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ポナの季節  作者: 大橋むつお
38/92

38『大ニイ自宅謹慎に』


ポナの季節・38

『大ニイ自宅謹慎に』         


ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとって新子が自分で付けたあだ名





 信じられないことに、中国はミサイルとドローンの撃墜に抗議してきた。


 新型ドローンの試験飛行であり、ミサイルはひとなみを狙ったものではない。ミサイルは無弾頭の模擬弾である。という言い分であった。


 日本の巡視船が、ドローン(無人飛行機)とミサイルの残骸を回収した。


 日本は米軍とともに、回収したドローンを調査した。ドローンは汎用品のツギハギで、方位測定は市販のカーナビを改造したものであり、ミサイルの固体燃料の容量もひとなみに届くほどの大きさがなく、なによりも弾頭の炸薬は重量が同じ小麦粉が使われていた。

――攻撃力はゼロであり、ひとなみに対する打撃力もない――

 この第一報がマスコミに載り、ひとなみの艦長と砲雷長は一方的に責められた。


 調査報告には後半部分があった。


 ドローンとミサイルの構造材は木製で、破壊されても沈まないように出来ている。ブラフである可能性が極めて高い。

 要するに、ひとなみはハメられたのである。

 世論はマスコミが先頭に立って艦長と砲雷長の大ニイを非難した。


 防衛大臣は、ドローンとミサイルが管制レーダーを照射していたことなどを挙げて、これは攻撃の意志ありと判断せざるを得ないと国会などで力説したが、日本は軍事評論家まで市民派で、その非難の大きさに屈し、艦長と砲雷長の二人は謹慎ということになってしまった。


「ただいま、しばらく世話になるよ」

「大ニイ!」

「達幸!」


 与野党の協議で、営内謹慎ではなく、自宅謹慎という、まるで高校生のような処分になった。

「こりゃ、パソコンと電話が大変なことになるぞ」

 チイニイは、パソコンと電話に手を加え、非難してくる者は自動でカットし、応援者には自動音声で対応できるようにした。

「孝史、こんなテクニック、どこで覚えたんだ?」

「警察と商社かな。乃木坂学院でないことは確かだ」と、逃げた。


 いや、本当に逃げるようにしてチイニイは、以前のアパートへ越して行ってしまった。


 日本政府のやることは芸がないが、アメリカはおもしろい反応に出た。


 南シナ海で、中国が不法占拠している環礁に巡航ミサイルを撃ち込んだ。中国は数発のミサイルを撃ったが墜とすことができず、ミサイルは環礁の手前二百メートルで自爆。数万枚の抗議ビラをまき散らした。


 中国は事実上沈黙してしまったが、日本は、良くも悪くも民主国家。大ニイの謹慎は解けなかった。


「日本は本当に情けない国だ!」

 父は怒ったが、大ニイは平気だった。

「父さんと母さんの恋愛ほどにはドラマチックじゃないよ」

 と、まぜっかえす。どうも寺沢家で一番腹の座っているのは大ニイのようだ。

「ポナ、その手、どうしたんだ?」

「え……?」

「指のタコ、気が付かなかったのか?」

「うん、少し硬くなってる……」

「ポナ、これはギターのタコだぞ」

「ほんと!?」

「ポナ、声もおかしい」


 夢の中で安祐美から、ギターとボーカルの猛特訓を受けていることなど、きれいに忘れているポナだった。

 


ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊


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