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炎の奇跡(タイトル仮)  作者: 瑠夏
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禁書に記された真実

黒影のアジト。

ネロは禁書を机の上へ置き、静かにページをめくっていた。


カインは少し離れた場所で黙って待っている。

長い沈黙の末、ネロが口を開いた。


「……やはり王国は、歴史を書き換えていた。」

「何が書かれていたのですか。」

ネロは禁書の一節をカインへ見せる。

そこには、数百年前の出来事が記されていた。


『始原の炎は人々を守るために生まれた力である。』

『だが、その力は王家の命令に逆らうことはできなかった。』

『歴代の王は、始原の炎の継承者を王国の剣として利用し続けた。』


カインは静かに目を細める。

「利用……。」

「英雄などではなかった。」

ネロは苦々しく笑う。

「王国は始原の炎を"希望"と語りながら、実際は都合のいい兵器として扱ってきた。」


さらにページをめくる。

そこには、消されかけた文章が残っていた。

『継承者が王命を拒んだ時、その存在は封印される。』

「封印……。」

カインが呟く。

「神殿で封印されていた理由ですね。」

「ああ。」

ネロは静かに本を閉じた。

「歴代の継承者は自由ではなかった。」

「……。」

「だから私は、この力を王国から解放する。」

その瞳に宿る決意は揺るがない。


一方、王城ではさくらが訓練場で一人、剣を振っていた。

カインとの実力差が頭から離れない。

「まだ……足りない。」


炎をまとわせた斬撃を繰り返す。

しかし、どれもカインには届かなかった。

「焦っても仕方ない。」

ガレスが歩み寄る。

「団長。」

「強くなるには、力だけではない。」

「え?」

「カインの剣を思い出してみろ。」

さくらは目を閉じる。

速さ。

正確さ。

そして無駄のない動き。

「……一度も無理な攻撃をしていませんでした。」

「その通りだ。」

ガレスは頷く。

「奴は力任せではない。相手を見極め、最小限の動きで戦っていた。」

「だから私の攻撃は全部読まれて……。」

「炎の力に頼るだけでは勝てない。」

ガレスは木剣を手に取る。

「今日から私が剣を教える。」

「お願いします!」

さくらは深く頭を下げた。


その頃。

黒影のアジトでは、ネロが幹部たちを集めていた。

カインのほか、三人の幹部が円卓を囲む。

「禁書で真実は確認できた。」

ネロは静かに言う。

「計画は最終段階へ移る。」


部屋の空気が張り詰める。

「王国が隠した歴史を、世界へ明らかにする。」

カインは黙って頷く。

「そのために必要なのは一つ。」

ネロは窓の外に浮かぶ満月を見上げた。


「始原の炎の継承者――神山さくらだ。」

静かな夜の中、新たな戦いの幕がゆっくりと上がろうとしていた。

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