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第34話「おてんばギルド長」

なんだか騒がしい。

カフラのいびきはある程度慣れてきたので、原因はそれではない。

外だ。

夢から覚めたマオは窓から外の様子を確認する。


「おい!いたか?」


「ここにもいないみたいです!」


動き回るシルバーな影。

眠たい目を擦りピントを合わす。

背中に羽が生えている。

そう、両翼騎士団(りょうよくきしだん)だ。

まだ、ワルシャワに到着して1日目。

こんな夜に、両翼騎士団がうるさくするのがこの街の風習なのか、と考えたがおそらく違う。

どう考えても非常事態だ。


「おーい、起きて!ねぇ!」


とりあえずマオのパーティーである、うるさいカフラと小さい身体なりに寝相が悪いシーカを起こす。


「な、なんなのだ……?」


「もう……朝か……?」


寝ぼけている2人。

無理もない、眠りについてから約2時間ほどなのだから。


「違うよ!ちょっとこっちきて!」


気だるそうだが、とりあえず指示に従ってくれる2人。


「なんだ?なんとか騎士団じゃねぇーか」


「なんか慌ただしい様子だな……何か事件か!?」


「そうかも……」


さすが、名探偵。

どうやら、事件の香りを感じたらしい。

いや、とりあえず事件としているだけか。


「ちょっと、聞いてみようぜ?」


「そうだな!カフラくん!事件かもしれないからな!」


「うん、行ってみよう」


ソイルから受け継いだマントを羽織る。

そして、スカバお手製の革の銅防具を着用した。

ピッタリだ。

着心地もバッチリ。

マオたちは支度を終えると、宿を出る。

街の至る所に、シルバーの甲冑がウロウロしている。


「やっぱり事件なのだな……!」


シーカの目はキラキラしている。

本当に事件なのかもしれない。

近くにいた、騎士団に事情を聞いてみる。


「忙しいところすまないが、何かあったのか?」


「君たち、スウォン様を見なかったか?」


「スウォン?誰だそりゃ?」


どこか聞いたことある名前。

わざわざ"様"を付けていることからお偉いさんなのだろう。

それにしても、カフラは失礼な返答だ。


「"スウォン・ロウィスク"。

ここ"ワルシャワ"を運営しているギルド、"イーグルシールド"のギルド長だったかな?」


そうだ、昨日お城の門番がそう言っていたような。

さすが、名探偵。

名前を覚えるのはアホの助手と違って得意のようだ。


「なんだ?そのギルド長がどうかしたのか?」


「それが、こんな夜中になっても城に帰ってきていないのだ。

勝手に街に出ることはよくあったのだが、いつも日が沈む頃には、城に戻っているのだが……」


「なるほど、城を出たのはいつ頃かな?」


「朝方だったかな……

スウォン様は自由なお方なのであまり把握しておらんのだが……」


「なるほど……

誘拐の線もありうるが……

街の他に行きそうなところとかあるか?」


「そ、そうだな……」


まさに、探偵による事情聴取だ。

城に戻らないギルド長。

誘拐の線もあるらしいがギルド長って強い人なんじゃないのか。

思い出すように上を向いている騎士。


「1つ、心当たりあるのがヴァヴェルの丘だ。」


「ヴァヴェルの丘!」


カフラが反応した。

まぁ、そうだろうな。

俺たちの目的地にギルド長がいるかもしれないのだから。


「ヴァヴェルの丘……

あそこには、凶悪なドラゴンが住み着いていると聞いたのだが。

なぜ、そこにギルド長が……?」


「ヴァヴェルの丘も我々"イーグルシールド"の管理している地域なのだが。

ドラゴンが住み着いたことにより、ここ"ワルシャワ"の危険度も上がり、旅の商人がめっきり少なくなったのだ。

ワルシャワは旅の商人の休息の場として栄えていたのだが、その来訪が減ったとなるとギルド存続の危機につながるのだ」


「なるほど、それを解決しようとヴァヴェルの丘に行ったと……」


「だったらよ!

俺たちがそのヴァヴェルの丘に行ってギルド長を探してくるぜ?」


「よ、良いのか?」


ドラゴン討伐に伝説の鉱物。

そして、ギルド長の捜索と次々とミッションを増やすカフラ。

効率主義と言えば聞こえは良いが、トラブルメーカーの方がしっくりくる。

まぁ、拒否してもどうせ、ヴァヴェルの丘には行くのだ。


「うん!ヴァヴェルの丘に行くついでだしね!」


「行方不明事件ならば、この名探偵"シーカ・ホームズ"も行かねばな!」


「ありがとう、恩に着る!

ここ"ワルシャワ"は、"グルー"と"プロイン"という敵対ギルドに挟まれているため、我々両翼騎士団は離れることができないのだ。

なので、非常に助かる」


「おうおう!俺たちに任せろ!!

よし!そうと決まればさっそく向かおうぜ!!」


「そうだな!カフラくん!」


事件を解決したい名探偵と事件を持ち込む助手。

なんとも良いコンビだ。

まぁ、巻き込まれているのだが。


「そうだ!スカバも行きたいって言ってたよね……?」


「はい!僕もお供します!!」


「うわぁ!びっくりしたぁ!」


突然、鼓膜が捉えた声に驚くマオ達。

振り返るとそこには、準備万端のスカバ。


「なんだ?いたのか?」


「外が騒がしいので、あなた達に知らせようと向かったらヴァヴェルの丘という言葉を聞いたので、準備してきました!!」


「なら話は早い!

そんじゃあ、ヴァヴェルの丘に向かうか!!」


「おー!!」


拳を上げ一致団結するマオパーティー。

伝説の鉱石を探すカフラ。

ギルド長、行方不明事件を追うシーカ。

何故かは知らないが同行したいスカバ。

そして、巻き込まれるマオ。

それぞれ、目的はバラバラ。

無事、全てのミッションを達成できるのか。

マオたちは凶悪なドラゴンが住み着くヴァヴェルの丘へと向かう……

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