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こんなはずじゃ  作者: 莉璃翠


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5/8

番外編③

「……で?」


ゆなが腕を組んで、私を見る。


「付き合ったんだよね?」


「……うん」


「本当に?」


「本当に」


答えた瞬間、8人の視線が一斉に私に集まった。


「そっかぁ……」


みゆが小さく笑う。


「ついにね」


「ねね、顔に出てるよ」


みつきに言われて、私は慌てて頬を押さえた。


「出てないよ」


「出てる」


「めちゃくちゃ出てる」


みんなが笑う。


でも、少しすると空気が変わった。


ゆなが真面目な顔で私を見る。


「ねね」


「はい」


「私たち、ずっと透真のこと警戒してたの覚えてる?」


「……うん」


忘れるはずがない。


透真さんが私に近づき始めた頃、8人はずっと心配していた。


私が傷つくんじゃないか。


遊ばれてしまうんじゃないか。


だから、あの時は透真さん本人にも伝えた。


「ねねを泣かせたら許さないからね」


「覚えてる」


ゆなが苦笑する。


「じゃあ、今は?」


私は少し考えた。


「……大丈夫だと思う」


「なんで?」


「透真さんは、私が待ってって言った時、待ってくれたから」


それだけじゃない。


私がグループを大切にしたいと言った時も、嫌な顔をしなかった。


自分の気持ちを押しつけることもなかった。


私が決めるまで、ずっと待ってくれた。


「だから、私は透真さんを信じてる」


しばらく沈黙があった。


やがて、さやかがふっと笑った。


「……ねねがそこまで言うなら、私たちが口を出すことじゃないね」


「でも!」


あやがすぐに口を挟む。


「もし泣かされたら?」


「その時は私たちが行く」


「全員でね」


まりが笑う。


「9人分の圧、すごそう」


「透真、逃げられないじゃん」


みんなで笑った。


私は少し恥ずかしくなって、


「もう……」


と呟く。


その時、スマホが震えた。


画面を見る。


透真さんからだった。


『終わった? 迎えに行こうか?』


思わず笑ってしまう。


「……透真さん?」


ゆながすぐに気づいた。


「うん」


「顔!」


「だから出てないって!」


また笑い声が響く。


しばらくして、事務所の外に出る。


少し離れたところに透真さんが立っていた。


私たちに気づいて、軽く手を上げる。


すると、ゆなが透真さんのところへ歩いていった。


「透真」


「はい」


「ねねのこと、よろしくね」


透真さんは少し驚いたあと、真剣な顔で頷いた。


「もちろん」


その返事を聞いて、ゆなは笑った。


「ならいい」


その後ろから、みんなも次々に声をかける。


「変なことしたらすぐ呼んでね、ねね」


「何かあったら絶対言って」


「透真、分かってるよね?」


「はい」


透真さんが苦笑する。


私はその様子を見ながら、少しだけ笑った。


ずっと私を守ってくれた8人。


そして、私が自分で選んだ人。


その両方が同じ場所にいることが、なんだか嬉しかった。


「ねね、帰ろ」


透真さんが声をかける。


「うん」


私は8人に手を振って、透真さんの隣に並んだ。


後ろから、


「ねねー! ちゃんと連絡してよー!」


と声が飛んでくる。


「はーい!」


笑いながら返事をする。


隣を歩く透真さんを見る。


もう、「チャラそうな人」なんて思わない。


私が好きになった人。


そして、8人が最後には託してくれた人。


そんなことを考えながら、私は透真さんと並んで歩いた。

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