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ポナの季節  作者: 大橋むつお
39/92

39『安祐美の顔を借りる』


ポナの季節・39

『安祐美の顔を借りる』     

  


ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとって新子が自分で付けたあだ名





「いい加減にしてください!」


 三度目だった。



 大ニイからも言われていたが、マスコミの攻勢は家族にまで及んだ。

「みんなには迷惑かける。マスコミとか市民団体は家族にまで及ぶと思うけど、沈黙を通してくれ、どこで言質をとられるか分からないし、情報は加工されて、どんな風にも編集できるからな」

「分かった、大ニイ!」

 と元気よく返事したポナだったが、その約束を一番に破ったのは、ポナだった。


 それほどまでにマスコミと市民団体は執拗だった。で……要するに、ポナは切れてしまったのである。


「妹さんとして、今度のお兄さんの行動を、どう思いますか?」ぐらいは辛抱できた。

「新子さんて、お兄さんとは血の繋がりないのよね。そこまで聞くのは気の毒だわ」

 この市民運動家のオバサンの一言でブチギレた。なんで家庭の秘密を、こんな他人のオバサンが知ってるんだ!?

「そういうプライベートなことには、僕たちは関わらないから、ただお兄さんの……」


 とA放送のオッサンがマイクを構えたところをポナは、スマホで録画した。すると、通行人の中で興味を持って、同様に録画したり写メを撮る者が現れた。

「あなたたちのしつこい! YouTubeで流してやるから!」

「いいぞ、新子。オレたちもやるからな!」

 名前を覚えてしまった通行人が叫ぶ。


 ポナは、学校に着くまでの間に動画をアップした。で、マスコミも野次馬の有象無象も同じことをやった。


「ポナ、もう炎上してるわよ!」



 学校に着くと、由紀と奈菜が心配そうに寄り添ってきた。学校で公然とスマホを見ることは校則違反だけど、どうやら今日は特別な日になりそうだった。

 朝礼が終わると、生活指導に呼ばれた。


「寺沢、今日は、もう家に帰れ。扱いは公欠にしておくから」



 生指部長から言われた。


 学校の周りにマスコミや、ありがた迷惑な市民運動の人たちが集まり始めていた。このままでは学校にまで迷惑をかけることになる。ポナは生指部長の意見に従うことにした。生指部長は変装用のウィッグと眼鏡を用意してくれたが、ポナはやんわりと断った。

――なにも悪いことはしていないんだ。このままでいこう――

 そう決心したが、昇降口の窓越しに見える地獄の餓鬼のような連中を見ると足がすくんでしまった。


「あたしが助けてあげる!」


 振り返ると、幽霊の安祐美が眉を吊り上げて現れた。

「安祐美……」

「家に着くまで、あたしの顔を貸してあげるわ。完全別人だから分からないわ」

 そこに心配顔の由紀と奈菜がやってきた。

「ポナ……あ、安祐美……安祐美が二人も!?」


 訳を話すと二人とも分かってくれた。


 安祐美の顔になって、無事に学校は出られた……。


 

ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊


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