。無理だったらやめるけど」
車や遺跡へ無理をさせず、動かせるものを必要な分だけ動かします。
補給品の受け渡しが一段落すると、研究者と学生たちが集まりました。ラジオを聞いているので大筋は知っています。それでも、契約書が消えた会議場にいて、その後は実務マニュアルを作っているどろちゃん本人から聞きたいことがたくさんありました。
「ラジオでだいたい分かってると思うけど、今どうなってるか、少し話しておくね」
「20か国、全部署名したのですよね」
「うん。最後がオスマン帝国。21枚全部に最後の署名が入った瞬間、神様の分の1枚が金色の粒になって消えたよ。20か国の分だけ残った」
「議会で反対していた方が眠ったという話も、本当ですか」
「本当。普通の採決を止めていた人は、法律が通る人数になるまで登院できなかった。次の日には普通に起きて来たよ」
学生が手を上げました。
「それから、法律を骨抜きにしようとした採決が賛成0票だったというのも?」
「それも本当。今度は議場に来てたんだけど、賛成しようとした人だけ、その場で寝ちゃったの。採決が終わったら起きた」
「神様、票の意味まで見ているんですね」
「そうみたい。だから、条文の形だけ残して中身をなくすのも危ないよ」
別の研究者が聞きました。
「神様から届いた契約では、最低賃金の基準はどうなっているのですか。さらわれた時代の兵士の給与まで遡るのでしょうか」
「遡らないよ。精算する時点からさかのぼった直近1年間で、その国で正規兵としての訓練を終えた一年目の普通の下級兵士に、平時の通常勤務で本人へ直接払われた基礎給与の平均。食事、宿舎、制服、武器、弾薬、募集費、訓練費、輸送費みたいな国家側の費用や、戦地手当、危険手当、遠隔地手当、航海手当みたいな特別勤務への手当は入らないの。昔の安い額で10年分を計算することもできないし、直前だけ基礎給与を下げても、直近1年間の平均だから数字は簡単には下がらないよ」
「平均を1年間取るのですね」
「うん。それを未払いだった期間に使うの」
「20か国の外へ農園を移す話も出ていると聞きました」
「移すことだけならできるよ。でも20か国の人や会社がお金を出して、そこで安く働かせた人から利益を受け取ったら同じこと。投資先がどこかだけ見ても駄目で、誰が働いて、誰が儲かってるかを見るの」
発掘をしている学生たちには、アルジェ、チュニス、トリポリで起きていることも関心が高いようでした。
「船や王宮の品まで消えたというのは?」
「アルジェ、チュニス、トリポリの各政権や、奴隷市場、バグニオ、港の商人たちで、20か国の人を売ったり働かせたりして利益を取ってたところね。現金だけじゃ足りなくて、船、倉庫、屋敷、王宮の装飾、大砲、銃、刀剣、軍の具足まで神様が持っていって、未払い賃金に回してる」
「どこへ持っていったのでしょう」
「分かんない。そのうち、どこかの世界でオークションしてるかも」
研究者がすぐに反応しました。
「帳簿があるなら欲しいです」
「やっぱりそっち?」
「王宮の宝石より、誰をどこで売ったか分かる帳簿の方が研究資料としては重要です」
「大砲とか船も欲しい人、絶対いるよね」
学生たちが笑いました。
話を終えると、ハイラックスをもう一度チェブラーシカへ積み込みました。サモトラケでの用事は終わりです。
次はイスタンブールへ向かいます。
後世にアタチュルク空港となる場所の滑走路は、サモトラケの滑走路とは比べものにならないほど長く取ってあります。チェブラーシカなら、性能だけを使えば全長の1/6も使わず止まれますが、今日は普通に余裕を取って使います。
「今日は普通に降りよう」
「はい。その方が荷物にも優しいですね」
余裕を持って進入し、滑走路を長く使って静かに減速しました。
後部ランプからハイラックスを降ろします。
どろちゃんとフランソワさんはそのまま乗り込み、トプカプ宮殿の近くに作られた帰還者キャンプへ向かいました。
万人単位の帰還者を宮殿の建物へ収容しきれないので、広いキャンプが作られました。優秀な行政官たちが氏名、出身地、家族、さらわれた時期、途中で使われた名前、働かされていた場所などを順番に聞き取っていました。
入浴できる設備も作られています。
長く船や収容施設にいた人も、遠い土地で働かされていた人も、まず体を洗って清潔な服へ着替えます。食事を取り、事情聴取を受け、故郷へ帰る順番を待ちます。
人数が多いので、周囲は大きな市場にもなっていました。
衣服屋、靴屋、食べ物の屋台、日用品を扱う商人。帰還者は神様から未払い賃金を金貨や銀貨で受け取っているので、正価で売っても十分に客がいます。
行政側からも、値段を釣り上げたり、帰還者をだましたりしないよう何度も警告されていました。
それでも、毎日何人か消えます。
店先に着ていた衣類だけを残して、店主本人がいなくなった例もありました。
キャンプを警備していた兵士が、ハイラックスから降りたどろちゃんを見てすぐに気づきました。
「先生。今日はどうされたのですか」
イスタンブールでは、どろちゃんの顔も名前もかなり知られています。兵士の間では、射撃の腕の話まで広がっていました。
「人を探しに来たの。アナスタシアさん」
「帰還者の中からですか」
「うん。レスボス島の人。お姉さんがエレナさん」
兵士は少し困った顔をしました。
「アナスタシアという方は、かなりおります」
「やっぱり?」
「それと、先生。家族を探している方には、知らない者へ手数料を払わないようお伝えください。このところ、それが一番多いのです」
「何が?」
「探すつもりもないのに、『ご家族を見つけました』『場所を知っています』と言って手数料を取る者です。この家族捜索の詐欺で消える例が、いま一番多くなっています」
「そんなことするんだ」
「行政官へ照会するのに手数料は要りませんし、正直に商売をすれば、この人数ですから十分に儲かります。それでも欲を出す者がおりまして」
フランソワさんが荷台から大きなプラカードを取り出しました。
「お嬢様、こちらでよろしいでしょうか」
「うん。格好悪いけど、これが一番早そう」
大きく書いた文字を見えるように持ちます。
「レスボス島のアナスタシアさーん! いませんかー!」
何人かが振り向きました。
「私です」
「あちらにもアナスタシアさんがいますよ」
「私もレスボス島です」
どろちゃんは一度プラカードを下ろしました。
「……いっぱいいるね」
「島まで絞っても、まだ多いですね」
フランソワさんも周囲を見ました。
そこで、レスボス島の中でもエレナさんから聞いていた地域まで絞りました。行政官にも帰還者の配置を聞き、その地域から来た人が多い区画へ移動します。
もう一度プラカードを上げました。
「レスボス島の、エレナさんと同じ地域から来たアナスタシアさーん! お姉さんがエレナさんの方、いませんかー!」
歩きます。
また呼びます。
返事があれば、出身地と家族のことを確かめます。
何人目かで違い、さらに次の人も違いました。
それでも1時間ほどたったころ、少し離れたところから女性がこちらを見て立ち止まりました。
「……エレナ?」
どろちゃんが声の方を向きました。
「お姉さん、エレナさん?」
「はい」
「レスボス島の人?」
「はい。どうして姉の名前を……」
フランソワさんも近づきました。
出身地域、両親のこと、さらわれた時期。どろちゃんたちがエレナさんから聞いていた話と、一つずつ合いました。
「見つけた」
どろちゃんは、ようやくプラカードを下ろしました。
「アナスタシアさん。エレナさん、ずっと探してたよ」
アナスタシアさんは、すぐには返事をしませんでした。
「姉は……生きているんですか」
「うん。レスボス島にいるよ」
万人単位の帰還者を順番に処理しているキャンプなので、通常ならここから行政手続きを待つことになります。
どろちゃんは近くの行政官へ頼みました。
「この方、今ここで手続きしてもらってもいいですか。本人確認はちゃんとお願いします」
身分を使うところは使います。
手続きそのものを飛ばさず、順番だけを前へ出してもらいました。
行政官はアナスタシアさん本人から改めて事情を聞き、記録を照合し、帰還者としての登録と行き先の処理をその場で進めました。
「レスボス島へ戻られるのですね」
「はい」
「こちらの先生が同行されるということでよろしいですか」
アナスタシアさんは、どろちゃんを見てからうなずきました。
手続きが終わると、今度は買い物です。
「服も買おう。エレナさんの分もね」
「姉の分もですか」
「うん。食器もいるよ。カトラリーとリネンも買っていこう」
帰還者キャンプの周囲には、正価で商売をしている店がたくさんあります。アナスタシアさんの衣類とエレナさんの衣類、食器、カトラリー、リネン類を揃え、箱や包みをハイラックスの荷台へ積みました。
ぼったくりや詐欺をしなければ、商人にとっては何万人もの客がいる大きな商機です。どろちゃんたちが買った店も、普通の値段で次々に商品を売っていました。
買い物を終えると、ハイラックスで滑走路へ戻りました。
チェブラーシカの後部ランプを下ろし、ハイラックスごと貨物室へ積みます。アナスタシアさんには操縦席の3席目へ座ってもらいました。
「ここですか」
「うん。ベルト締めてね」
「姉のところへ、本当に行くんですね」
「20分くらいだよ」
エンジンを始動し、長い滑走路から余裕を持って離陸しました。
マルマラ海へ出て、ダーダネルス海峡を抜けます。
アナスタシアさんは、3席目からずっと前を見ていました。
どろちゃんたちは、レスボス島へ何の連絡もしていません。
トプカプ宮殿にアナスタシアさんがいる可能性は高いと思っていました。それでも、万人単位の帰還者から本当に見つかる保証はなかったのです。
約20分の飛行でレスボス島が近づきました。
こちらは短い滑走路です。
しかも貨物室にはハイラックスがあり、イスタンブールで買った荷物も載っています。ペイロードは約2t。今度は長い滑走路での余裕の着陸とは違います。
「ここはちゃんとSTOLで降りるよ」
どろちゃんはフラップを大きく使い、低速でも揚力を保てるようエンジン出力を高く残しました。
チェブラーシカは、低く、遅く進入しているのに、ものすごくうるさくなりました。
短い滑走路の使える部分へきちんと接地し、早めに減速します。
停止するとエンジンを落としました。
前部の出入口は、乗り降りにはほとんどハシゴです。どろちゃん、フランソワさん、アナスタシアさんは貨物室へ回り、後部ランプから降ります。
ハイラックス本体は降ろしません。
後部ランプのところへ、いつもの人力台車がやって来ました。
「何か届いたんですか?」
荷下ろしを手伝いに来たのはエレナさんでした。
「うん。ちょっと買い物してきたの」
どろちゃんとフランソワさんが、ハイラックスの荷台から衣類や食器の箱を下ろします。エレナさんも箱を受け取って、人力台車へ載せました。
「これは、こちらでいいですか」
「うん。その台車に――」
エレナさんの手が止まりました。
貨物室の奥に、もう1人立っています。
エレナさんは箱を持ったまま、その人を見ました。
「……アナスタシア?」
アナスタシアさんも動きませんでした。
「お姉ちゃん……?」
次の瞬間、エレナさんが箱を台車へ置いて走りました。
アナスタシアさんも前へ出ました。
姉妹は後部ランプのすぐ下で抱き合いました。
どろちゃんとフランソワさんは、少し離れて待ちました。
周囲で荷下ろしを手伝っていた研究者や学生も、何が起きたのかすぐに分かりました。
「妹さん、見つかったんですか」
「うん。1時間くらいで見つかった」
エレナさんは泣きながら、何度もアナスタシアさんの顔を見ていました。
「生きてた……」
「お姉ちゃんも……」
どろちゃんは、聞きたいことが山ほどありました。
どこへ連れて行かれたのか、どこで売られたのか、誰のところで働いていたのか、名前を変えられていたのか、どれくらいの期間だったのか。聞こうと思えば、いくらでも質問が出てきます。
口を開きかけたところで、フランソワさんと目が合いました。
フランソワさんは何も言いません。
でも、顔が言っています。
今はやめておきましょう。
どろちゃんは口を閉じました。
「……あとにする」
アナスタシアさんは、北アフリカの拘束先からトプカプ宮殿へ直接戻された帰還者の1人でした。どの都市にいたのかは、まだ本人から聞いていません。
その間に何があったのかは、本人が話したくなったときに聞けばいい。
買ってきた衣類や食器、カトラリー、リネン類を人力台車へ載せ終えました。
姉妹が少し落ち着いたころ、どろちゃんはチェブラーシカを見ました。
「エレナさん、アナスタシアさん。少し空に行ってみない?」
「空に?」
「うん。レスボス島を上から見ようよ」
チェブラーシカには、客席を1列だけ残してあります。
エレナさんとアナスタシアさんには、その2席へ並んで座ってもらいました。ハイラックスは貨物室に積んだままです。
短い滑走路なので、離陸もSTOL性能を目いっぱい使います。
フラップを使い、エンジン出力を上げました。
「ちょっとうるさいよ」
どろちゃんが言った直後、チェブラーシカは本当にうるさくなりました。
短い距離で速度をつけ、滑走路から離れます。
まずレスボス島を1周しました。
火山の島らしく、上から見ると火口がいくつも分かります。地上から歩いていたときには1つの丘や窪みにしか見えなかった地形が、空へ上がると丸い形を見せました。
後ろの1列では、姉妹が窓の外を見ながら話しています。
「あそこ、覚えてる?」
「うん……あんな形だったんだ」
どろちゃんは、その会話へ割り込みませんでした。
島を1周すると、そのまま高度を上げました。
向こうにはイスタンブールが見えます。
反対方向には、エーゲ海の島々が点々と続いています。
さらに上へ上がり、8000mを越え、9000mを越え、10000mまで来ました。
今日は高層の雲がなく、下にある雲はすべて眼下に入り、上には青い空だけが広がっています。
遠くの水平線が、何となく丸く見えました。
東には、茶色いアナトリア半島が広がっています。
ボスポラス海峡の西側には、それとは色の違う緑の大地が続いていました。
「ずいぶん遠くまで見える……」
後ろからアナスタシアさんの声がしました。
どろちゃんも前方を見ながら答えました。
「10000mあるからね。今日は雲も邪魔しないし」
しばらくその景色を見せてから、どろちゃんは出力を絞りました。
「そろそろ戻ろう」
チェブラーシカは、ゆっくり高度を下げ始めました。
大きなエンジンそのものの抵抗はあります。それでも長く、アスペクト比の大きい翼を持っているので、急角度で落ちていく感じにはなりません。
フランソワさんが窓の外を見ました。
「グライダーみたいです」
「ソアラーみたいにはいかないけど、そんな感じだね」
どろちゃんも、ゆっくり下がる高度計を見ました。
「今度、タドポール君とフランソワさんのグライダー持ってきて飛びたいね」
「この島でしたら、楽しそうですね」
高度を下げ、レスボス島へ戻ります。
着陸態勢へ入ると、さっきまで静かだった飛行が一変しました。
フラップを大きく広げます。
低速で揚力を出すため、エンジン出力はほぼ全開まで上げました。
また島中に聞こえそうな音になりました。
短い滑走路へ進入して接地し、きっちり減速します。
後部ランプから降りたアナスタシアさんを見て、エレナさんが先に気づきました。
「アナスタシア、顔……」
「え?」
長く残っていた小さな傷や擦り傷が消えています。
手にも顔にも、細かな傷が見当たりません。
やつれていた感じも薄くなり、肌の調子まで、さっきより明らかによくなっていました。長い帰還の直後とは思えないくらい、全体にピカピカしています。
どろちゃんも近くから見ました。
「高い所は偉い現象、効いてるね」
以前、年上の大家さんにも効果が出ています。
エレナさんとアナスタシアさんはもっと若い2人です。10000mまで上がった効果は、かなり分かりやすく出たようでした。
どろちゃんは、また研究者の顔になりかけました。
横を見るとフランソワさんがいます。
「今日は聞かないよ」
先に言うと、フランソワさんが少し笑いました。
姉妹をレスボス島へ残して、どろちゃんたちは帰ることにしました。
「今日こっちに泊まっていったら、ライデン大学の学長先生に叱られそう」
「実務マニュアルのお仕事も残っておりますね」
「うん。帰ろう」
チェブラーシカには、まだハイラックスが積んであります。
ただし、このままエルレンフェルトへ直行する燃料運用にはしていません。
サモトラケとレスボス島は、どちらも短い滑走路です。大量の燃料を積んで機体を重くして降りるより、必要な区間と予備に足りる燃料を積み、長い滑走路を使える場所で補給する方が扱いやすいのです。
エレナさんとアナスタシアさんに手を振り、レスボス島を離陸しました。
再びイスタンブールへ向かいます。
後世にアタチュルク空港となる長い滑走路へ降りると、そこで燃料をしっかり補給しました。
「これでエルレンフェルトまで帰れるね」
「はい。学長先生にも叱られずに済みそうです」
「まだ分かんないよ。校正が遅れてたら叱られるかも」
ハイラックスを積んだチェブラーシカは、今度は長い滑走路を使って余裕を持って離陸しました。
どろちゃんはエルレンフェルトへ戻ります。
机の上には、実務マニュアルの次の校正刷りが待っていました。




