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勇者を殺してください。  作者: コウタロス
アルビオン編
21/31

第21話「Last Viking」

———ノルディvsハラル


「うわぁぁ!」


「び、びっくりしたのだ……!」


頭を守るトスティと一点を見つめるシーカ。

視線の先にはハラルの斧。

ノルディを通り越し、物陰に隠れる2人の頭上に突き刺さる。

バリバリと雷が壁を伝う。

触れれば感電死。

死の恐怖から無理に身体を動かせない。

硬直する2人と対象に高速の戦闘が巻き起こる。


「やば——」


咄嗟に集めた影は無惨にも消え去ってしまった。

もはやノーガードと変わらない。

ハラルは豪快に腕を振り下ろす。

雷を纏った一撃は、

絶縁体である空気を強引に切り裂きノルディに迫る。 


———ビシャン!!


雷鳴と共に視界は白に染まる。


「ノルディ……!!」


技有りの一撃にシーカは身を案じる。

あまりのフラッシュにボヤける視界。

やけにノルディが黒く大きな物体に見える。

次第に視界は明瞭になる。

そこには、尻餅をつくノルディ。

そして、護るように纏わりつくヨルムンガンドの姿があった。


「あっぶね……

久しぶりに冷や汗かいたぜ……」


ヨルムンガンドを手すりに立ち上がる。


「ありがとな!ヨルムンガンド!」


鋼鉄のような鱗。

あまりにも頑丈にできた鱗は雷をも通さない。

落雷のような一撃は、

ヨルムンガンドのフィルターによってただのパンチと化した。

ハラルは反撃に備え距離を取る。


「雷をも通さぬ身体……

ふん!そうだったな!」


手持ち無沙汰なハラルは手を前に伸ばす。

掌を大きく広げる。

何かを呼ぶように。


「シ、シーカちゃん!斧が……!」


そこにはカタカタと揺れる斧。

深く入り込んだ壁から抜け出そうと、

もがいているようだった。


「あぶねっ!」


ノルディは身体を傾け躱わす。

突き刺さっていた壁から抜け出した斧が持ち主の元へ帰ったのだ。


「おいおい、投げたら帰ってくる斧なんて聞いたことねぇぞ!」


「ふん!

これが選ばれしヴァイキングの戦士のみが扱える斧、"スケイズ"の力だ!」


「選ばれし者ね……

盗み甲斐がありそうじゃねぇーか!」


ノルディは今思いついたように、ヨルムンガンドに耳打ちをする。

言語を理解できるかは不明だがフェンリル同様、頷く動作を見せる。


「よし!行くか!

【ファントムスタースキルHeist.2(ハイスト・ツー):影を結び、位を換える(シャドウ・スワップ)】!!」


ノルディがスキルを唱える。

それを合図として、ヨルムンガンドは身体を大きくうねらせ前進する。

ハラルはそれを阻止するように斧を高速で投げつける。


「ヨルムンガンド!お前はあとだ!」


ハラルにも何やら作戦が。

斧を投げつけると同時に地面を蹴り飛ばす。

目的はノルディ。


「だよな!そうくると思ったぜ!」


戦闘経験はヴァイキングの戦士には劣るが、元勇者パーティー。

駆け引きは、一枚上手のようだ。

ノルディは指をパチンッと鳴らすと目の前にはヨルムンガンド。


「な、なぜだ!」


速すぎるがあまり、殴り出した手は止められない。

拳はヨルムンガンドの胴体に見事命中する。

鋼鉄の鱗には若干の傷。

スキル"影を結び、位を換える(シャドウ・スワップ)"は対象の影と自身の影を入れ替えることが可能。

ただ、事前に対象の影と自身の影を重ね、

繋ぐことが必要である。


「こうなれば……まずはお前からだ!

ヨルムンガンド!!

前回同様、最強の矛"スケイズ"で沈めてやる!」


手を後ろに伸ばし、掌を広げる。

しかし、手放した斧の帰りが遅い。

たまらず、振り返る。


「探し物はこれかな?

俺は盗賊だぜ?

大事なものはしっかり持っておかないとな!」


そこには、今まさに影に飲み込まれている斧。

帰りが遅いのは盗賊による誘拐が原因であった。


「おのれ、こそドロが……!

俺の"スケイズ"を!!」


「あと、そうだ!

敵意剥き出しの獣に背中向けるのはやめておいた方がいいぜ!」


遠回しに警告するノルディ。

意味を理解したのか振り返るハラル。

しかし、もう手遅れ。

ヨルムンガンドの身体はすでにハラルを取り囲んでいる。


「な……くそ!!」


唯一の対抗武器、"スケイズ"も盗まれ、雷も効かない。

まさに絶体絶命。

とうとう、ハラルをがっしりと拘束する。


「シャアアァァ!!」


視界一面に広がる、ヨルムンガンドの口。

剥き出しの牙には、汚い液体が塗りたくられている。

そこから床に垂れると、たちまち煙が発生。

それが毒であることはすぐにわかった。

噛まれたら即猛毒死。

拘束され歯が顔まで迫った時、ヨルムンガンドの動きが止まる。


「ま、まじかよ……!!」


ヨルムンガンドの口を素手でこじ開けるハラル。

身体は明らかに肥大しており、拘束も徐々に解ける。

とうとう、拘束は解け、ヨルムンガンドは口を掴まれたまま強引に投げ飛ばされる。


「グルゥゥゥア!」


好機を逃すまいとすかさず、畳み掛けるフェンリル。

しかし、ハラルのパンチがクリーンヒットし身体は吹き飛ぶ。

数メートル先の家屋が崩壊する。


「ど、どうなってんだ?

完全に無力化しただろ?」


「ふん!

言っただろ?俺は"|Last Vikingラストヴァイキングハラル・シグルス"だ!」


「|Last Vikingラストヴァイキング……

ま、まさか!」


ノルディは何かを察した。

しかし、もう遅かった。

ハラルの異名の効果は今まさに発動していた。


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