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炎の奇跡(タイトル仮)  作者: 瑠夏
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受け継がれる想い

ガァァァン!!

ネロとアベルの剣が激しくぶつかり合う。

衝撃で心臓部全体が揺れ、黒い結晶が砕け散る。

「さくら!」

ネロが叫ぶ。

「今だ! 行け!」

「でも……!」

「振り向くな!」

ネロはアベルの一撃を受け止めながら叫んだ。

「私たちを信じろ!」

さくらは唇を噛み締める。

「……分かった!」

「カイン!」

「こちらです!」


二人は心臓部の奥へ走り出した。

「逃がすか!」

アベルが黒い結晶を無数に放つ。

ネロは魔法陣を展開し、その前へ立ちはだかる。

「お前の相手は私だ。」

「どけ、ネロ!」

「断る。」

ネロは静かに剣を構えた。

「私はもう、お前から逃げない。」

アベルは怒りに任せて斬りかかる。

だが、ネロも一歩も引かなかった。

その頃、さくらとカインは細い通路を駆け抜けていた。

「この先です!」

カインが先導する。

壁の向こうからは、巨大な魔力が脈打つ音が響いていた。

ドクン……。

ドクン……。

しかし、その時。

通路の前方に黒い結晶が集まり、一体の巨大な結晶兵が姿を現した。


「最後の守護兵……!」

カインは剣を抜く。

「さくら、先へ!」

「でも!」

「ここは私が引き受けます。」

「一人じゃ!」

カインは静かに笑った。

「忘れましたか?私は黒影最強の剣士です。」

その表情には、いつもの冷静さが戻っていた。

「ネロ様はあなたを信じています。だから私も信じます。必ず、ゼノスを止めてください。」

さくらは迷った。

だが、その瞳を見て決意する。

「……絶対、生きて戻ってきて。」

「ええ。」

カインは短く頷いた。

「約束します。」

さくらは通路の奥へ駆け出した。

その背中を見届けると、カインはゆっくりと剣を構える。

「さて。あなたが最後の壁ですか。」

結晶兵が咆哮を上げる。

カインは静かに息を吐いた。

「悪いですが、急いでいるんです。」

次の瞬間、黒い影のような速さで飛び出した。


通路の最奥。

さくらは巨大な空洞へたどり着く。

そこには、ゼノスの中心となる巨大な深紅の魔核石が浮かんでいた。

「これが……本当の心臓。」

始原の炎が自然と揺らめく。

まるで魔核石に反応しているようだった。

「あと少し……。」

さくらが一歩踏み出した、その瞬間。

「よく来たな。」

聞き覚えのある声が響く。

「えっ?」

魔核石の前に、一人の人物が立っていた。


灰色のローブ。

黒い仮面。

「アベル!?」

しかし、心臓部では今もネロがアベルと戦っているはずだった。

目の前のアベルは、ゆっくりと仮面を外す。

その顔には、不気味な笑みが浮かんでいた。

「驚いたか。」

「私は一人ではない。」

その瞬間、周囲の魔法陣が輝き、三人のアベルが姿を現す。

「これは……分身!?」

「違う。」

三人のアベルが同時に口を開く。

「これが、ゼノスと融合した私の力だ。」

「ここから先へは、一歩も通さない。」

さくらは紅蓮を構えた。


ネロもカインもいない。

最後の試練は、さくら一人に託された。

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