19 パンツ泥棒
朝、ちゅんちゅんと鳴く鳥の声で俺は目が覚めた。
身体中が少し痛い。肩や腰ヒシヒシと痛みが伝わってくる。
こんな事になったのはシルビアとのジャンケン勝負で負け、俺は安いベッドで寝る羽目になってしまったからだ。
そんな事を思っていると、別の部屋の扉が開き、あくびをしながらシルビアが気持ちよさそうに出てきた。
「随分気持ちよさそうだな。さぞかしいいベッドだったそうだね」
シルビアは俺の嫌味にニヤリと笑い
「そうね、誰かさんが安いベッドで寝てくれているからいい思いをさせてもらっているわ」
くっ!こいつ嫌味効かないなんて....
シルビアの強さに関心していると、部屋のチャイムが鳴った。
誰だ?こんな朝早くに!全く非常識だ!
俺は文句を言ってやろうと強く玄関の扉を開けた。
「だれだ!こんなはや...」
勢い良く開けた扉の前には執事の様な服を着て、白い髪に白い髭、まるで漫画やアニメに出てくる超絶紳士執事の様な見た目をしているおじさんがいた。
この雰囲気...まさかレスターさん!
「まさか、レスターさん?どうしてここに?」
「ご無沙汰しております。私共の部族もだいぶ落ち着き、息子であるアスラに族長の座を譲ってアクト様の所へ参りました」
え?俺の為に族長を譲ってまで来てくれたんだ!まぁ、俺の部下で幹部だから当然ちゃ当然か。でもうれし!
「レスターさん!俺はレスターが大好きだ!!」
「私もアクト様の事をお慕いしておりますよ。これからはアクト様の身の回りの世話をさせていただきます」
レスターさんは俺の執事になると言うことらしい。正直あんまり世話してもらう事は無いのだが俺はレスターさんの事が好きだから世話をしてもらいたい!
早速レスターはコーヒーを入れ俺の前に差し出してくれた。
俺の対面にシルビア、俺の横にレスターが立ち朝食を取った。
朝食を終え、学院に登校しようとする。入学して数ヶ月経つが、未だに王女様とは挨拶を交わすくらいだ。
そんな事を思っていると見覚えのある小さい少女が不機嫌そうにこちらを見ていた。
「くっ!朝から貴方の顔を見るなんて運が無いですね」
朝っぱらから毒舌だな。流石にゾンビの俺でも心は傷つくぞ。
「ははっ、所でなんで今日は1人なんだ?もしかして取り巻きをクビになったとか」
俺は挑発混じりにカイネを煽ると顔を真っ赤にして怒ってきた。
「!!取り巻きなんかじゃないです!護衛です!ご!え!い!まったく...」
カイネはからかい甲斐があるな。こういうちょっとした挑発で怒っちゃう所がなんとも可愛い。
「知らないんですか?最近学院で女子生徒のパンツが盗まれる事件が多発しているんです。私はその調査に駆り出されたんですよ」
パンツ泥棒だと!?この世界にもそんな変態がいるなんて。
俺は少し感動してしまった。
「で、なんか手がかりがあったのか?」
「それがなんにも見つからないんです。犯人の指紋も魔力痕も残っていないので全く見当がつきません。あ、これは関係ないと思うのですが、直近で盗まれた女子生徒の部屋にこんなものが落ちていました」
カイネが取り出してきた袋の中には1本の毛が入っていた。これは大丈夫な物なのか?と思ったがどうやら動物の毛らしい。
学生寮は基本的にペット禁止で、例外的に使い魔は許可されるが下着を盗まれた女子生徒は使い魔が居ないためこの毛は何処から来たものか分からないらしい。
「外から紛れ込んだと見立てて居るのですが、一応証拠品として確保しているんです。全く、女の子のパンツを盗むなんてとんだ変態ですね。アンリ様が安心して学校生活が送れるように捕まえてやりますよ」
カイネはやる気満々で握り拳を作っていた。
事件に着いて話し終え、教室に向かっていた。カイネは着いてこないでください!と言っていたが同じ教室なんだから仕方がないだろう。
俺とカイネが2人で教室に入るとアンリがこちらにニコニコしながら駆け寄ってきた。
「あら、いつの間におふたり仲良くなったんですか?カイネがルクスさんと仲良くしている所を見ると嬉しくなっちゃいます!」
この子はいい子だなぁ。おっと、顔がニヤついてしまったぜ。
「アンリ様!この男とは仲良くなっていません!なんならこの男をパンツ泥棒としてとっ捕まえてしまいましょう!」
「こらカイネ、ダメですよ。ルクスさんは紳士な方ですから」
「そうだぞカイネさん、俺は紳士だからね」
王女はニコニコと笑い、カイネはキーと怒り、俺はカイネを挑発した。
この感じ懐かしいな。前世でもこの雰囲気が気に入ってたんだよな。学院に入って良かったよ。
さて、このパンツ泥棒を捕まえて、王女に俺の株を上げ、王族と親しくなる作戦を決行する事にした。




