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第3話「変化」

陽が低くなった頃、町に着いた。


いつもなら四人で町を見て回る。

だが今日は違った。


戦士は武器屋へ。

僧侶は地図屋へ。

勇者と魔法使いは道具屋へ。


誰も雑談をしない。


買い物が終わった勇者と魔法使いが歩いていると戦士が武器屋と言い合っている。


「この値段はぼったくりだろ!足元見てるのか?」


戦士の詰め寄りに、店主も意地を張り睨みあう。


勇者が引き離し事なきを得る。


「余計なことを!」


拳を握る戦士。


(あそこまで怒りっぽかったっけ?)


魔法使いは首を傾げた。


夜。

宿の部屋で作戦会議を始めた。


「このまま真っ直ぐ山沿いに進んで、魔王城に突撃しようぜ!」


興奮気味で戦士が言う。


「崖沿いを通ることになる。モンスターが来たら危険だから迂回して確実に…」


窓の外を見ながら勇者が話す。

魔王城に近づいているためか、月が紅く気味が悪い、


「日和ってんのか?!善は急げだろ?

 お前らにはわからねえよ。

 迷ってる間に死ぬ奴もいるんだ。

 俺は二度と見たくねえ!」


勇者に近づく戦士。

顔が近い。


「冷静になれ…確実に行こう」


至近距離で目を合わせる二人。


「俺は冷静だ!」


目が血走る。

戦士は、勇者の頬を殴る。


場が凍りつく。


魔法使いの瞳が色を失う。


僧侶は口を押さえる。


勇者は、声も出さずに目を伏せる。


「なんだよ。俺が悪いのかよ!」


戦士は一瞬だけ目を見開いた。


自分の拳を見た。


「俺は早く魔王を倒したいだけだろ…」


それぞれ、ベッドに入る。


「まあ落ち着いてね、勇者と頑張ろう…」


小さな声で魔法使いが言う。


「どうせ勇者の味方するんだろ?いらないからそう言うの!」


歯を食いしばる魔法使い。


三人が寝たころ。


戦士は眠れない。


弟が遠くに行く夢。


孤独な日々を思い出す。


勇者の寝顔を見る。


(お前は恵まれてるよな)


荷物をいじり始める戦士。


朝日が差す部屋。


戦士のベッドは空になっていた。


「平和になったら、レスリング王者になるんだ」


戦士は何度もそう言っていた。

朝早く起きて腕立て伏せをしていた姿が脳裏によぎる。


部屋は静かだった。


勇者は俯く。


戦士とにらみ合った時の鋭い目つき。


拳の硬さが記憶に蘇る。


しばらく立ち尽くしていた。


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