↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドロティアとフランソワは空を飛びます どろちゃんの飛行日誌 飛行機から始まった貴族令嬢の社会改変  作者: アントノフ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
172/210

164貴族令嬢は、サモトラケへ発掘隊を送ります

第164章 貴族令嬢は、サモトラケへ発掘隊を送ります



          



 エルレンフェルトへ戻った翌朝、どろちゃんは遅めに起きました。


 前の日は、ラサの夜から始まって、北京へ飛び、ヒマラヤを南から眺め、ペルシャ湾を越え、イスタンブールへ寄ってからエルレンフェルトまで戻っています。


 今日はムリヤちゃんへ行きません。


 朝食を終えると、どろちゃんは電話の前へ座りました。


「フランソワ温泉につないでください」


 しばらくして、研究部門へつながります。


「おはようございます。どろちゃんです」


「おはようございます。今日はどうされましたか」


「ヘレニズム時代の彫刻を発掘に行くよ。行きたい人、いますか」


 電話の向こうが少し静かになりました。


「場所を伺ってもよろしいでしょうか」


「サモトラケ島」


 今度は、向こうで誰かが何かを言う声がしました。


「少々お待ちください」


「はい」


 受話器の向こうが急に賑やかになります。


 フランソワ温泉には、古代の彫刻、建築、貨幣、碑文を見ている研究者がいます。発掘と保存を経験している人もいます。


 少し待つと、別の声が入りました。


「お嬢様、サモトラケと伺いました」


「うん。前にアフメト三世陛下から許可をいただいて、神域の土地も買い取る手続きを済ませてきたところ」


「神域全体ですか」


「全部。地面に出ている石も、埋まっている建築も、そのまま残してあります」


「いつ出発でしょう」


「準備ができたら。急がなくていいよ。ライデン大学から学生も連れていくつもりです」


「参加いたします」


「早いね」


「その話で参加しない方が難しいです」


 どろちゃんは少し笑いました。


「銀貨って、よく出るでしょう」


「ええ」


「古い銀貨に神様や像の姿が図柄で残ってる。あれだけ図柄があるなら、元になった像がどこかにあったはずだよね」


「貨幣の図柄そのものが像を正確に写したとまでは言えませんが、実物の彫刻や、共有されていた図像があったことを考える材料にはなります」


「それ。だから、土の中から本物が出るところを見たいの」


「ローマで知られている古代彫刻にも、もっと古いギリシャ作品を写したものと考えられている像があります。原作に近い時代の作品を、出土した場所ごと調べられるなら価値は大きいでしょう」


「じゃあ、来てください。発掘エンジニアさんも一緒に」


「人数をまとめて連絡します」


「お願いします。エルレンフェルト集合です。鉄道で来られるから、着いた人からホテルのビジネスへ入ってもらいます」


「承知しました」


「人数が揃うまで泊まって待っていてください」


「もう一つ。長く島に残る人の中には、オランダ、イギリス、フランス、イタリアの四か国の国民に当たる研究者を入れてください。交代しても、島に継続して誰かが滞在する組み方でお願いします」


「分かりました。滞在予定を組むときに確認します」


 これは神域の文化財保護とは別に、四か国が神様との間で成立させた、私掠船の運航停止と海賊行為の禁止に関する契約の保護条件を継続させるためです。四か国の国民が島に滞在している状態を、研究者の交代時にもつなぎます。


 電話を切るころには、研究者側で誰を送り出すかという話がもう始まっていました。



          ◇ ◇ ◇



 次はライデン大学です。


「サモトラケ島へ発掘に行きます。学生さんを何人か連れていきたいです」


「古代遺跡ですか」


「神殿のあるところ。フランソワ温泉の研究者さんたちが発掘するから、一緒に勉強してもらいたいです」


「語学のできる学生も入れましょう」


「複数お願いします。長く滞在するから、そのうちみんな現地の言葉も覚えると思うけど、最初の日から通じる人はいた方がいいです」


「分かりました。東地中海の言葉を扱える者を何人か選びます」


「発掘のやり方は、フランソワ温泉の人たちに任せます。学生さんは、その人たちについて覚えてください」


「良い実習になります」


「きっと、思ってるより細かいよ」


「細かい方が大学にはありがたいです」


 どろちゃんは、電話を置いたあとでフランソワさんを見ました。


「釣れたね」


「よく釣れましたね」


「ヘレニズム時代の彫刻って言っただけなのに」


「それだけで十分だったようです」


「銀貨も持っていこうかな」


「比較用ですか」


「うん。これと同じものを探す、という使い方じゃなくて、古い人たちがどんな姿を図柄にしていたか見るため」


「研究者の方々なら、扱い方も分かっていらっしゃるでしょう」


「そこは任せる」


 どろちゃんは椅子の背にもたれました。


「私が全部教え始めると、またママになるから」


 フランソワさんが笑いました。


「今回は、先生方がたくさんいらっしゃいます」


「学生さんの面倒も先生にお願いしよう」


「それがよろしいと思います」



          ◇ ◇ ◇



 数日かけて、人と荷物がエルレンフェルトへ集まってきました。


 ライデン大学から来る学生たちは鉄道です。


 フランソワ温泉から来る研究者と発掘エンジニアも鉄道です。


 駅へ着いた人からホテル棟へ案内され、全員、ビジネス側へ入ります。


「ここですか」


「ここです」


「学生も先生も同じ?」


「今回は研究旅行だから、みんなビジネス」


 どろちゃんが答えると、学生の一人が廊下を見ました。


「十分広いです」


「人数が揃うまで、ここで待っててね」


「何日くらいでしょう」


「最後の人が来たら出発。先に着いた人は、研究者さんの説明を聞いておいてください」


 大きな測量器や木箱、発掘道具は客室へ持ち込まず、ホテル側の保管場所へまとめます。


 そこへ、フランソワ温泉の研究者が学生を集めました。


「現場では、石や破片を見つけたところから記録が始まります」


 机の上へ番号札、紙、鉛筆、測量用具が並びます。


「地面から半分出ているものを見つけたら、まず番号を付けます。位置を測り、その状態のままスケッチします。向き、周囲の石との関係、見えている寸法も記録します」


「それから掘り上げるのですか」


「そうです。掘り上げたあとに、元の位置と向きを頭の中で戻すことはできません。記録を作ってから動かします」


「小さい破片もですか」


「小さいものほど慎重に見ます。指かもしれません。衣の端かもしれません。翼の一部かもしれません。建築の細部かもしれません」


 別の研究者が木箱を開きました。


「回収したものは番号と記録を対応させ、詰め物をして木箱へ入れます。箱の番号も記録します」


「洗ってからですか」


「表面の状態を見て決めます。材質と付着物を見て処理を選びます」


 学生たちは次々に書き留めています。


 どろちゃんは少し離れたところで聞いていました。


「ちゃんと先生がいるね」


「安心されましたか」


「うん。私、いらないくらい」


「交通手段と土地と費用を整えた方が、そこで満足してくださると皆様も仕事がしやすいと思います」


「それ、遠回しに任せろって言ってる?」


「皆様、とても楽しそうです」


「分かった。任せます」


 研究者の説明は続きます。


「大きな彫刻が出た場合も、見つけた部分だけで復元を急ぎません。同じ作品に属する破片を周囲から探します」


 どろちゃんがそこだけ口を挟みました。


「手も指も、最初から全部探してください。手や指を新しく作って足す方法は取りません。地面の中を最初から全部探したいです」


「承知しました」


「翼も。頭も。何年かかってもいいです」


「同じ作品の破片は一作品として扱う、という先日の取り決めもあります」


「うん。建物や固定されたものは現地に残して、独立した作品として選べるものは、決めた数の中で研究側が選びます」


 研究者が頷きました。


「建物の測量も細かく取ります」


「お願いします。いつかフランソワ温泉に神殿のレプリカを作りたいです。もし大きな像を研究側の一点として選ぶことになったら、本物をそこに展示できるようにしたいの」


「像の不足部分は、発掘の進行を待ちながら追います」


「それがいいです」


 どろちゃんが探しているサモトラケのニケも、この方針で扱います。見つかった本物の破片を集め、手、指、頭、翼まで現場を探し続けます。フランソワ温泉には神殿のレプリカを作り、研究側が取得する一点としてニケを選んだときは、そこへ本物のニケを展示する計画です。


 話が決まると、どろちゃんはもう口を出しませんでした。



          ◇ ◇ ◇



 現場用の荷物も増えていきます。


 発掘道具、測量器、記録用紙、鉛筆、番号札、木箱、詰め物、縄、滑車、簡単な持ち上げ道具。


 さらに、大型のテントを何張りか持っていきます。


 現場で短時間眠れる簡易宿泊用、昼食と休憩に使うダイニング用、トイレ用、測量器や工具、回収した木箱を一時的に置く倉庫用です。


 研究者たちは島の既存宿泊所で暮らし、毎日、神域まで約五キロメートルを通います。急な雨や作業の遅れに備え、発掘現場にも人と道具を守れる場所を作ります。


 テントの位置や発掘区画は、現地へ入った研究者と発掘エンジニアが決めます。


 発掘費用、人夫賃、保存資材、発掘品の輸送費は研究側の会計から支払います。前回アフメト三世と決めた扱いどおりです。現地で人や馬車を頼むときも、その仕事へ研究側から賃金を払います。


 食料にも別の準備がありました。


「穀物、これだけ持っていくのですか」


 学生が積み上がった袋を見ました。


「人数が増えるからね」


 どろちゃんが袋を軽く叩きます。


「島の人が食べる分まで研究隊が買ったら、値段が上がったり足りなくなったりするでしょう。小麦みたいにたくさん食べるものは、こっちから持っていくの」


「野菜や魚は?」


「買える分は島で買ってください。宿も使うし、馬車も頼むし、島で仕事をお願いできるところはお願いするよ」


 サモトラケは山の水が豊富な島です。中央の高い山体は円錐形のコニーデ火山で、湧水が多く、沢や滝がいくつも海へ下っています。


「水は現地で十分取れます」


 フランソワ温泉の研究者が地図を見ながら言いました。


「飲み水に使う水場と、道具を洗う場所は現地で分けます。トイレのテントも沢と湧水から離して位置を決めます」


「そこも任せます」


 どろちゃんは頷きました。



          ◇ ◇ ◇



 全員が揃いました。


 荷物はホテルから滑走路へ運ばれ、チェブラーシカちゃんへ積み込みます。


 今回は研究者、発掘エンジニア、ライデン大学の学生、長期滞在用の荷物、発掘機材、テント、穀物があります。


 エルレンフェルトからサモトラケまでは直行です。


 どろちゃんは出発前に燃料、エンジン、油圧、操縦系統、タイヤ、貨物の固定を確認しました。搭載量と航続距離にも余裕があります。


 正式な地点間輸送なので、エルレンフェルト航空の運航記録には、エルレンフェルトからサモトラケへ向かう日付、搭乗者、貨物、燃料量が記入されます。


「全員、乗った?」


「はい。名簿と合っています」


「通訳できる学生さんも?」


「複数乗っています」


「じゃあ行こう」


 チェブラーシカちゃんは滑走路を走り、エルレンフェルトを離れました。



          ◇ ◇ ◇



 サモトラケが見えてきました。


 海から見ると、島の中央が大きく盛り上がっています。


「すぐ降りるのですか」


 学生が窓から島を見て聞きました。


「一周してから」


「調査ですか」


「お迎えを呼ぶの」


「お迎え?」


「飛行機が来たら、島の周りを一周してくださいってお願いしてあるの。音と姿を見たら、ロバ車と荷車馬車で滑走路へ来てもらいます」


「電話の代わりですか」


「そう」


 チェブラーシカちゃんは島の山腹へ寄らず、海岸線の外側を大きく回りました。


 海辺の集落や畑から見れば、見慣れない大きな双発機が島を一周しています。


 前回の取り決めどおり、それが到着の合図です。


「一周終わり」


 どろちゃんは滑走路の方向を見ました。


「海側から入ります」


 サモトラケの滑走路は約八百メートルです。


 滑走路には自然な上り勾配を残しています。山頂から海へ向かって地形が下がる方向、山を中心に見れば放射状になる向きへ取ってあります。


 円周方向へ滑走路を置くと、斜面を横切るため左右の高さを揃える工事が大きくなります。山から海へ刻まれた侵食溝も何本も横切り、短期間の整備では盛土と排水工事が増えます。


 そこで、自然の斜面に沿わせて石を除き、凹凸を整え、転圧と排水を行いました。


 海側が低く、山側が高い滑走路です。


「上り坂に降ります」


「八百メートル全部使うのですか」


「今日の重さなら、ずっと手前で止まると思う」


 海側へ回り込みます。


 どろちゃんは風を確認し、進入経路へ乗せました。


 速度を合わせます。


 山側へ向かって少し上る地面が正面に伸びています。


「降ります」


 接地。


 車輪が締め固められた地面を走ります。


 制動をかけると、上り勾配も速度を落とす側へ働きました。


 チェブラーシカちゃんは、四百メートルを使う前に止まりました。


「もう止まった」


 後ろで学生の声がします。


「半分以上残りましたね」


「お願いした人、八百メートルも作ったのにって思うかも」


 どろちゃんが笑いました。


「でも、長い方がいいよ。雨のあととか、もっと重い日とか、条件が変わったときに余裕になるから」


 エンジンを止めます。


 扉が開きました。



          ◇ ◇ ◇



 どろちゃんは最初に滑走路へ降りました。


「私、滑走路を見てくるね」


「こちらはお迎えの方々とお話ししておきます」


「お願いします」


 フランソワさんは、ちょうど到着し始めた島の人たちの方へ向かいます。


 十人ほどを乗せられるロバ車と、荷物を積む馬車が何台か来ています。島を一周した時間が、そのまま迎えの準備時間になりました。


 どろちゃんは接地点から車輪の跡を追いました。


 表面の沈み方、柔らかい場所、浮いた石、横方向の傾き、排水の流れ、補修した場所の沈下を見ます。


「ここは大丈夫」


 車輪の跡は浅く、路面が大きく掘れた場所も見当たりません。


 停止位置から先も歩きます。


 今日使ったのは四百メートルより短い距離ですが、八百メートルの端まで確認します。今後、もっと重い荷物を載せて来る日もあります。


 山側から流れ込む水を逃がす場所も見ました。


「ちゃんと残ってる」


 短期間で仕上げた滑走路として、状態は良好です。


 戻ってくると、フランソワさんのところでは荷物の振り分けが進んでいました。


「人はこちらのロバ車へ、穀物と大きな木箱はこちらの荷車へお願いしました」


「もう終わりそうだね」


「宿泊所へ向かう組と、現場へ先に送る荷物も研究者の方々が分けています」


 見ると、フランソワ温泉の研究者たちはテントと工具の一部をどの荷車へ載せるか相談しています。


「先生たち、もう仕事してる」


「皆様、この日を待っていらしたようです」


「じゃあ任せよう」



          ◇ ◇ ◇



 一行はロバ車に揺られて島の宿泊所へ向かいました。


 神域までは、ここからさらに約五キロメートルです。


 研究者と学生は、これから毎日、馬やロバのひく車で通います。測量器、昼食、必要な工具も一緒に運びます。


 道の途中には沢が何本もありました。


「水、多いですね」


 学生が車の横から流れを見ます。


「山からいっぱい出てくるよ。滝もたくさんある島だから、人数が増えても水はかなり余裕があると思う」


「だから穀物を持ってきたのですね」


「うん。水と食べ物は別だからね」


 宿泊所へ着くと、前回会った島の代表が待っていました。


「お久しぶりです」


 どろちゃんが挨拶します。


 横にいたライデン大学の学生が、必要なところだけ通訳します。


 前回、島嶼部管理官と一緒に来たときに、土地の取得、境界、研究者の立入り、現地行政との連絡方法まで書類にしています。


 どろちゃんはその書類を机に置きました。


「この通りで運用されていますか」


 代表が答えます。


 通訳の学生が続けました。


「買い取った区域への立入りは止めてあり、地元の役人にも内容が伝わっています。石を動かす作業も止めています」


「ありがとうございます。明日から研究者さんたちが入ります」


 代表は研究者たちの方を見ました。


「島の宿に泊まり、毎日神域へ通います。馬車やロバ車もお願いしたいです。頼める仕事は、できるだけ島の方へお願いするつもりです」


 研究者の一人が続けました。


「穀物は持ってきています。野菜、魚、卵、乳製品などは、島で買える範囲でお願いしたいです」


 代表の表情が少し柔らかくなりました。


 人数が急に増えて主食を買い占める心配が小さくなったことは、表情から十分に伝わります。


「言葉は、最初はこちらの学生さんたちが手伝います」


 どろちゃんが通訳役の学生たちを示しました。


「長くいるうちに、研究者さんも学生さんも、少しずつ覚えると思います」


 研究者が笑いました。


「毎日同じ御者さんに会えば、こちらも覚えるでしょう」


 通訳した学生も笑いました。



          ◇ ◇ ◇



 その日のうちに、研究者たちは神域へ運ぶ物と宿へ残す物を分けました。


 発掘現場には、簡易宿泊、ダイニング、トイレ、倉庫に使うテントを設けます。


 灌木に覆われた神域では、地表に見えている石から調査が始まります。研究者たちは測量の基準を取り、必要な範囲の灌木を払い、番号とスケッチを積み重ねていく予定です。


 どろちゃんは、その細かな割り振りには入りません。


「じゃあ、ここからお願いします」


 研究者の代表へ言いました。


「はい。まず地表の状態を記録してから、重点区域へ入ります」


「小さい破片もよろしくね」


「承知しています」


「遅くても二週間ごとに来ます」


「そのころには、最初の区画の記録をお見せできると思います」


「楽しみにしてます」


 島の代表にも同じ予定を伝えます。


「何か大きな問題が出たら、次に来たときに教えてください。急ぐ話なら、エルレンフェルト側へ連絡を回してください」


 必要な確認が終わりました。



          ◇ ◇ ◇



 どろちゃんとフランソワさんは、二人だけでロバ車に乗りました。


 来た道を滑走路へ戻ります。


「みんな置いてきたね」


「ずいぶん賑やかになりました」


「次に来るとき、藪がどうなってるかな」


「研究者の方々ですから、かなり慎重に進められるでしょう」


「うん。それでいい」


 滑走路にはチェブラーシカちゃんが待っています。


 研究隊の荷物をほとんど降ろしたので、機内は急に広く見えました。


「次、エレソスへ行こう」


「はい」


「今度は二人だけ」


「静かな飛行になりそうですね」


 どろちゃんは機体の外周を見て、タイヤと脚、吸入口、外板を確認しました。


 操縦席へ戻ると、燃料量と計器を見ます。


 エンジンを始動しました。


 今度は山側の高い方から、海へ向かって滑走します。


 下り勾配の先には海が開いています。


「行きます」


 チェブラーシカちゃんは短い滑走で地面を離れました。


 サモトラケの山と、残った研究隊が後ろへ小さくなります。


 どろちゃんは機首を南東へ向けました。


 次はエレソスです。



                           


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。