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勇者を殺してください。  作者: コウタロス
アルビオン編
27/30

第27話「"Last Bastion"マオ・ノクス」

「【ヴァイキングスキルSaga.2(サガ・ツー):

|雷神の怒り、その身に宿す《トール・ボルト》】!!」


スキル詠唱後、ハラルに落ちる雷。

身体は帯電し、取り巻く空気はビリビリと電気を放つ。

まさに、雷神。

ハラルはスキル"尽きた命に再び灯を(フレイヤ・グレイス)"によってHP、MP共に全回復した。

ノルディによって蓄積された疲労やダメージはリセットされる。

地面を蹴り飛ばすハラル。

目標はもちろんマオ。


「はやっ……ウグッ!?」


腹部に強烈な衝撃。

それと共に、全身が切り裂かれるような痺れが襲う。

腹部を抑えるように身体を折り曲げるマオ。

ようやくハラルに気がつく、2体の幻獣。

ガラ空きの顔面にすかさず打ち込むもう一発。

マオはクリーンヒット。


「グハ……!!」


口の中に血の味が広がる。

身体は吹き飛び景色が回る。


「グルャァァァオ!!」


「シャアアア!」


ようやく反撃に出る2体の幻獣。

しかし、完全回復のハラル。

フェンリルの顎を掴み投げ飛ばす。

続いて、ヨルムンガンドの尻尾を掴み振り回した。

圧倒的なパワーに手も足も出ない。


「大丈夫か!?マオ!!」


カフラは瓦礫に埋もれるマオを救出。

顔はボロボロに腫れ上がっている。


「ってぇ……さすがに……強すぎるだろ……」


「速すぎるぜ……

側から見てても目で追えない

くそっ……!」


マオは立ち上がりゆっくりハラルに向かう。


「おい!マジで死んじまうぞ!!

一旦逃げようぜ!なぁ!」


「ノルディ……さんとの……約束なんだ……

逃げるわけには……」


ボロボロのマオ。

あまりの速さに戦闘に参加すらできないカフラ。


「若き戦士よ……

まだ、死んでくれるなよっ……!」


雷の如く接近するハラル。

満身創痍のマオは、ただ受け切るしかなかった。

雷鳴が鳴り響く。

ハラルの繰り出した一撃は、雷の如くマオの腹部を貫いた。

内側からバリバリと電気が走る。


「マオォ!!!」


カフラの叫び声。

焦りを含んだ声色からマオの状態が窺える。

ボタボタと垂れ落ちる血。

腹部が燃え上がるように熱い。

だんだんと身体の力がなくなる。


くそ……

力が入らない……

ごめん、ノルディさん……

ごめんな、父ちゃん……


勝負アリと確信したハラルは腕を引き抜く。

力無く膝から崩れ落ちるマオ。


「終わってしまった……若き戦士よ。

もっと後に出会っていれば違っていたのかもな……これも神が作り出した運命。

楽しかったぞ……」


ハラルは踵を返す。

終わってしまった幸福を噛み締めるように。


「マオ!!」


カフラの声が響き渡る。

その声色は絶望の色とは違いどこか希望の色を感じた。

ハラルの背後に感じる幸福の香り。

振り返るとそこには、終わったはずの幸せ。


「お前は……」


「俺は"|Last Bastionラスト・バスティオン"マオ・ノクス……

まだ、終わってないぞ……!」


「"|Last Bastionラスト・バスティオン"……

異名を二つ持っているのか……?

ふん!面白い!マオ・ノクス!!」


そこにいるのは瀕死のマオ。

しかし、その姿は全くの別人であった。

全身は燃え上がるように白いオーラを纏っており、額からは禍々しいツノが生え出ている。

カフラより受け継いだマントは力強く靡いている。

悍ましさすら覚えるその容姿は、まさに魔族(モンスター)


これは、父ちゃん……

父ちゃんの力だ……!!


ソイル・エルドより受け継いだ異名

"|Last Bastionラスト・バスティオン"。

その力は瀕死の時のみ発動可能。

いかなる攻撃のダメージを受け付けない、いわゆる無敵時間が付与される。

まさに、最後の砦。

効果時間は10分と制限付き。


心臓が燃えるように痛い……

これが、父ちゃんの力。

死なないって単純な能力、父ちゃんらしいや……


ハラルは攻撃を仕掛ける。

渾身の一撃はマオの顔面に直撃する。

しかし、手応えはない。

突如、ハラルの顔面に迫る拳。

マオのカウンターである。

完璧なタイミング。

攻撃直後のため、防御ができないハラル。

カウンターはクリーンヒット。

鼻からは戦士の勲章が流れる。


「ふん!

もっとだ!もっと楽しませろ!

マオ・ノクス!!」


ハラルはボディに攻撃を仕掛ける。

マオは身体で受け止めハラルの腕を掴む。

まるでハンマー投げのように身体を回転させ、

投げ飛ばす。

壁に激突するハラル。

すかさず、距離を詰めるマオ。

連続でパンチを繰り出す。


「グフッ!ガハッ!」


ハラルの顔面は左右上下に殴り飛ばされる。

カウンターを仕掛けるハラル。

怯まず前進する無敵のマオ。

一方的な攻撃が成立する。

殴り飛ばされるハラル。

壁に身体がめり込む。


「はぁ……はぁ……

面白い……マオ・ノクス……素晴らしい戦士だ……」


「もう、お前の攻撃は効かない。

降参してアルビオンは諦めろ!」


「俺は……ヴァイキングの戦士……

降参はあり得ない……

グッ……ガァ……」


突如、苦しみ出すハラル。

その手は心臓を抑えている。


「な、なんだ……これは……

皆の意思が……!!

くそっ……これは……俺の身体だ!!」


何かに抗うように苦しんでいる。

ハラルの異名"|Last Vikingラスト・ヴァイキング"は仲間のステータスの上乗せの他に、大事な要素を含んでいた。

それは、意思をも受け継ぐこと。

マオによってハラルが弱った今、溜め込んでいた800もの戦士の意思が身体を飲み込み始めていた。


アルビオンの壊滅。


それこそが戦士が成し遂げれなかった悔いであった。

ハラルは取り憑かれたように脱力する。

操作されるようにスキルを詠唱する。

終焉をもたらすスキルを。


「【ヴァイキングスキルSaga.1(サガ・ワン):

|神すら焼き払う終焉の灯火スルト・インフェルノヴァ】……」

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