昼食
「さてと、食べ終わったことだし。本題に入りましょ。」
みんなが食べ終わった事を確認した赤ちゃんが集まった理由を話しだした。
「みんな知っている通りそろそろあれが解禁される。今日はその事について話し合おうと思って集まってもらった。」
「あのーすみません。あれってなんの事なんでしょうか?」
三郷が申し訳なさそうに聞いて来た。
「編入生ちゃんは何も聞かされずに誘われたんだっけ?」
「はい、後私の事は編入生ちゃんではなく、名前で読んでくれて構いません。」
皆に対してそう言った。三郷であったがここで問題が発生した。
「ごめん。僕、君の名前知らない。」
奇貨は真顔で言った。
「アンタねぇ、仮にも昨日傷を負わせた子なんだから。名前くらい覚えてあげなさいよ。」
「昨日の朝会に自己紹介してたでしょ。」と美歌に続いて赤ちゃんにも言われた奇貨であったが、
「いや、昨日は模擬戦以外寝てたから。覚えてない。」
「アンタねぇ・・・。」
呆れる赤ちゃん。他の人も三者三様のリアクションはしているものの、全員呆れはしていた。
「まぁいいわ。奇貨に合わして私達も自己紹介しましょうか。和歌もそれでいい?」
「はい、私も構いません。」
赤ちゃんがちゃっかり自分は覚えてますよと、言わんばかりに三郷の名前を言って確認を取った。皆異論は無さそうだ。
「じゃあ、言い出しっぺの赤ちゃんからどうぞ。」
「元はと言えば、朝会で寝てたアンタの性なんだからね。」と言いながら自己紹介を始める赤ちゃんであった。
「安藤 赫、クラスでは不本意ながら委員長をやらされてるわ。さっき言ってた通りこの話し方はコイツのせいだから気にしないで、別にオカマでもないからね。」
「でも、美少年はいけるよね。赤ちゃんなんでだろ?」
自分はノーマルだと言った側からそれにツッコミを入れる元凶の奇貨であった。
「・・・・・・次、美歌お願い。」
「・・・・分かった。」
えっ無視!と抗議する。奇貨の声が聞こえないかの様に皆はスローした。
「冥土 美歌、コイツらとは幼馴染よ。保健委員してるから。怪我したり、されたりしたら言ってね。治療と御礼参りくらいは付き合うから。」
ある方向確実に三郷ではない所を睨みながら言い切った。
「うわわ。赤ちゃん。鬼神がこっちを睨みながら物騒なこと言ってるよ。」
「いや、アタシも含めないでよ。確実にアンタの事しか見てないでしょ。」
「えっこわ〜い」とか言いながら顔は笑っていた。
「でも〜僕だけじゃなくて、赤ちゃんも見てると思うな〜。だって、赤ちゃんは美歌ちゃんの初恋の相手でボッコボコに振られたんだし。」
「・・・・・・・・・次、咲夜お願い。」
「・・・・・了解。」
「あれあれ〜また無視ですか〜」と腹立つ言い方の奇貨を爆弾発言とともにスルーする一同、三郷なんて次々明かされるほぼほぼ初対面の人達の秘密に困惑を突っ切って迷走しまくっていた。
「花影 咲夜。こん中じゃ、一番の新入りだから。何か困った事があれば助かるから宜しく。後、このグループに誘われたのは人生一番の不運だと思ってた方がいいよ。私はそれで乗り切った。大丈夫。1週間もすれば慣れるから。」
「今が困った時なんですが。」と言う助けを求める声をまるで聞こえていないかの如く受け流し、目だけが大丈夫。すぐ慣れるさ。という慈愛と悟りを開いた様な諦めの極致の表情をしていた。
「あっ!編入生ちゃん気をつけた方が良いよ。咲夜ちゃんはうちで一番の同性愛者だから。きっと同族を装うって編入生ちゃんを食べちゃう(性的)つもりだよ。」
がおーと肉食獣の真似をしながら言う奇貨の助言に初めて従い咲夜から距離を取る三郷であった。
一方距離を取られた咲夜は悲しそうな表情を少し見せたが、それでは三郷の警戒は取れないと見ると、奇貨に対して猟りを邪魔された獣の如くの形相で奇貨を睨んでいた。割とガチで三郷を食べるつもりだったらしい。
この時また初めて奇貨に感謝した。
「・・・・・・・・・色々あったけど、次、奇貨。」
「お〜やっと僕?また待った時が来たね!張り切って紹介しちゃうよ〜!」
無駄にテンションが高くなって奇貨は紹介を始めた。
「じゃあ、まず名前だけど、金銀 奇貨だよ。宜しくね。」
「コイツは相手が男でも女でもいける。バイだから。気をつけた方がいいぞ。」
横やりを入る赤ちゃん。
「好きなものはゲームと甘いもの。好きなことは寝ること。だから、それしてる時は邪魔しないでね。」
「昔、それを邪魔した奴含めたそこら辺にいる無関係な人達を病院送りにしてた死ね。」
横やりを入れる美歌。(しねは誤字ではありません。)
「特技は他の人より物知りなことだから。何か知りたくなったら、言ってね。友達になるんだし、サービスするよ。」
「この悪魔はマジでなんでも知っているから。気をつけた方が良いよ。それで何人もの人を脅してるから。」
横やりを入れる咲夜。
「もう、皆どうしてそんなに邪魔するのさ。ほら見てよ。屋上の端で今にも食べられそうになる小鹿の如く震えている編入生ちゃんを。」
奇貨が指差す方向には確かに震える三郷がいた。付け加えるとしたら、何かぶつぶつと、入るグループを間違えたや類友など聞こえた気がしたが、皆聞こえたかったことにしたが、
心の中では、(((コイツと同じ扱いは心外だ。)))と言っていた。
「ほらほら、やっと編入生ちゃんの番なんだから。そんな所にいないで、こっちで自己紹介しましょうね〜。」
奇貨はまるで我が儘言う赤子宥める様に三郷を引き摺りながら言った。
三郷は言うと、ペットにあげられる生き餌の如く足掻いていたが、ボロボロの体では意味はなく、皆な場所に戻されていた。
「え、えーと、三郷 和歌と言います。こ、これからよ、よろ、宜しく、お、お、おね、おねがが、お願い、し、します。」
4人の中心に運ばれた和歌は、死刑宣告された罪人如く震えに震え、カミカミの自己紹介をした。
正直に言うと今すぐここを抜け出して、他のグループに入りたいその思いでいっぱいであったが、そんなことしようものなら、次の瞬間、あらゆることをされる自分を幻視していた。
この瞬間、和歌は後悔していた。
何故自分はここに来てしまったのか。何故笑顔で話しかけてくる美歌と咲夜に疑いもしなかったのか。何故屋上に行く道中すれ違う人が全員屠殺される家畜を見る様な目をしていたのかを疑問に思わなかった。
和歌は自分の愚かさを呪った。
「和歌ちゃんって、A型なんだ。」
携帯をいつのまにか使っている奇貨がまだ教えてない自分の血液型を言ったことに戦慄しながら次の言葉でさらに戦慄した。
「和歌ちゃん、愛人の子なんだ。母親は・・・アリアさんって言う外国人か〜全然お母さんに似なかったんだね。」
和歌は自分が愛人の子なのは知っていた。でも両親は自分達の隔たりなく愛情を注いで育ててくれた。なので、その事がバレたのはどうでもいい。いや、どうでも良くはないが、それよりも圧倒的に大事な事を奇貨は言った。
「な、何でそれを知っているんだ。」
「何ってどれのこと?」
言葉を絞り出す和歌に対して無邪気に笑顔で投げかける奇貨。
「何で私も知らない母の名前を知っているんだと言っているだこの外道!!!」
和歌の嵐の様な怒号をそよ風の様に聞いた奇貨は不思議そうに言った。
「え〜そんなの簡単だよ。言ったじゃん。僕の特技は人より物知りな事だって。」
この時和歌は自分の不運を呪った。この学校に入ることになった不運、最初の模擬戦で奇貨と戦うことになった不運、そして何より、この化け物に自分を知られた不運を呪った。
「これから、末永く宜しくね。三郷 和歌ちゃんこと、ワカ スカーレットちゃん。」
この日和歌は母のフルネームを知った。
最悪の形で、生涯心に残る形で。笑顔は天使の如く、中身は悪魔の如しな友達によって。
次やっとゲームの話に移ります。




