第65話 殺しの約束
(よし!あいつにガッツリ当たった。このままあいつに押し切れれば!)
しかしホバは既に立ち上がっていた。
「悔悟する。代償の力は弱者側の苦し紛れの力であると思っていた事を。故に僕もその力を使わせてもらう。」
ホバの身体に電気が流れる。
「警告する。今僕の身体には電気が流れ続けている。常に感電状態といっても差し支えがない。これから僕は常にこの状態で戦い続けるそしてこのことを君に伝えることで自分自身の力を底上げする。」
槍とハンマーが交わる。
今度はどちらが弾かれることがなく互角の鍔迫り合いが起こる。
「っ!」
ホバの周りに大量の電気が流れ放電する。
(自分が感電する代償を有利に働かせているな。だが分かっているな。長引けば不利になるのはそっちだということを。)
(確認した。代償を払ったことで同等以上の力を発揮できるようになった。だがこのまま長引けば不利になるのはこちら側。向こうは重りを外しているのに対しこちらは重りを付けて戦っている。ならばこちらは速攻で決める。)
(──って思っているな。ならこっちがやるべきことは。)
ホバはシブキめがけて一気に突っ込む。
それを読んでいたシブキはカウンターを入れる態勢をとる。
しかし、その時ホバの脳内に一瞬のうちによぎった記憶が彼の運命を分けた。
(追憶する。僕が彼に負けた理由は何だった?冷静さを欠き何をした?恐れは敗北を生む。僕がここでするべきことは。)
ホバは一瞬動きを止めワンテンポ遅れて攻撃を放つ。
「ちっ!(気づかれたか。)」
「警告する。僕は恐れも弱さも受け入れた。以前のようには行かない。」
(もう少しじっくり出したかったが向こうも本気ならこっちも。)
「よく見とけよ!オレの姿を!」
一瞬声がだぶって聞こえた。
シブキは自分の掌を槍で傷つけ流れた血を天に投げる。
飛んだ血は水のカーテンのようにシブキの身体を隠す。
カーテンから無数の血で出来た槍が飛び出す。
ホバはそれをハンマーでいなす。
シブキの槍が少女と共に血のカーテンから飛び出す。
(これは!?姿が変わった!)
「安心しな、ワタシはシブキだ。こっからも試合は続けてオーケーだ。」
少女の姿となったシブキは手でホバを挑発する。
「肯定する。この戦いの継続を望む。」
シブキは槍の大振りの隙を隠すように縦横無尽に血の槍を振るっていく。
ホバもそれを躱し続ける。
拮抗したこの戦いは長引くと思われた。
しかし、高速で破壊しながら近づいていく何かがいた。
「見つケたぞ!忌まワしき槍の持ち主よ!我が牙は必ず食らっテ──」
「「邪魔だ!」」
「がぁアあああっ!」
辺りを破壊し回ってきたあの時の山で対峙した狼は2人に虫を払うようにして吹き飛ばした。
しかし、狼によって破壊しに回ったことにより瓦礫が壁になり2人を分断する。
「おいっ!」
「・・・・・。」
「次にあったときが最後だ!オマエはオレが殺す!…だからその時まで待っていろ。」
「…否定する。殺すのは僕だ。」
書きました。よろしくお願いします。




