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炎の奇跡(タイトル仮)  作者: 瑠夏
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信念の剣

ガキィィン!!

炎をまとった紅蓮と、漆黒の長剣が激しくぶつかり合う。

衝撃で石畳が砕け、周囲の兵士たちは思わず距離を取った。


「はあっ!」

さくらは炎をまとわせた連撃を繰り出す。

しかし、カインは冷静だった。

最小限の動きで剣をさばき、一撃一撃を受け流していく。

(やっぱり強い……!)

神殿で戦った時より剣は鋭くなっている。

それでも、まだ届かない。

「前より良くなっている。」

カインが静かに言った。

「え……?」

「剣が迷わなくなった。」

敵に褒められるとは思ってもいなかった。


その一瞬の隙を、カインは見逃さない。

ガンッ!

「くっ!」

剣の柄で肩を打たれ、さくらは後ろへ跳ぶ。

「戦いの最中に気を緩めるな。」

「……!」

その言葉は叱責というより、教えのように聞こえた。


一方、王都の中央広場。

ガレス率いる騎士団は黒影の団員たちを押し返していた。

「あと少しだ! 踏み込め!」

その時、一人の兵士が駆け込んでくる。

「団長!」

「どうした!」

「東門で、神山さくらさんがカインと交戦しています!」

ガレスの表情が変わる。

「カインだと……。」

「援護へ向かいますか!」

「いや。」

ガレスは静かに首を振る。

「今のさくらに必要なのは、自分一人で強敵と向き合う経験だ。」

そう言いながらも、その拳は強く握られていた。


東門。

戦いはさらに激しさを増していた。

「紅蓮・炎牙!」

さくらが炎の斬撃を放つ。

カインは剣で受け止めるが、衝撃で初めて一歩後ろへ下がった。

「……。」

仮面の奥の目が、わずかに細くなる。

「少しは届いた?」

さくらは息を切らしながら笑う。

「努力は無駄ではないようだ。」

カインは静かに剣を構え直した。

「ならば、こちらも少しだけ本気を出そう。」


次の瞬間。

カインの周囲に淡い青白い魔力が立ち上る。

「魔力を……剣に?」

さくらが驚く。

これまでカインは剣技だけで戦っていた。

しかし今、その剣は青白い光をまとっている。

「これが……。」

リーファルが息をのむ。

「剣魔術……!」

カインは一歩踏み出した。

その動きは先ほどまでとは比べものにならないほど速い。

ギィン!!

さくらは辛うじて防ぐ。

だが、次の瞬間には二撃目、三撃目が襲いかかる。

「速すぎる……!」

防ぐだけで精一杯だった。


その頃、王都の城壁の上。

ネロは静かに戦いを見下ろしていた。

「ネロ様。」

部下が近づく。

「このままではカインが勝ちます。」

「ああ。」

「でしたら、さくらを連れて戻りますか?」

ネロはゆっくり首を振る。

「まだだ。」

「?」

「カインは試している。」

ネロは小さく微笑む。

「彼女が、始原の炎に選ばれた理由を。」


東門。

さくらは膝をつき、荒い息を繰り返す。

対するカインは、ほとんど息一つ乱していない。

それでも彼は剣を下ろさなかった。

「立て。」

「……。」

「お前は、まだ終わっていない。」

その言葉を聞いたさくらは、ゆっくりと立ち上がる。

炎剣・紅蓮を握る手に、再び力がこもる。

「そうだね。」

さくらは真っ直ぐカインを見つめた。

「私は、こんなところで負けるわけにはいかない。」

その瞳に宿る炎を見たカインは、ほんのわずかに口元を緩めた。

「その目だ。」

静かな声が響く。

「ようやく、戦う者の目になった。」

次の瞬間、二人は同時に地面を蹴った。

王都の運命を左右する激突は、なおも続いていく。

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