戦国時代ー名もなき男、五助のメモ
戦国時代、ある村に五助という男がおりました。
五助は無学なので、読み書きができませんでした。なので、五助は自分だけが分かる記号のような文字を生み出しました。そして、折にふれ、料理のメモや草花のメモを絵付きで書き記していました。しかし、五助は壊滅的に絵も下手でした。だから、ほかの人が見ればその絵はこの世に存在しないものにしか見えません。
ある時、五助は寺の和尚様の法話を聞きに寺へ行ったとき、うっかり、そのメモを忘れてしまいました。
和尚は仕方ないのう。まあ、置いとけばそのうち、取りに来るじゃろ。そう言って、そのメモはその寺に保管されましたが、五助はメモを寺に忘れたことを気づくことなく、間もなく世を去りました。
何年も経って、そのメモを発見したのは前野良沢くんと杉田玄白くんでした。ターヘル・アナトミアの翻訳まで成し遂げた彼らでしたが、その二人をもってしてもそのメモは解読することはできませんでした。
おわり
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