14五百キロメートル先の友人 オランダの大学まで長距離フライト
第十四章 五百キロメートル先の友人
どろちゃんは子爵家の娘です。
空を飛び、手紙を届け、お母様をおじいさまのお見舞いへ連れて行く、十五歳の女の子です。
いまのどろちゃんには、二人分の十五年が重なっています。
現代ロシアのバイカル湖に近い町で中学校へ通っていた Доротея(ドロテーヤ)。
そして、この時代に十五年を生き、亡くなってしまった貴族令嬢ドロシー。
ドロシーの記憶が消える前に、ドロテーヤの心と記憶が入り込み、二人は分かれない一人の少女になりました。この地方で正式名をドイツ語で書けば Dorotheaです。けれど、家族にも友人にも、本人にも、いちばん馴染む呼び名は「どろちゃん」でした。
その日、どろちゃんは朝食のパンを半分残したまま、友人から届いた手紙を三度目に読んでいました。
「そんなに何度も読んだら、文字が薄くなるのではなくて?」
お母様が言いました。
「薄くはならないわ。でも、最初に読んだときより、少し意地悪に見えてきた」
「どのあたりが?」
「最後よ。『空を飛べるようになったのなら、一度くらい会いに来て』ですって。一度くらい、なんて書く?」
「会いに来てほしいのでしょう。素直に書くと負けた気がするのではなくて?」
「手紙で勝ち負けを決めなくてもよいのに」
そう言いながら、どろちゃんはもう一度、最後の一行を読みました。
友人の一家は、父親が大学で働くことになり、少し前にライデンへ移っています。
ライデンは、北海に面したネーデルラント連邦共和国――後の時代にオランダと呼ばれる国――の、ホラント州にある大学町です。
子爵領からは、ずいぶん遠いところでした。
手紙には、新しい家のこと、大学の建物のこと、水路が多くて道を間違えやすいことが書かれています。窓の下を荷車より船の方が多く通る日があり、大学の先生は話し始めると食事の時間を忘れ、友人のお父様は星を見た翌朝には昼近くまで起きてこないこともあるそうです。
「行ってもよい?」
どろちゃんが尋ねました。
「お父様へお尋ねなさい。けれど、その前にパンを食べてしまいなさい。五百キロメートル飛ぶ相談を、朝食半分で始めるものではありません」
「まだ五百キロメートルと決まったわけではないわ」
「では、四百キロメートルならパンを残してよいの?」
どろちゃんは残りを口へ入れました。
◇ ◇ ◇
お父様は、書斎で新しい領地図を見ていました。
正確な地図ができたため、直さなければならない道や橋が、以前よりはっきり見えるようになっています。
「ライデンへ行きたいの」
どろちゃんが言うと、お父様は地図から顔を上げました。
「馬車でか」
「タドポール君で。馬車なら着くころには、友人がまた別の手紙を書いているわ」
「空なら近い、と言いたいのだろうが、どのくらい離れている」
どろちゃんは大きな地図を広げました。
ただし、距離を測り始めたのはどろちゃん一人ではありません。
測量係が定規と糸を持ってきました。執事が途中の町と国境を書き出しました。お父様は、どの領主や役人へ通過の知らせを出すべきか考えました。
頭の中では、技師さんたちが飛行距離と燃料を計算し始めています。
――直線なら、およそ四百六十キロメートル。
――川と町をたどり、風による修正も入れるなら、五百キロメートルを見ておく。
――標準燃料では予備が少ない。
――後席を外し、増槽を搭載する。
「後席を外すの?」
どろちゃんは声に出して尋ねました。
お父様と測量係が、同時に彼女を見ました。
「技師さんに聞いているの。私が勝手に座席を捨てようとしているわけではないわ」
「その技師たちは、行けると言っているのか」
「準備をすれば。でも、さっきから全員が一度に話すから、肝心なところが聞き取れないの」
どろちゃんは額へ手を当てました。
「一人ずつ話して。増槽をどこへ付けるのか、燃料をどちらから先に使うのか、帰りも同じ方法でよいのか。順番に聞かないと、私が人間の側へ説明できないでしょう」
頭の中が少し静かになりました。
構造技師さんが先に話し、次に燃料系統の技師さんが続きます。航法の担当者は、まだ自分の番ではないのに途中で口を挟みました。
「今、航法の話はまだ早いわ」
お父様は、娘が見えない会議の司会をしている間、黙って待ちました。
やがてどろちゃんは顔を上げました。
「後席の場所に増槽を積めば、行けると思う。ただし、計算だけでは決めない。工房で実際の重さを測って、配管を作って、短い試験飛行をしてから」
「危険は何だ」
「燃料が足りなくなることだけではないわ。遠くへ行くほど、下に何があるか分からなくなる。川を見失うかもしれないし、予定した牧草地が雨でぬかるんでいるかもしれない。機械が正常でも、降りる場所がなければ困る」
「それでも行きたいのか」
どろちゃんは、友人の手紙を折り直しました。
「会いたいの。飛行機を見せるためだけなら、こんな遠くまで行かないわ」
お父様はしばらく娘を見ました。
「ならば、会いに行くための飛行として準備しなさい。大学へ機械を見せに行くのだと考えると、先生たちの都合が先になる。友人に会いに行くのなら、無事に着いて、話をして、無事に帰ることが目的だ」
「うん。そうする」
家族と話すときのどろちゃんは、大学の先生に報告するような話し方をしません。
◇ ◇ ◇
後席を外す作業は、子爵領の工房で始まりました。
座席。
背もたれ。
五点式拘束具。
内張り。
荷物の固定具。
外した部品は、一つずつ番号を付けて木箱へ入れます。あとで元へ戻すためです。
「ここへ燃料を積むのですね」
工房の親方が、空いた後席をのぞきました。
「そう聞いている。でも、図面どおりに手が入るかは、親方に見てもらわないと分からないわ」
どろちゃんは頭の中へ尋ねました。
「増槽の固定点を、もう一度。右側の金具から付けるの?」
技師さんの答えを、親方へ伝えます。
親方は胴体の内側へ腕を入れ、工具を当ててみました。
「この順では、最後の止め金へ工具が届きません。先にこちらの保護板を外し、右側金具を仮止めしてから増槽を入れた方がよいでしょう」
――保護板を外すなら、配管を傷つけるな。
「配管を傷つけないように、と」
「そのために先に布を巻きます。未来の技師さんは、今ここにある工具の長さまではご存じないのでしょう」
――その親方、言うな。
「技師さんが、親方はよく見ていると言っているわ」
「いま少し違う言葉も聞こえたような気がしますが」
「気のせいよ」
技師さんは機体の構造を知っています。
親方は、今ここにある工具と、自分の手がどこまで入るかを知っています。
どろちゃんは、その間を行き来しました。
増槽が取り付けられると、満タン、半分、空の三つの状態を想定して重心を確かめました。
計算は技師さんが行います。
実際の重量測定は、測量係と親方が行います。
どろちゃんは数字を書き写しました。
途中で一度、左右の値を逆に書きました。
――逆だ。
「あ」
どろちゃんは慌てて線を引き、書き直しました。
「いまの数字は使わないで。私が左右を逆にした」
親方は笑いませんでした。
代わりに、自分の帳面にも大きく訂正印を付けました。
「間違えた数字ほど、消して見えなくすると危ないのです。どこで直したか残しましょう」
「うん。その方がよいわ」
地上試験では、燃料を入れ、弁を開き、配管の接続部を調べました。
一晩置いても漏れはありません。
短い試験飛行も行いました。
増槽から燃料を送り、主燃料槽へ切り替えます。旋回し、上昇し、滑空して着陸します。
飛び終えたどろちゃんは、操縦席から降りるとすぐ増槽の取付部を見ました。
『ぼくより先に燃料槽を見るの?』
タドポール君が言いました。
「タドポール君は、自分でどこか痛いと言えるでしょう。燃料槽は、緩んでいても黙っているもの」
『ぼくも、言葉にできない痛みがあるかもしれないよ』
「それは困るわ。どこ?」
『今のところ、ないよ』
「では、先にこちらを見る。終わったら翼も車輪も全部見るから、少し待って」
『少しだけなら待つよ』
タドポール君は、飛行機ですが、順番を気にします。
◇ ◇ ◇
長距離飛行の前日。
どろちゃんは操縦席の収納箱を開けました。
正確な時計。
六分儀。
西暦一七〇〇年ごろの星の位置に直されたフラムスティード星図。
それらは以前からタドポール君に収められていました。
けれど、どろちゃんは六分儀を使い、自分の位置を実際に求めたことがありません。
星のことを知らないわけではありません。
バイカル湖の近くの中学校で、地球の自転と公転、恒星の日周運動と年周運動、年周視差、光行差を学びました。太陽系の外側には天王星と海王星があり、そのさらに外に、冥王星、エリス、ハウメア、マケマケのような準惑星があることも知っています。
けれど、それらは教科書、テレビ、本、PCやスマートフォンの画面で学んだ知識です。揺れる飛行機の中で六分儀を構え、時刻を読み、観測誤差を見積もって現在地を出した経験ではありません。
「地球が公転しているなら、恒星には年周視差が出る。地球が動き、光の速さが有限なら光行差も出る。そこまでは分かるわ。でも、これを持てば川を見失っても帰れるの?」
――持っているだけでは帰れない。
航法の技師さんが答えました。
――天文学の知識と、飛行中の天測航法は別だ。時計も星図も六分儀も、正しく扱い、観測値を捨てずに計算する人がいる。
「冥王星やマケマケの名前まで知っているのに、自分がいまどこにいるか測れないのは、少し変な気分ね」
――名前を知っていることと、観測して確かめることは別だ。タドポールの構造を知っていても、いまの工房で同じ機体を作れないのと同じだよ。
「それなら分かるわ。授業で図を見たのと、揺れる飛行機の中で測るのも違うもの」
――往路は川と町をたどる。時計と方位で推測航法。六分儀は予備だ。
――ライデンに着いたら、天文学者に観測の実際を教わればいい。
友人の父親は、ライデン大学の天文学者です。
どろちゃんは六分儀を持ち上げました。
冷たい金属が手に触れます。
「帰りには、教科書の図と本物の空が、少しくらいつながっているかしら」
――一晩で天文学者にはならない。
「そこまでは思っていないわ。ただ、知っているだけの言葉と、持っているだけの道具にはしたくないの」
今度は、技師さんも反対しませんでした。
◇ ◇ ◇
出発の朝。
空は晴れていました。
南寄りの弱い風です。北へ向かうどろちゃんには、少し追い風になります。
お母様は、食べ物を多すぎるほど持たせました。
パン。
固いチーズ。
乾燥した果物。
水。
甘い焼き菓子。
「飛行中に全部食べると思っているの?」
「全部食べなければならないとは言っていません。食べられる物がない状態にしないだけです」
「増槽よりは軽いでしょう、と言うのでしょう」
「よく分かりましたね」
お父様は、途中で目印にする町と川を書いた紙を渡しました。
執事は、ライデン大学へ先に出した到着予定の手紙を確認しました。
工房の親方は、増槽の固定金具をもう一度見ました。
どろちゃんは、友人の手紙を胸元の内ポケットへ入れます。
――点検開始。
技師さんたちの声が硬くなりました。
実際の飛行が始まるからです。
主翼結合。
操縦索。
車輪。
ジェット。
増槽。
燃料弁。
計器。
時計。
地図。
どろちゃんは、一つずつ声に出して確認しました。
『少し緊張している?』
タドポール君が尋ねました。
「少しどころではないかも。遠いからだけではなくて、会ったときに何を話すか考えると、さっきから同じことばかり思い浮かぶの」
『手紙では、たくさん話しているのでしょう』
「手紙なら、書き直せるもの。顔を見て話すと、言った言葉を紙から切り取って捨てられないわ」
『会えば、最初の一言を友達が言うかもしれないよ』
「たぶん、素直な言葉ではないわね」
『それも分かっているなら、大丈夫だよ』
タドポール君は丘の斜面を下りました。
長い翼が風を受けます。
主輪が草を離れました。
お父様とお母様が小さくなります。
子爵家の屋敷が小さくなります。
新しく作った領地図と同じ形が、眼下へ広がりました。
どろちゃんは一度だけ振り返ろうとして、後席の増槽しか見えないことに気づきます。
「今日は、本当に一人乗りなのね」
『ぼくがいるよ。それに技師さんたちもいる』
「そうだった。静かな一人旅にはならないわね」
――雑談は巡航に入ってから。
硬い声が入りました。
「はいはい。いまは飛びます」
操作中だけは、どろちゃんも素直です。
◇ ◇ ◇
最初のうちは、大きな川をたどりました。
川は曲がります。
森の陰へ入り、また光ります。
町の近くでは橋が増えます。
船が集まる場所もあります。
どろちゃんは、地図と地上を交互に見ました。
「次は、左から大きな支流が入るはず」
『右から来たよ』
「え?」
どろちゃんは地図を見直しました。
紙を上下逆に持っていました。
「いまのは、誰にも言わないで」
『技師さんたちは、もう知っているよ』
「技師さんにも、わざわざ記録へ残さないように言って」
――航法上の誤りは記録する。
「一瞬で直したでしょう」
――一瞬でも逆は逆だ。
頭の中で何人かが笑っています。
実際の操作中ではないので、技師さんたちも少し柔らかく話します。
どろちゃんは地図を正しい向きへ直し、現在地を書き込みました。
昼近くになると、増槽の燃料が減りました。
切替手順は、技師さんの指示どおりに行います。
――主槽、先に開。
「主槽を先に開く」
――圧力確認。
「圧力、変化なし」
――増槽、閉。
「閉じた。ジェットの音も変わっていないわ」
『ちゃんと飲めているよ』
タドポール君が言いました。
「燃料を飲むの?」
『どろちゃんも、水を飲むでしょう』
どろちゃんは、朝から一度も水を飲んでいないことに気づきました。
「それを先に言ってくれればよかったのに」
『ぼくは、どろちゃんのお母様ではないからね』
お母様が多く持たせた理由の一つが、空の上で分かりました。
◇ ◇ ◇
午後になると、地形が低くなりました。
丘は遠ざかり、水路が増えます。
細い川。
太い運河。
浅い湖。
湿地。
水に囲まれた牧草地。
ライン川の流れがいくつにもほどけ、北海へ向かう低地です。その先、ネーデルラント連邦共和国のホラント州に、ライデンの町があります。
後の時代ほど広く整えられた干拓地は、まだありません。
陸の中に水があるというより、水の間へ陸を残したように見えます。
「道が多いと思ったら、水路ばかり。手紙に、橋を渡るたびに曲がる方向が分からなくなると書いてあったけれど、これでは本当に迷うわ」
『船には全部、道だよ』
「馬車では走れないでしょう」
『船は走らないの?』
「進む、かしら」
『ぼくは飛ぶけれど、空を走るとも言うでしょう。言葉は、乗り物ごとに決めるの?』
「いま考え始めると、ライデンを通り過ぎるわ。続きは着いてから」
タドポール君と話していると、ときどき言葉の方が迷子になります。
ライデンが近づくころ、雲が少し増えました。
大きな川を完全に見失ったわけではありません。
けれど、水路が多すぎて、どれを地図の線と合わせればよいのか分かりにくくなりました。
どろちゃんは時計を見ました。
飛行時間。
推定速度。
風向。
方位。
技師さんが計算を手伝います。
――予定位置より、少し西。
「少し、とはどのくらい?」
――風が地上の予報より強ければ十数キロ。弱ければ数キロ。
「ずいぶん幅があるわね」
――だから見える目標で確認する。
どろちゃんは、六分儀へ手を伸ばしかけました。
――いまは使うな。
「雲があるから?」
――それもある。慣れない観測へ気を取られる。町と教会塔を探せ。
道具を持っていると、使いたくなります。
けれど、使わない方がよいときもあります。
どろちゃんは六分儀を戻し、前を見ました。
しばらくして、城壁と教会塔が見えました。
その南東には、手紙に書かれていた広い牧草地があります。
白い布が十字に並べられ、長い吹き流しが風を示していました。
「見つけた。あれがライデンね」
『ぼくも見つけたよ。水路に囲まれているから、町の形がよく分かる』
どろちゃんは一度、牧草地の上を通りました。
家畜はいません。
人々は端へ寄っています。
排水溝があります。
ぬかるんだ場所もあります。
着陸できる長さは十分です。
――進入は南西から。
――速度、高い。
――一周して落とす。
実際の着陸ですから、技師さんたちの声は短くなりました。
どろちゃんは大きく回りました。
風へ向きます。
ジェットを絞ります。
主輪が草へ触れました。
少し跳ねました。
もう一度、草へ触れます。
タドポール君は牧草地を走り、排水溝よりずっと手前で止まりました。
『二回着いたね』
「一回の着陸の中で、二度地面に触れただけよ」
『それを、二回着いたと言うのではないの?』
「地上の人に聞かないで。いまは到着したことを喜ぶところでしょう」
見ていた人たちは、初めて空から来た飛行機に驚いていたので、少し跳ねたことなど気にしていません。
ただし、タドポール君は覚えていました。
◇ ◇ ◇
人々の中から、友人が走ってきました。
どろちゃんは操縦席から降りました。
何を言おうか、飛行中に何度か考えていました。
久しぶり。
本当に来たわ。
五百キロメートル飛んだのよ。
どれも少し違う気がします。
友人は、どろちゃんの前で止まりました。
「遅い」
最初の言葉は、それでした。
「朝に家を出て、午後に着いたのよ。馬車で来たなら、あなたは十日以上待つことになったわ」
「手紙を出してからは、もっと待ったもの。空を飛べるようになったと聞いたのに、すぐ来ないから、私の手紙を忘れたのかと思った」
「忘れるくらいなら、胸の中へ入れて五百キロメートルも運ばないわ」
どろちゃんは内ポケットから手紙を出しました。
折り目が増えています。
友人はそれを見て、少しだけ黙りました。
「本当に持ってきたのね」
「何度も読んだから、最後の一行まで覚えたわ。『一度くらい会いに来て』でしょう。ずいぶん偉そうだった」
「素直に『会いたい』と書いたら、あなたが得意になると思ったの」
「お母様と同じことを言うのね」
二人は顔を見合わせました。
それから同時に笑いました。
手紙の中と同じ友人でした。
少なくとも、最初の言い争いは。
◇ ◇ ◇
友人の父親は、ライデン大学の天文学者です。
飛行機より先に、操縦席の時計へ目を留めました。
「この時計は、飛行中も狂わないのですか」
「技師さんたちは、航法に使えるだけの精度があると言っています。ただ、私自身は、どのくらいの温度変化で何秒ずれるのかまでは確かめていません」
「技師さん、というのは、手紙に書かれていた頭の中の人々ですね」
「ええ。いまも、説明の言葉が正確でないと言っております」
――温度だけではない。姿勢差と振動も。
「温度だけではなく、時計の向きや飛行中の振動も考えてあるそうです」
「それを、あなたは自分で理解しているのですか」
どろちゃんは少し考えました。
「全部ではありません。説明を聞けば意味は分かります。でも、同じ時計を一から設計しろと言われたらできません。私は、技師さんの知識を持っているのではなく、話を聞けるのだと思います」
天文学者は、時計の次に六分儀を見つけました。
その次にフラムスティード星図を見つけます。
「この星図は、現在の星の位置へ補正してありますね」
「西暦一七〇〇年ごろに合わせたものだそうです。往路で使おうとしたら、慣れない観測に気を取られるなと止められました」
「賢明です。器械が正確でも、観測する人が慣れていなければ、数字だけが立派な間違いになります」
「では、教えていただけますか。帰りに全部できるとは思っていません。でも、せめて何を見て、どこで間違えるのかは知りたいのです」
「もちろんです。今夜、晴れれば観測室へ来なさい。星は、大学の授業時間に合わせて出てきてはくれませんから」
友人が父親の袖を引きました。
「お父様。どろちゃんは、いま着いたばかりよ。時計と星図を連れて先に大学へ帰らないで」
「分かっている。夕食のあとだ」
「夕食の途中で立ち上がらないでね」
「星の出る時刻による」
友人はため息をつきました。
父親が大学で働くというのは、こういうことでもありました。
◇ ◇ ◇
夕食のあと、どろちゃんは大学の観測室へ行きました。
友人も一緒です。
天文学者は、六分儀と時計と星図を机へ並べました。
どろちゃんは、自分が知っている天文学と、知らない観測実務を分けて話しました。
地球が自転しながら太陽の周りを公転していること。
恒星の年周視差は、地球の公転軌道を基線として現れること。
光行差は、地球の運動と有限な光速度によって星の見かけの方向がずれる現象であること。
恒星にも固有運動があり、星図はいつまでも同じではないこと。
そして土星の外側にも天体があり、ずっと後の時代には天王星、海王星、冥王星、マケマケなどが知られるようになること。
天文学者は、途中から椅子へ座るのを忘れていました。
「あなたは、その天体を見たことがあるのですか」
「ありません。冥王星もマケマケも、写真や図で見ただけ。どの星の近くを探せば見つかるのか、軌道要素を覚えているわけでもないわ。名前と、大まかな性質を学校や本で知っているだけです」
「年周視差と光行差は、測定値を見たのですか」
「教科書の図と説明を見ました。だから、現象の意味は分かる。でも秒角を測る器械を据え、何か月も観測を続け、誤差を分けて確認したことはありません。知っている、と、確かめた、は違うでしょう」
天文学者は、ようやく椅子へ座りました。
「たいへん奇妙な生徒です。結果の方を先に知っていて、観測の入口へ戻ってきた」
「私もそう思うわ。中学校では、答えの分かっている図を見ていたもの。今夜は、答えのそろわない数字を自分で出すのね」
「では、実際に測ってみましょう。まず、あの明るい星を使います」
「もうですか。六分儀の持ち方を、もう少し詳しく聞いてからではなくて?」
「説明を全部聞いてから空を見ると、最初の星が沈んでしまいます。分からないところは、測ったあとで戻りましょう」
どろちゃんは六分儀を構えました。
目盛を読みます。
時刻を書きます。
もう一度測ります。
値が違います。
三度目も少し違いました。
「同じ星を見ているのに、こんなに違ってよいの?」
友人が尋ねました。
「よくはないわ。私の持ち方が悪いのかも」
どろちゃんは不安になりました。
天文学者は六分儀を受け取り、自分でも測りました。
その値も、完全には同じになりません。
「観測とは、そういうものです。器械にも、人にも、空気にも誤差があります」
「では、どれが正しいのですか」
「一度で決めません。何度か測り、他の星も使い、時計と計算と地上で分かっている位置を合わせます。うまくそろわない値を、都合が悪いから捨てるのではなく、なぜ外れたかも考えます」
「飛行機の試験と似ているわ。片方の翼が下がったとき、風のせいだと決めてしまうと、操縦索の擦れを見落とすもの」
「そのとおりです。観測器械も飛行機も、人が見たい答えだけを出してはくれません」
どろちゃんは少し安心しました。
自分だけが下手だから、値がそろわないのではありません。
もちろん、上手になれば、ばらつきは小さくなります。
「帰りに使えるようになりますか」
「現在地を一本の線にまで狭める練習ならできます。しかし、雲の多い空で、飛行機を操縦しながら、今日習ったばかりの方法だけを頼りに帰るのはやめなさい」
「技師さんと同じことを言うのですね」
「それなら、その技師さんとは気が合いそうです」
頭の中から、誰かが咳払いをしました。
◇ ◇ ◇
翌日、友人はどろちゃんを大学の図書室へ連れて行きました。
「飛行機を見る先生ばかりではないのよ。お父様は、あなたが星図を持ってきたと知ってから、こちらも見せたいと言っていたわ」
「こちら、というのは?」
「東方の本と地図。どこまでを東方と呼ぶのか、先生によって違うけれど」
入口で司書が、来訪者の名を帳面へ書くよう求めました。
どろちゃんは、まずドイツ語で書きました。
Dorothea
(ドロテーア。)
その下へ、ロシア語でも書きます。
Доротея
(ドロテーヤ。)
司書は二つの名を見比べました。
「別の方のお名前ですか」
「どちらも私。同じ名前が、言葉によって少し違う形になっているの。家族や友人は、どろちゃんと呼ぶわ」
「帳面には、どちらを書けばよいのでしょう」
友人が横から言いました。
「どろちゃん、と書けば、いちばん間違いません」
司書は少し悩み、Dorothea の横へ、小さく「Doro」と書き足しました。
図書室の一角には、遠い土地から来た写本が並んでいました。
右から左へ書く文字。
細い線が連なった文字。
点の位置で形の変わる文字。
赤と黒の二色で書き分けた頁。
革で包まれた本。
折り畳まれた地図。
細長い紙を横へ広げる巻物。
どろちゃんは入口で立ち止まりました。
文字が読めなかったからではありません。
全部、読めたからです。
アラビア語。
ペルシア語。
オスマン語。
ヘブライ語。
シリア語。
頁を少し離れたところから見ただけでも、文字が音と意味を伴って、自然に頭へ入ってきます。現代ロシアで習った言葉でも、この時代のドロシーが知っていた言葉でもありません。
神様から与えられた、言葉と文字を理解する力です。
話す人が世界にごくわずかしかいない言葉でも、アジア、アラブ、アフリカのどこで使われる言葉でも、古い形でも、どろちゃんには意味が届きます。
案内していた学者が、一冊を指しました。
「これはアラビア語です。隣はペルシア語で――」
「こちらはアラビア語の天文表。隣はペルシア語の詩と、その余白に後の読者が付けた注釈。その向こうはオスマン語で書かれた書簡ね」
どろちゃんが続きを言うと、学者は口を閉じました。
友人は、学者とどろちゃんを交互に見ました。
「読めるの?」
「読めるわ」
「いつ習ったの?」
「習っていないの。神様からもらった力で、人の言葉だけではなく、文字も全部分かるの」
「全部、というのは、どこまで?」
どろちゃんは棚を見回しました。
「いま見えているものは全部。ここにない言葉も、話す人がごく少ない言葉も分かるわ」
学者は、すぐ別の写本を持ってきました。
「では、これは?」
「シリア語の宗教文書。途中から別の人の筆跡に変わっている。ここは本文ではなく、写した人が紙の不足を書いているわ」
「こちらは?」
「ヘブライ語。けれど、この頁の端にあるのは別の言葉。アラム語ね」
学者は三冊目を取りに行こうとしました。
友人が袖をつかみました。
「先生。全部試していたら、昼食までに棚が空になるわ」
「しかし、これは確かめなければ」
「どろちゃんは飛行機と一緒で、分解して中を見ても同じ物は作れませんよ」
「私は分解しないで」
どろちゃんは言いました。
学者は、しぶしぶ席へ戻りました。
「読めるなら、この天文表の計算も分かりますか」
「文章と数字が何を表しているかは分かる。でも、計算が正しいかを見ただけで決められるわけではないわ。使っている暦、観測した場所、器械の精度、写し間違いを確かめないといけないでしょう」
「言葉は分かっても、内容の真偽までは分からない?」
「当たり前でしょう。嘘も、勘違いも、昔の人が正しいと思っていた間違いも、きちんと読めるわ。読めるから正しい、にはならないもの」
学者は、たいへん満足そうにうなずきました。
「その区別ができるなら、大学の仕事になります」
「私は大学へ残らないわよ」
「分かっています。ですから、いる間だけでも手伝っていただきたい」
友人はため息をつきました。
飛行機を見た先生も、写本を見た先生も、どろちゃんを帰したくなくなるところは同じでした。
◇ ◇ ◇
別の机には、海図と旅行記が広げられていました。
アフリカ南端。
インド洋。
セイロン。
インドの港。
マラッカ海峡。
ジャワ。
モルッカ諸島。
中国沿岸。
日本列島。
東インド会社の船や商館を通じて届いた地図、航海記録、商人の報告、現地で写された図が混じっています。
すべてが大学の正式な所蔵品ではありません。商人が先生へ一時的に貸したもの、会社の関係者が持ち込んだ写し、説明のない図だけが先に届いたものもあります。
どろちゃんは、まず地図へ近づきました。
「この海岸線は細かいのに、内陸はほとんど空白なのね」
「船で来た者が作った地図だからです。港と岬と水深は詳しい。山の向こうは、現地の人から聞いた話か、別の地図を写したものになります」
「こちらの島は、同じ場所なのに形が違うわ」
「測った人も、縮尺も、目的も違います。船を港へ入れる海図と、国の位置を示す地図では、必要な正確さが違うのです」
「子爵領の古い地図と同じだわ。街道を歩くには使えても、空から飛ぶには川の曲がりが違いすぎた」
学者は興味を示しました。
「あなたは、空から地図を作ったそうですね。あとで、その方法を詳しく聞かせてください」
友人が横から言いました。
「今日は、どろちゃんが質問する側ではなかったの?」
「大学では、質問する側がすぐ入れ替わるのです」
学者は悪びれませんでした。
机の端には、アフリカ南端で聞き取った言葉を、ラテン文字で書き留めた薄い紙束がありました。
学者は、一語を指しました。
「この語が何を意味するのか、記録した人も確信がありません。水とも泉とも訳されています」
どろちゃんは紙を見ました。
「元の話者は、ただの水ではなく、乾いた土地で人や家畜が使う水場を言ったのだと思う。でも、この綴りでは二つの音が落ちているわ。聞いた人が区別できなかったのでしょう」
「その言葉を話す人に会ったことがあるのですか」
「ないわ。でも意味は分かるの」
「意味が分かっても、記録者がどの村で誰から聞いたかは?」
「それは紙に書いていないから分からない。言葉の力は、なくなった記録まで戻してはくれないわ」
学者は紙の余白へ、そのまま書き留めました。
どろちゃんの力は、資料の穴をすべて埋める魔法ではありません。書かれている言葉は完全に理解できます。しかし、書かれなかった来歴、失われた頁、記録者の事情までは現れません。
◇ ◇ ◇
机の端には、人の身体へ線と点を描いた日本の図がありました。
紙も、線の引き方も、隣の海図とは違います。
「これは経絡と経穴の図ね。ここは肺経、こちらは胃経。点の名も書いてある」
学者は驚きました。
「日本の文字も読めるのですか」
「読める。でも、読めることと、この治療がどこまで有効か判断できることは別よ。私は中学校で、血管、神経、筋肉、内臓の大まかな構造は習った。でも、この線は血管や神経をそのまま描いた図ではないでしょう。どう使い、どんな症状に試し、何をもって効いたとしたのかは、もっと資料が要るわ」
「書いてある内容を訳してもらえますか」
「訳せる。でも、勝手に省かないで、図の位置と一緒に写した方がよいと思う。点の名だけを別の言葉にすると、元の意味を落とすかもしれないもの」
その隣には、中国沿岸の地図と漢字の報告書がありました。
どろちゃんは、港の名、積荷の数量、風向、航海日数を読み上げました。
途中で一か所、数字が前後の合計と合いません。
「ここは写し間違いかもしれない。文字としてはこの数字だけれど、合計すると余るわ」
「読める人がいれば、すぐ正しくなるわけではないのですね」
友人が言いました。
「元の人が間違えて書いていたら、正しく間違いを読めるだけよ。原本や別の記録と比べないと直せないわ」
「先生だから、分からないと言えるのでしょう」
案内の学者が言いました。
「若い学生ほど、空白を残すのを嫌がります」
「私も、地図の空白を見ると埋めたくなるわ」
「埋める前に、そこへ行く人が必要です」
「空からなら、少し早く行けます」
どろちゃんが言うと、学者の目が急に飛行機を研究する先生の目になりました。
「どのくらいの距離まで飛べるのですか」
「今日は、その話を始めないで」
友人が間へ入りました。
「飛行機の話をすると、どろちゃんが夕食まで戻ってこなくなるわ」
図書室には、飛行機を分解したがる先生だけでなく、飛行機で世界の空白を埋めたがる先生もいました。
◇ ◇ ◇
図書室を出るころ、どろちゃんは何冊もの本を読みたいと思っていました。
読めないからではありません。読める物が多すぎて、一日では足りないのです。
「借りて帰れるものはある?」
どろちゃんが尋ねると、友人は笑いました。
「最初から、そのつもりだったの?」
「全部ではないわ。天文表の説明と、海図の写しと、日本の身体図。それに、アラビア語の地理書も読みたい。ペルシア語の旅行記も、アフリカ南端の語彙表も気になるもの」
「全部ではない、の意味が私と違うわ」
司書は、古い写本や一枚しかない図を貸し出せないと説明しました。
その代わり、必要な部分を写す場所と紙を用意してくれます。
「全部読めるのに、自分で写すの?」
友人が尋ねました。
「読めることと、頁を持ち帰れることは別でしょう。覚えたつもりでも、数字や図の位置は間違えるもの」
二人は午後の残りを、机へ向かって過ごしました。
どろちゃんは海図と目録を写し、友人は日本の身体図を写しました。線が多すぎて、友人は途中で嫌になりました。
「人の身体には、こんなに線が必要なの?」
「図を作った人には必要だったのでしょう。けれど、意味は一つずつ確かめないと」
「日本まで飛んで聞くつもり?」
「タドポール君では、途中の燃料が足りないわ」
「燃料があれば行くような言い方ね」
どろちゃんは答えず、地図の海を見ました。
五百キロメートル飛んでライデンへ来るだけでも、大変な準備が必要でした。日本は、その地図のはるか端にあります。
けれど、そこから来た文字も図も、どろちゃんには読めます。
人より先に、物と知識の断片が長い旅をしていました。どろちゃんの言語の力は、その断片を声へ戻せます。
それでも、断片を一つの確かな知識へ組み立てる仕事は、大学の学者や、現地を知る人々と一緒に続けなければならないのでした。
◇ ◇ ◇
夜、友人の部屋で、二人は写した紙を床へ広げました。
「空を飛んできたのに、今日は一日机に座っていたわね」
友人が言いました。
「飛ぶのは数時間だったもの。知らないことを見る方は、一日では終わらないわ」
「明日は工房よ。お父様は、あなたの時計をもう一度測りたいと言っていたし、別の先生は翼を測りたいと言っていた。図書室の先生は、子爵領の地図の作り方を聞きたいそうよ」
「私は、あなたに会いに来たのに」
「会っているでしょう。同じ部屋にいるわ」
「大学に少しずつ持っていかれている気がする」
友人は笑いました。
「ライデンへ来た人は、たいていそうなるの。先生に質問され、本を見つけ、別の本を読む必要ができて、帰るころには来たときより荷物が増えている」
「私まで大学へ入れられないでしょうね」
「十五歳の子爵令嬢が、空から入学しに来たと記録されるかもしれないわ」
「入学するなら、先に授業の時間を聞く。星に合わせて夜中に始まる授業ばかりでは困るもの」
二人の話は、手紙より長く続きました。
五百キロメートルの飛行は一日で終わりましたが、友人と同じ町で過ごす時間は、まだ始まったばかりでした。
◇ ◇ ◇
第十四章の小さな説明
【ライデンの位置】
ライデンは、当時のネーデルラント連邦共和国のホラント州にある大学都市です。現在の国名では、オランダにあります。
子爵領をストラスブール付近とすると、ライデンまでの直線距離は約四百六十キロメートルです。本文では、川や都市を目印にする迂回、風による針路修正、着陸場所の確認を含め、飛行距離を約五百キロメートルとしています。
【長距離飛行と増槽】
タドポール君の通常の燃料だけでは、約五百キロメートルの飛行に十分な余裕を取りにくいため、後席を外し、その場所へ補助燃料槽を搭載します。
設計や重心計算は頭の中の技師さんたち、実際の加工と取付けは子爵領の工房職人が担当します。どろちゃんは、その間をつなぎます。
【航法】
往路では、川、町、城壁、教会塔、水路などを目印にしながら、方位、飛行時間、推定速度を組み合わせます。
六分儀、正確な時計、フラムスティード星図は機内にありますが、道具を持っているだけで正確な天測航法ができるわけではありません。本章では、どろちゃんはまだ学び始めた段階です。
【ライデン大学と東方資料】
一七〇〇年ごろのライデン大学では、すでにヘブライ語、アラビア語、ペルシア語、トルコ語などの研究が行われ、スカリゲルやワルネルが集めた東方写本も大学図書館に収められていました。
また、ネーデルラントの商船・外交・東インド会社の活動を通じ、南アジア、東南アジア、中国、日本に関する地図、航海記録、報告、図譜などもヨーロッパへ届いていました。
本文では、大学の正式な所蔵品だけでなく、商人や会社関係者から学者のもとへ一時的に持ち込まれた写しや資料も含めて描いています。後世の大規模な日本研究コレクションを先取りするのではなく、まだ断片的で、読める人も限られていた時代です。
【どろちゃんの名前と言語理解】
現代ロシアでの名は Доротея(ドロテーヤ)、この地方でドイツ語形を用いれば Dorotheaです。亡くなったドロシーの記憶と、現代ロシアで育ったドロテーヤの記憶が融合し、現在は一人のどろちゃんになっています。
どろちゃんは、神様から与えられた力により、世界中のあらゆる話し言葉と文字を理解できます。ナーロッパ諸語だけでなく、アジア、アラブ、アフリカの言語、話者がごく少ない言語、古い言葉や文字も読解・会話できます。
ただし、文章を理解できることと、資料の真偽、年代、来歴、写し間違い、専門的な妥当性まで自動的に判断できることは別です。書かれていない情報も分かりません。そのため大学の学者、商人、船乗り、医師、現地を知る人々との検討が必要です。




