143貴族令嬢はオプショナルツアーを始めます。 今までの中で最も美しいタドポール君によるソアリング(グライダーの飛行)
第143章 貴族令嬢はオプショナルツアーを始めます
1709年1月12日。
テネリフェへ着いてから3日目です。
前日は、みんな好きなように海へ行き、町へ行き、魚を食べ、ボートを漕いで過ごしました。今日は少しだけ、エルレンフェルト側で用意した遊びがあります。
前日の夕方から夜にかけて、どろちゃんたちは案内を作り、皇帝陛下たちが使っている王侯用の臨時宿泊施設と、VOGホテル、それから今回各国の人たちが泊まっているホテルへ順番に掲示していました。
全部で3種類です。
ひとつ目は、ハイラックスでテイデ山へ向かう地上観光。運転するのは護衛さんで、道と地形を見ながら、車で上がれるところまで登ります。
ふたつ目は、ムリヤちゃんから降ろしたコウノトリちゃんで、テネリフェ島を上空から一周するコース。操縦はフランソワさん。乗客は1便2人までです。
みっつ目は、同じくムリヤちゃんで運んできて、こちらで組み立てたタドポール君を使うカナリア諸島滑空コースです。操縦するのはどろちゃん。後席へ乗れるのは1人だけで、条件は衣類込み50kgまで。
出発場所と受付場所、それから各便のおおよその時間も書いてあります。
朝になると、申込用紙にはすぐ名前が入り始めました。
ハイラックスの欄にも名前が入りました。午前の一行が決まり、午後にももう一組入ります。
コウノトリちゃんはもっと早かったです。
フランソワさんが操縦する島一周の欄には、次々に名前が増えていきました。1便2人ですから、友人同士でも、同じ国の2人でも申し込めます。飛行順を書き足し、戻ってきたら次の2人を乗せる予定まで組み始めました。
ところが、タドポール君の欄だけ白いままでした。
どろちゃんは、朝の受付を一度見ました。
「まだ?」
いつもの給仕さんが紙を確認します。
「まだでございます」
「フランソワさんの方は?」
「増えております」
「……そう」
タドポール君の案内には、衣類込み50kgまで、と太く書いてあります。条件を隠して乗せるわけにはいきませんから、そこだけは最初から目立つようにしてありました。
朝のうちにハイラックスが出ていきました。護衛さんが運転し、町を離れ、テイデ山の方向へ向かいます。島の中央へ近づくほど道は上りになり、海岸とは違う景色が増えていきます。今日は山頂まで徒歩で登る旅行ではありません。ハイラックスで進めるところまで進み、そこから見える山と島を楽しむコースです。
コウノトリちゃんも飛び始めました。
フランソワさんが操縦席へ座り、後ろへ2人。離陸すると海岸線に沿って島を回り、港、町、谷、山腹、テイデ山を上から見せ、そのまま島を一周して戻ってきます。
着陸すると乗客が降り、少し休ませて確認し、次の2人が乗ります。
フランソワさんは、朝からずっと飛んでいました。
どろちゃんは、ときどき受付の紙を見ます。
タドポール君のところだけ、まだ空欄です。
◇ ◇ ◇
お昼になりました。
ハイラックスは午前の一行を連れて戻り、午後の一行へ交代する準備をしています。コウノトリちゃんはすでに何度も島を一周しています。
それでも、タドポール君の有料申込は0人でした。
「ほんとに誰も来ないね」
どろちゃんが紙を見ます。
いつもの給仕さんは、少しだけ困った顔をしました。
「条件がございますので」
「50kg?」
「はい」
「私、操縦するのに」
「それも、きちんと書いてございます」
「フランソワさんはいっぱいなのに」
「はい」
ここで比べても仕方ありません。
どろちゃんは、受付をしていた給仕さんの部下の1人へ紙を渡しました。
「申し込みが来たら、名前と体重を確認しておいてください。衣類込みです」
「承知いたしました」
「私、ちょっと飛んできます」
いつもの給仕さんが、どろちゃんを見ました。
「お一人でございますか」
「一緒に行きます?」
少し間がありました。
「私でよろしければ」
「うん。乗れます」
いつもの給仕さんは、150cmに届きません。幼いころのいろいろな事情もあって、あまり大きく育つことができませんでしたが、体格そのものは普通です。飛行用の服と靴まで含めても50kgには届きません。
今日ばかりは、その小柄な身体がそのまま搭乗資格になりました。
◇ ◇ ◇
タドポール君は、滑走路の横にある丘へ移されました。
舗装された長い滑走路のすぐ近くですが、丘の側には芝生の斜面があります。タドポール君が本来のグライダーとして飛び出すなら、こちらの方がずっと似合います。
風を見ます。
海から来た空気が島へ当たり、山の斜面に沿って持ち上げられています。
「今日はジェット、使わなくてもいけそうだね」
どろちゃんが言いました。
タドポール君の返事は、どろちゃんにだけ聞こえます。
『うん。飛べるよ』
後席のいつもの給仕さんには、その声は聞こえません。どろちゃんが独り言を言ったように見えるだけです。
拘束具を確認します。
「苦しくない?」
「大丈夫でございます」
「上がるとき、ちょっと変な感じがするかもしれません」
「承知いたしました」
「たぶん、ムリヤちゃんとは全然違います」
「それは、見れば分かります」
いつもの給仕さんが小さく笑いました。
ムリヤちゃんの客室とは、何もかも違います。
どろちゃんは前を見ました。
「行きます」
タドポール君が芝生の斜面を走り始めます。
斜面に沿って速度が増し、翼へ当たる風が強くなりました。車輪の振動が細かくなり、次の瞬間、地面から離れます。
ジェットエンジンの音はありません。
風の音と、機体を流れる空気の音だけです。
丘が下へ離れ、滑走路が小さくなりました。
どろちゃんはそのまま山側へ向けます。
テイデ山の大きな斜面に海からの風が当たり、上へ持ち上げられています。その流れを探しながら、山腹へ近づきます。
最初は、普通の滑空でした。
そして、境目を越えました。
ぐん、とタドポール君全体が上へ動きました。
機体だけが先に持ち上げられ、身体の方が一瞬その場へ残ろうとします。
「うっ」
後ろから、いつもの給仕さんの声がしました。
背中と腰が座席へ押しつけられます。身体が重くなったというより、座席の方が下から追いついてきて、強く身体を押し上げてくる感じです。
いつもの給仕さんの小さな身体まで、座席へ沈み込んだようになりました。
「これですか」
「うん。ここ、上がってる」
どろちゃんは操縦桿を細かく動かし、上昇気流の中から外れないようにします。
山の斜面が横を流れていきます。
高度が増えます。
最初の上向きの加速度が収まると、座席へ押しつけられる感じも消えていきました。
今度は、ほぼ一定の速さで上昇します。
身体には大きな力がかからないのに、地面だけが下へ遠ざかっていきます。
いつもの給仕さんが、口を少し動かしました。
「耳が……」
「ツンとする?」
「はい」
「何回か飲み込んでみて」
耳の中の圧力が追いつかなくなっています。
それでも上昇は続きます。
下から白い雲が近づいてきました。
海の上と島の斜面に、ぽこぽこと盛り上がった積雲が並んでいます。エルレンフェルトの冬空で見る雲とは形も明るさも違います。
白い雲の中へ入ります。
急に周囲が白くなりました。
ほんの少し前まで見えていた山腹も海も消え、風防の外は白いものだけになります。
そのまま上へ抜けました。
光が戻ります。
「わあ……」
いつもの給仕さんが、今度ははっきり声を出しました。
下に雲があります。
ぽこぽこと膨らんだ積雲の頭が、白い島のようにいくつも並んでいます。その隙間には青い海が見えます。
そして、その雲の上からテイデ山がさらに突き出しています。
ムリヤちゃんでも雲の上は何度も飛んでいます。
けれど、大きな客室の窓から見る雲と、小さなタドポール君で山の空気に持ち上げられ、自分の身体で雲を抜けて見る景色は別のものでした。
エンジン音がないので、余計に不思議です。
ただ風に乗っているだけなのに、タドポール君はまだ上がっています。
◇ ◇ ◇
テイデ山の山頂より、さらに500mほど高いところまで来ました。
どろちゃんは周囲を見ます。
下には雲。
その雲の中から高い山が出ています。
海の向こうには、別の島が見えます。
グラン・カナリアです。
「今度は、あっちへ行きます」
どろちゃんが言いました。
後席で、いつもの給仕さんが少し身を動かしました。
「あちらの島でございますか」
「うん」
それだけです。
どろちゃんは機首を海へ向けました。
山に沿っていた上昇気流から外れます。
上へ上がり続けていた動きが落ち着き、タドポール君は今度は静かな滑空へ入りました。
テイデ山からもらった高度を、少しずつ距離へ換えていきます。
海へ出ます。
陸地が後ろへ離れます。
前にはグラン・カナリア。
下には大西洋です。
ジェットエンジンは止まったままです。
というより、今日はまだ一度も使っていません。
風切り音も、さきほどの上昇中より静かです。
海面がはるか下にあります。
いつもの給仕さんは、ときどき右を見たり左を見たりしています。
「怖い?」
「不思議でございます」
「海の上?」
「音がしないのに、島から離れております」
「グライダーだからね」
前方のグラン・カナリアは、最初はなかなか近づいてこないように見えました。
けれど後ろを見れば、テネリフェは確実に小さくなっています。
高度を少しずつ失いながら、タドポール君は海峡を渡っていきます。
やがて、グラン・カナリアの斜面が大きくなってきました。
海岸だけでなく、その奥の高い地形も見えてきます。
どろちゃんは島へまっすぐ突っ込まず、地形と風を見ながら回り込みました。
「また上がるところ探します」
「はい」
島へ当たった風が、斜面に沿って上へ逃げています。
どこでも同じように上がるわけではありません。
少し進みます。
まだ弱い。
もう少し回ります。
次の瞬間でした。
タドポール君が、また上へ持ち上げられました。
今度は境目がはっきりしています。
「来た」
どろちゃんが言った直後、身体が座席へ押しつけられました。
テイデ山のときと同じです。
機体が上へ先に動き、身体だけが取り残されようとします。
いつもの給仕さんの背中が、後席へぐっと沈みます。
「また、これでございますね」
「うん」
けれど今回は、すぐには終わりませんでした。
強い押しつけ感が続きます。
1秒。
2秒。
まだ続きます。
どろちゃんは機体を流れの中へ置いたまま、余計な動きをしません。
5秒を過ぎても、座席から押される感覚が残っています。
いつもの給仕さんは声を出さなくなりました。
10秒ほどたって、ようやく上向きの加速度が収まりました。
身体へかかる感覚が普通に戻ります。
けれど、上昇そのものは終わっていません。
一定の上昇速度に移っただけです。
グラン・カナリアの海岸が下へ沈んでいきます。
町が小さくなります。
谷と山の形が、だんだん一枚の地図のように見えてきました。
いつもの給仕さんが息を吐きました。
「10秒くらいございましたか」
「それくらい」
「長く感じます」
「押されてると長いね」
そのまましばらく上昇します。
さきほどテネリフェでもらった高度を海峡で使い、今度はグラン・カナリアから新しい高度をもらっています。
島から島へ渡るたびに、山が次の飛行のための高さをくれるような飛び方です。
タドポール君には、こういう飛び方がよく似合います。
◇ ◇ ◇
高度が十分になったところで、どろちゃんはテネリフェへ戻る進路を取ります。
グラン・カナリアの上昇気流から離れます。
その境目も、今度ははっきりしていました。
島の上にいるあいだ、タドポール君は一定の速さで上へ運ばれていました。
そして境界面を抜けた瞬間、その上昇速度が急に小さくなりました。
機体の上向きの動きが鈍ります。
今度は、さきほどと反対です。
座席が身体を押し上げていた力が一瞬だけ弱くなりました。
「わっ」
後席で、いつもの給仕さんの身体がふわりと浮いたようになります。
拘束具があるので本当に座席から飛び出すわけではありません。それでも、身体の重さが一瞬消えたような感覚がありました。
「今のは?」
「上がる空気から出た」
「境目があるのですね」
「うん。今日はかなりはっきりしてる」
数秒もしないうちに姿勢は落ち着きました。
もう上昇気流を追いません。
前方はテネリフェです。
今度は、持っている高度を使って滑走路まで帰ります。
タドポール君は少しずつ機首を下げました。
速度が増えます。
高度を失う代わりに、前へ進む速さが大きくなります。
海面の見え方が変わりました。
行きの静かな滑空とは違います。
風切り音が強くなります。
ヒュー、という軽い音ではありません。
機体全体の周囲を大量の空気が流れ、風防の外で大きな音になります。
タドポール君の速度は、限界速度に近いところまで上がっていました。
「速いですね」
いつもの給仕さんの声も、さきほどより大きくなります。
「高度を使って帰ってるからね」
テネリフェが急速に大きくなります。
山が見えます。
海岸線が見えます。
町が形を持ちます。
そして滑走路が見えてきました。
どろちゃんは進入方向を確認します。
そのまま真っすぐ降ろすには速すぎます。
タドポール君は滑走路上空へ入りました。
「ここで落とすよ」
機体をターンさせます。
大きく旋回します。
速度を落とします。
風切り音が少しずつ弱くなります。
もう一度滑走路へ向きを合わせます。
今度は着陸できる速さです。
高度を最後まで使い、滑走路へ降ります。
車輪が地面へ触れました。
タドポール君は転がりながら速度を落とし、やがて止まりました。
静かになりました。
そのとき、どろちゃんにだけ声が聞こえました。
『ジェットエンジン使わなかった』
少し得意そうです。
「うん。使わなかったね」
後席のいつもの給仕さんには、タドポール君の声は聞こえません。
どろちゃんが突然返事をしたので、少しだけ不思議そうな顔をしました。
「タドポール君が、今日はジェットエンジンを使わなかったって言ってます」
「本当に、一度も使っておりませんでしたね」
「うん。ずっとグライダー」
タドポール君は満足そうでした。
◇ ◇ ◇
後席からいつもの給仕さんが降りると、どろちゃんも機体の横へ回りました。
まだ有料の申込が来ているかもしれません。
その前に、タドポール君がまた話しました。
『燃料10kg降ろせば60kgまでいけるよ』
「え?」
『今日、ジェット使ってないでしょ。10kg降ろせば、その分乗せられるよ』
タドポール君は普段、燃料を30kgほど積んでいます。
そのうち10kgを降ろせば、後席側へ回せる重量を10kg増やせます。
「60kgまで?」
『うん』
どろちゃんは受付へ戻りました。
有料申込は、まだ0人です。
「増えた?」
「いいえ」
「そう」
少し残念です。
でも、飛ばない理由にはなりません。
いつもの給仕さんの部下の2人が、紙の近くにいました。
「60kgまでなら乗れるけど、乗ります?」
2人とも顔を見合わせました。
「よろしいのですか」
「燃料を10kg降ろします。タドポール君が大丈夫って」
もちろん、2人を同時には乗せられません。
後席は1人です。
1人ずつです。
最初に受付を任せていた給仕さんが乗りました。
今度は、いつもの給仕さんと飛んだグラン・カナリア往復と同じルートにはしません。
別の島を目指します。
タドポール君は、飛びたいのです。
客が来なかったからといって、滑走路の周りを少し回って終わるつもりはありません。
山の風を使って高度を稼ぎ、海へ出て、島から島へ滑っていきます。
後席の給仕さんは、最初の上昇気流へ入ったところで声を上げました。
座席へ押しつけられる感覚。
一定速度の上昇。
雲の近くまで上がり、海へ進路を取ると、今度はエンジン音のないまま島が後ろへ離れていきます。
どろちゃんは、さきほどの飛行で分かった風の癖も使いながら、別の地形へ向かいました。
島へ近づけば、また山に当たる風を探します。
上昇気流を拾えば高度を取り直し、そこから次の滑空へ入ります。
ジェット機の遊覧飛行とは、まるで違います。
どこで空気が上がり、どこで下がるのか。
どの高度なら次の島まで届くのか。
翼の下にある海と、前にある島を見ながら飛びます。
その給仕さんを乗せた便が戻ると、今度はもう1人です。
「次、どうぞ」
「はい」
同じように後席へ座ります。
この便も、単に滑走路の周囲を回る飛行にはしません。
別の島までソアリングします。
タドポール君は朝から有料客を1人も乗せていません。
それでも飛行時間だけは、どんどん増えていきます。
どろちゃんも止めません。
タドポール君がグライダーとして飛びたがっていることを、一番よく知っているからです。
海を渡り、島の斜面で上昇気流を探し、高度を作り、また海へ出る。
後席の人が変わるたびに反応も変わります。
最初の押しつけで声を上げる人。
雲の上へ出て黙る人。
海の上でエンジン音がしないことの方を怖がる人。
戻ってきてから、もう一度乗りたいと言う人。
でも今日は、給仕さんたちにも仕事があります。
1日中遊んでいるわけにはいきません。
それぞれ1回ずつです。
◇ ◇ ◇
そのころ、ハイラックスの午後便も戻ってきました。
今日の地上観光は、午前1回、午後1回。
護衛さんは2回とも運転し、テイデ山へ向かって、車で上がれるところまで人を連れていきました。
コウノトリちゃんは、さらに忙しかったです。
フランソワさんは2人ずつ乗せて離陸し、島を一周して戻り、次の人を乗せました。
朝から午後まで、合計8フライト。
同じ島を8回回っています。
けれど乗る人は毎回違います。
北海の景色に慣れた人も、内陸国から来た人も、王侯の随行員も、それぞれ上からテネリフェを見ました。
フランソワさんが着陸して最後の乗客を降ろしたころには、日もかなり傾いていました。
「終わりました」
「8回?」
「8回でございます」
「いっぱい飛んだね」
「お嬢様も、ずいぶん飛んでおられましたが」
どろちゃんは受付の紙を見ました。
タドポール君の有料申込欄。
最後まで0人です。
「……お客さん、0人だった」
フランソワさんも紙を見ます。
「そうでございますね」
「でも3人乗せた」
「給仕の3人でございます」
「うん」
売上にはなっていません。
けれど、タドポール君はよく飛びました。
どろちゃんの頭の中では、本人が満足そうです。
『今日いっぱい飛んだよ』
「うん」
『ジェット、ほとんどいらなかった』
「そうだったね」
フランソワさんには、またどろちゃんが少し独り言を言っているように見えます。
ハイラックスは2回。
コウノトリちゃんは8フライト。
タドポール君は、有料乗客0人。
でも、いつもの給仕さんと、その部下2人を乗せて、島から島へソアリングしました。
これで今日のエルレンフェルト組の運用は終了です。
機体を点検し、受付の紙を片付け、明日また使うものを残していきます。
売上表だけを見れば、タドポール君の欄には何もありません。
飛行記録の方には、しっかり時間が増えていました。
【小さな説明】
【第31章のタドポール君後席】
第31章「貴族令嬢は今度こそ祝宴へ出ます」では、タドポール君の後席へフランソワさんが乗っています。後席の搭乗者制限は飛行用の衣類と靴を含めて50kgまでで、フランソワさんは49kg少々でした。本章でも、この50kg制限をそのまま使っています。
【第108章のタドポール君の燃料】
第108章「貴族令嬢は天国三人組で昔話をします」では、タドポール君自身が通常の燃料搭載量を30kgほどと話しています。本章で最初のソアリングをジェットエンジンなしで終えたあと、「燃料10kg降ろせば60kgまでいけるよ」と言うのは、この搭載重量の余裕を後席へ回したものです。
【カナリア諸島の山と風】
以前のカナリア諸島の章でも、テネリフェ中央のテイデ山は標高3715mの大きな火山で、グラン・カナリアも中央部が高く谷の深い島として扱っています。海から来た風が高い島へ当たるため、地形によって上昇流、下降流、乱れ、風の急変が生まれます。本章のタドポール君は、その地形性の上昇気流を積極的に使って島から島へ滑空しています。




