表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/53

第39話「自由まであと一歩」

「だ、大丈夫かい?」


「ほ、ほんまおおきにな!」


 ミーシャは立ち上がり、スウォンに手を差し伸べる。


「す、すごいスピードでしたけど……

ミーシャさんって、一体何者なんですか!?」


 そう問いかけたのは、スカバ。


 ちょうどマオも同じ質問をしようとしていた。


 明らかに、常人とは思えない反応とスピード。

 そのスピードは、"ゴールデンゴースト"のギルド長ノルディに負けず劣らず。


 もしかすると、とてつもなく強いのかも。

 敵だとしたらやばいのでは……。


「な、なんでだろうね?

身体が勝手に動いて……」


 ミーシャは視線を逸らすように返答する。


 照れ隠しではなく、なにかを隠しているようであった。


 ……怪しい。


「おい!宝箱だぜ!!

ほら!こっちが正解じゃねぇーか!」


 月の扉の奥から聞こえるカフラの声。

 興奮気味の声色から、無事に正解の扉であったのだろう。


 扉を挟んでもここまで一言一句、声が聞こえてくる。

 カフラのやつ、どんな声量してるんだよ。


「ほんまやな、この勝負はあんたの勝ちでええよ!」


 いやいや、「この勝負は」って死にかけたんだぞ?

 やはり、ギルド長ってのはどこか頭がおかしい。


「それよりさ、シーカ。

なんで、正解の扉が分かったの?」


「あぁ、それはな、"この方"が教えてくれた」


 シーカが指し示すのは、この部屋で死に絶えたであろう骸骨。

 

 「この方って」、もう死んでるよ。


「このガイコツから何か分かったってこと?」


「あぁ、このガイコツの死因はおそらく焼死。

その証拠に、ところどころ黒ずみ、骸骨の下顎が灰になっている。」


 マオはシーカの虫眼鏡を借りて覗き込む。


 確かに、白い灰がガイコツの下に集まっている。

 下顎が無いのも燃えて灰になったからなのか……。


「この部屋で、焼死の可能性があるのは太陽の扉。

ズバリッ!太陽の扉が不正解の可能性が高いということが分かったのだ!」


「すごい!さすが名探偵!!」


「ふふん!だろう?

まぁ、あくまで可能性であったのだがな……」


 シーカは再度パイプを咥えシャボン玉を吹かす。

 

 シーカは照れ隠しでシャボン玉を吹かす。

 褒められて嬉しかったのだろう。


 かわいい……。


「おい!鍵があったぞ!!宝箱の中に!」


 カフラは大声を出しながら扉を開ける。


 扉を隔たないと興奮したカフラの声はさらにうるさい。

 どうやら、扉の防音機能はしっかり果たしていたようだ。


「鍵か……」


 みんなの視線は正面に集まる。

 視線の先は鍵のマークの扉。


 まぁ、あとはここしか無いよな。


「カフラくん、その鍵をあの扉に使ってみるのだ!」


「おっけい!任せろっ!」


 カフラは鍵のマークがついた扉に歩み寄る。


 すると、鍵は光り輝きカフラの手元から離れ宙に浮く。


 ……眩しっ!


 一瞬、視界いっぱいが光に包まれる。

 

 光が消え瞼を開けると鍵のマークの扉が開いている。


「謎解きクリアってことだよな?」


「そうみたいやな!ほんなら行くで!」


「よっしゃ!」


「ちょ、ちょっと!

スウォン様!カフラさん!」


 自由人2人は堂々と鍵の扉の先へ足を踏み入れる。

 さっきの命懸けの喧嘩が嘘のように。


 鍵の扉を抜け、洞窟の奥へと進む。


 長い一本道。


 そろそろ、伝説の鉱石とやらが出てもいい頃合いだが?

 まぁ、さすがにこんなに謎解きがあったんだ。

 レアなアイテム、一つくらいは頂かないと割に合わない。

 いや、二つくらいは欲しいな。

 

 カフラとスウォンを先頭に一本道を歩くこと約5分。


 ある、大きな空間へ到着した。

 RPGだとボスがいるような部屋。


「おい!なんだよ!あれ——」


「——おい、カフラくん静かに……!」


「あれは……」


 カフラの口を押さえるシーカ。

 

 カフラの驚き用も無理はない、なんて言っても目の前には——


 「——ドラゴン……」

 

 そう、巨大な翼を携えたドラゴン。

 見上げると首が痛くなるほどに巨大な身体。

 今はどうやら眠りについているようだ。


「おい、マオ……どうしたんだ?」


 珍しくカフラが心配する。

 それもそのはず、マオの口はあんぐり、目は心霊現象でも見たように大きく見開いている。


 おい、どういう事だ?

 ドラゴンって聞いてはいたけど……

 なんで、こいつがここにいるんだよ!

 

 マオの脳裏に蘇る記憶。


 それは、ソイルが勇者に殺された日。


 勇者ルクスによって召喚されたドラゴン。


 燃えるように赤い肌。

 巨木のような足。


 間違いない、あの時のドラゴンだ。


 心臓の鼓動は止まらない。

 足はガクガクと震える。


 これは……、トラウマってやつか……?


「……おい!マオ!大丈夫なのか?」


「あ、あぁ、大丈夫……」


「なんや?ビビってんか?

ウチは、このドラゴンとギルド長としてちょっと話をつけなあかんのや!」


「ちょっと!スウォン様!!」


 スウォンはドラゴンに歩み寄る。

 あくまでも交渉するようだ。


「おい!ドラゴン!

ここは"イーグルシールド"の土地なんや?

住み着くんはええけどやな、ちゃんと契約して……

て、おーい、聞いてるんか?」


「ちょっとスウォン様!

起こしたらまずいですって!」


「なんでやねん!

起こさんと話し合いがでけへんやろ?」


「ちょ、ちょっと!」


 スウォンはドラゴンの肩をよじ登り耳の前に立つ。


「おーい!聞いとんのかぁー?」


「やばいよぉ……」


 ドラゴンの目がゆっくりと開く。

 スウォンが肩から降り、言葉通りドラゴンの目の前に立つ。


 この娘、肝が座っていると言うより、恐怖という概念を持ち合わせていないのかもしれない。


「やっと起きたわ!

もういっぺん言うけどやな、ここは——」


「グギヤァァァァァァオ!!!!」


 ドラゴンの咆哮。

 マオの身体はすくみ上がり、心臓は破裂しそうなほどに脈打つ。


 これは、やばいのでは……


「なんや?威嚇か?

そんなんでウチをビビらそうなんてそうは行かへんで!

ウチの交渉術は父譲りや!

そんなんで、あんたの有利に話は進めさせへんで?」


「ちょ、ちょっとスウォン様!

やばいですよ!!」


 ドラゴンは首を大きく引き、なにやら口元が発光している。

 

 マオには分かる。

 これは、やばい!

 このモーションは絶対……


「ブレスだ!!

みんな、ドラゴンから離れて!!」


ブウォォォォオオオオ!!


 離れていても肌を焼くような灼熱の炎。


 直撃すれば火傷では済まない。

 骨も残らないだろう。


 1番ドラゴンに近いのはスウォン。


 果たして、スウォンは無事なのか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ