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アベルの償い
王都の地下牢。
鉄格子の向こうで、アベルは静かに本を読んでいた。
かつて世界を支配しようとした男とは思えないほど穏やかな時間だった。
ある日、牢の前に一人の少女が立つ。
さくらだった。
「元気?」
アベルは苦笑する。
「牢屋の人間に聞くことか?」
「一応ね。」
二人は少し笑った。
沈黙のあと、アベルが口を開く。
「……毎日考えている。奪った命のことを。」
「苦しい?」
「苦しい。忘れることはないだろう。」
さくらは静かに頷いた。
「忘れなくていい。その痛みがあるから、償えるんだと思う。」
アベルは窓から差し込む光を見つめる。
「もし許される日が来るなら。その時は、今度こそ人を救うために生きたい。」
さくらは微笑んだ。
「待ってる。」
その言葉に、アベルは小さく笑った。
「ああ。今度は間違えない。」




