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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第二章 魔王軍襲来

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第57話 二つ目の作品、フルーゲ

 ノア工房前の庭園でシートを広げてサンドイッチを食べるノアたち。側でマリアゴーレムがリリアナ王女やヘンリーと楽しく遊んでいる。


「今日は天気もいいし、虹も出て気持ちいですね!」


 美味しくむしゃむしゃ食べるノアの横で虹を生み出した張本人リリカは色々考えながら、少し距離を保って立ったまま動かない自分のゴーレムを眺めている。


「なんか、怖いわね……」


 国王たちが王室へ戻るのを見送った後、ミラ王女が詰め寄ってきた。


「ノア! マリア! ゴーレムのことをもっと説明して!」


「は、はい。あの……そうはいっても恐らくミラ王女は既にゴーレムについて理解されていると思いますが……」


 マリアの冷静な返答に一旦落ち着いて考える。


「要するに、マナを送った本人のマナの特徴を読み取って姿形だけでなく、能力も変わるって事でいいの?」


「はい。さすがです!」


 可愛い笑顔のマリアを見てホッとする。頼むからノアのようにならないでくれ。


「このゴーレムは一度マナを流したらマナがなくなるまでこの状態なの?」


「いえ、ちゃんといつでも元に戻せますよ」


「え! マリア! 教えてちょうだい。どうすればいいの?」


 リリカが前のめりになってマリアに迫る。


「リ、リンクを切ってその後ゴーレムのマナを吸収すれば元に戻りますよ」


 リリカが早速指示通りやってみる。


「あ……ほんとだ」


 元の小さなハイソイラのブロックになって掌にのっかった。


「ノア、このゴーレムは今何体あるの?」


「2体だけですね。ゴーレムをゼロから全て工房で製作するのは不可能で、どうしてもS級ダンジョンにいるハイソイラゴーレムを捕らえないと造れなくて」


「なるほど。ノアはこれを誰に持たせるつもりだったの?」


 ミラ王女の質問に少し悩みながら答える。


「まず、操作できるのはロイ家の4人とミラ王女、リリアナ王女、マリアの7人ですね。魔族が攻めてくることを想定するなら、僕はミラ王女、リリアナ王女の二人が適任かと思います」



 ノアが言うにはゴーレム操作をしながら同時に本人も魔族と戦うという器用なことができるのは恐らくロイとノアとリリカの3人だが、その際に数的に戦力は増えてもゴーレムに多少気を配るためどうしても術者本人の戦力が落ちてしまう。

 それならば、王宮にいて守りを固めながら最初はゴーレムで無双してもらう方が有効だということだった。


「俺はノアの意見に賛成だな。リリカはともかく、俺は剣を用いて戦うスタイルだからできれば自分自身に集中したい」


 ロイの言葉にリリカも頷く。


「私も慣れないゴーレムの操作よりは今の自分の力を発揮させる方がいい気がしたわ。自分の想像を超える威力で魔土術を放たれるとびっくりするのよ」


 リリカの言葉を聞いてミラ王女も納得する。


「それでは私と……リリアナでやるしかないわね……リリアナ。できそう?」


 マリアゴーレムと戯れていたリリアナ王女がピクッと反応してこちらを振り向く。



「私が操作した場合の魔土術のコントロールなのですが……自身はあまりなくて」


 リリアナ王女はこの一年でかなり成長していた。風魔土術も威力を調整できるようになったし、メンタルもかなり鍛えられた。ノア先生によるダンジョン実習がリリアナ王女を強くした。


「リリアナに……やらせてみる?」


 ティアの一言、それは誰もが怖くて言い出せなかった言葉だ。 


「う〜ん……ではこうしましょう! 後日改めてリリアナのゴーレム操作をガイアの大地で行う。その際の同行メンバーはリリカ、私、ノア、ティアの合計5人です。このメンバーなら、たとえガイアの大地が吹き飛ばされても生きていられるでしょう!」


 ミラ王女の意見に誰も反論しなかった。最低限必要なメンバーだった。


「どうやって移動しようかしら。ガイアの大地の表面は中級魔土ソイラ低級魔土ローソイラで構成されているからノアのテレポートは使えないわ」


 リリカの言葉にノアが不敵な笑みを浮かべている。



「フッフッフ。母さん、大丈夫だよ。僕に任せて」




 * * *



 数日後、ミラ王女たちはノアの指示で王宮の庭園に集まっていた。工房からマリアが出てきた。


「おはようマリア、朝から工房にきていたのね!」


「おはようございます! ミラ王女。みなさん。昨日は工房に泊まっていました! もうここが楽しくて。一生ノア工房で働きたいです」


「そ、そう。まぁ、あまりあの子のよくない部分が伝染らない事を祈るわ。マリアはマリアでいてね」


 母親リリカのリアルな感情に戸惑うマリア。そしてノアも遅れて工房から出てくる。全員がノアの額に装着されたゴーグルに目がいく。


「ちょっと、お兄ちゃんそれ何! ティアも欲しい!」


「一応全員分あるよ。必要な人は付けてください。強制ではありません」


 皆、使ったことがないゴーグルをただのメガネと思っている。ティアとリリアナ王女は楽しそうに装着している。


「それじゃあ、マリア。あれを出そうか!」


「それでは皆さん、ご注目ください! ノア工房注目の第二作品……【フルーゲ】です!」


(……ついに作品となってしまったか)


 呆れるミラ王女たちの前に出てきたのは白くて丸いお餅の様なフォルムの物体だった。


「「「…………何これ?」」」


 全員が期待を裏切られた様な顔をしている。が、ノアとマリアは一切気にしていない。


「あぁ、この美しい曲面! このフォルムをハイソイラで実現するのが本当に難しかったんですよね、ノアさん!」


 マリアがフルーゲに頬をスリスリしながら満足げに話し始める。


「うん。本当に大変だったね……こいつが完成するまでに、それはもうとんでもない努力と苦労が……」


「それはいいからこの何とかってものが何かを教えなさいよ」


 ミラ王女がズバッと話を元に戻す。メガネをクイッとあげて、マリアが得意げに説明を始めた。


「何と、このフルーゲは最大5人の乗り物なのです。小型ですから少々狭いとは思いますが」


「えぇ! 本当に? 馬車みたいに動いてくれるの?」


 リリカも驚いている。ティアとリリアナ王女はワクワクしているようだ。



 確かに中央部分がくり抜かれて、ドーナツ状にベンチシートが設置されている。一箇所操縦車の席であろう、色々なスイッチやレバーが集まっている。


「ここは操縦者の僕が座ります。皆さんはそれ以外の場所に適当に座ってください。あとは移動しながら説明しますね」



 ノアが操縦席に乗ってゴーグルをしっかり装着する。その両サイドにティアとリリアナ王女が楽しげに、更に不安げなリリカとミラ王女も渋々シートに座って、いよいよフルーゲが動き出す。



「それではフルーゲ、初の起動。お願いします!」



「ん? マリア、初ってどういうこと? ……ノア、まさか試運転とかしていないの!」



 ブオォー!!!



 スイッチオン! お餅の底面からものすごい勢いの風が吹き出て機体が宙に浮き上がる。


「え? 何これ! すごい!」


 喜ぶティアと既に泣きそうなリリカとミラ王女。庭園の緑から1メートルほど浮き上がったところでノアがレバーをグッと強く引く。それに反応するようにフルーゲが前進し始めて一気に加速する。


「うわ〜動いたわ! すごい! 前進しているわ!」


 リリアナ王女が感動しているが目の前に王宮の高い塀が進路を塞いでいる。



「ノア! 前は壁よ! 左右に避けて! いやむしろ私を下ろして〜」


 悲鳴をあげるリリカとミラ王女。スリルを楽しむティアとリリアナ王女の様々な期待を背負い、ノアが塀の手間で別のレバーをグッと後方に引っ張る!


「いっけ〜! これが人族初の……空中飛行だ!」



 フルーゲの機体が王宮の塀をかわすように大きく弧を描いて上昇する。



「「「と、飛んだ〜!!!」」」





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