23 甘奈志友と天沢シュナ 3/3
シュナちゃんのイベントで無事に戦利品をゲットできた俺たちは、その足でゴンチャへ向かった。
志友がタピオカが飲みたいというので、俺も同じやつを買って席でたべっている。
「ん〜! やっぱりタピオカは美味しいです! 甘いものは至高ですね!」
そう言いながらゴクゴクとタピオカを飲む志友。
俺はタピオカを飲む前にシュナちゃんのアクキーをタピオカに立てかけて写真を撮った。
「……せんぱい、何してるんです?」
「何って……シュナ活だよ。今、オタクたちで流行ってるんだよ。アクキーとかぬいぐるみと一緒にご飯を撮るの」
志友はふうん、という感じでまたタピオカを夢中に飲む。シュナ活、楽しいから志友もやればいいのに。
「そういえばさ……俺、思ったんだけど」
シュナ活が終わり、俺もタピオカを飲む。その最中、ふと思ったことを言った。
「? なんですか?」
「志友の声ってシュナちゃんに似てるよな」
「……っ!」
志友は目を見開いた。
「……? どうしたんだ?」
彼女はタピオカを飲むのをやめる。
そして俺の方へ前傾姿勢になって口を開く。
「あの……! せんぱい、私実は……!」
しかしその後の言葉は紡がれなかった。
「……なんでもない、です」
そして再び志友はタピオカを飲む。
俺は志友の挙動を不思議に思ったが、きっと何かしらを言わない選択をしたんだろう。俺は志友の選択を尊重する。
「……言いたくなったらいつでも話聞くからな」
「はい……」
志友はしおらしく頷いた。
☆
甘奈志友が天沢シュナになる瞬間。
それは私がパソコンの電源をつけた時。
「ただいま〜」
私は家に帰ってすぐに自室へ向かった。
いつもならすぐに配信するところだったが、今日はそのままベットにタイブする。
(……せんぱい、今日もかっこよかったな)
私は今日の出来事を思い出す。
大好きなせんぱいの一日を独り占めしてしまった。
「〜〜〜〜〜!」
私はベットの上でジタバタする。
何度考えても幸せな時間だった。
お別れする時なんて、嫌すぎて小一時間駄々を捏ねた。
その時のせんぱいの困った顔も可愛かったから罪な男だ。
「……せんぱい、彼氏になってくれないかなぁ」
忌まわしき女、花咲先輩。泥棒猫。
どうして付き合うことになったのかは知らないが、私の一番大切な人を奪ったことには変わりない。明確に敵だ。
(でも、花咲先輩、愛想良いし努力家でかわいいし。見た目に胡座をかかないあたり、人としてレベルが高いのは認めざるを得ないんだよな……)
そう思うと一気に悔しい気持ちが込み上がる。
こうしちゃいられないと思い、私はベットから起き上がった。
(嫉妬する暇があったら配信っ……! こうしてウダウダするのも花咲先輩の思惑かもしれないし!)
私はゲーミングチェアに座って配信を始めた。
『こんシュナ〜! みんな起きてる? あ、結構起きてるね。遅寝すぎない? って、私も人のこと言えないか笑』
せんぱい。今日も観てますか。
『よーし、今晩は雑談配信でもしようかな。えーっとなになに? 今日シュナちゃんめっちゃ機嫌良くない……って、わかる〜? 今日実は遊んできたの! 何して、って、タピオカ飲んだの〜! いいでしょ〜』
するとひとつのコメントが目にとまる。
@海斗『俺もタピオカ飲んだ! 美味しいよね!』
(せんぱい、最近コメントたくさんしてくれるな)
直近の配信モチベはせんぱいのコメントだ。
ファンのみんな、不純な動機でごめんね。
せんぱい、私もっともっと頑張るから見てて。
花咲先輩の方が努力家でかわいいかもしれないけど、天沢シュナでいる間は私のことだけ考えててください。
(せんぱい、今日も大好き)




