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炎の奇跡(タイトル仮)  作者: 瑠夏
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王国の罪

封印の神殿から帰還したさくらたちは、そのまま王城へ向かった。


神殿で起きた出来事を聞いた国王や騎士団幹部たちは、重苦しい空気に包まれる。

ガレスはネロとの会話を報告した。

「奴は『王国が多くの命を踏みにじってきた』と言っていました。」

会議室は静まり返る。

国王はしばらく目を閉じたまま何も言わない。

その様子を見たさくらは違和感を覚えた。

(否定しない……?)


「陛下。」

ガレスが静かに尋ねる。

「ネロの言葉に、心当たりがあるのですか。」

国王はゆっくりと立ち上がった。

「……ある。」

その一言に全員が息をのむ。

「ただし、その真実を知る資格がある者は限られている。」

「どういうことですか。」

さくらが思わず問いかける。

国王はさくらを見つめた。

「さくら。お前は始原の炎に選ばれた。」

「……。」

「ならば、知る時が来たのかもしれない。」


国王は一行を王城の地下へ案内した。

幾重もの扉を抜けた先には、小さな石造りの部屋があった。

中央には古びた祭壇。

その上には、一冊の分厚い書物が置かれている。

「これは……?」

「王家だけに伝わる歴史書だ。」

国王はゆっくりと本を開いた。


そこには数百年前の出来事が記されていた。

『魔物との大戦。』

『始原の炎を宿す戦士による勝利。』

そして、その次のページをめくった瞬間。

さくらは目を見開いた。

「えっ……。」

そこにはこう書かれていた。

『始原の炎を宿す者は、王国によって封印された。』

「封印された……?」

リーファルも驚きを隠せない。

「始原の炎は世界を救った英雄では……。」

国王は苦しそうに目を伏せた。

「記録はそこで終わっている。」

「どういうことですか!」

さくらは声を上げた。

「世界を救った人を、どうして封印なんて……!」

「分からぬ。」

国王は首を横に振る。

「王家にも理由は伝わっていない。ただ、その事実だけが受け継がれてきた。」

ガレスは拳を握る。

「だからネロは、王国が真実を隠していると言ったのか……。」


その時だった。

ドォォォン!!

王城全体を揺るがす爆発音が響く。

「敵襲です!」

兵士が扉を開け、飛び込んできた。

「黒影が王都へ侵入! 東門が突破されました!」

「何!」

ガレスはすぐに剣を抜く。

「全軍出撃!」

兵士が続ける。

「ですが……ネロ・ヴァイスの姿は確認できません!」

「ネロがいない?」

嫌な予感がさくらの胸をよぎる。

ネロほどの人物が、自ら姿を見せない理由は一つしかない。

「陽動……。」

リーファルがつぶやく。

「本当の狙いは別にある!」


その頃――

王城の最上階。

誰にも気付かれることなく、一人の黒い影が静かに歩いていた。

銀色の仮面をつけた青年。

黒影第一席――カイン。

「……。」

彼の前には、王家しか入ることのできない『禁書庫』の扉があった。

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